飲食業
大垣市

健康や美への意識が変わる食堂「はごろも発酵食堂」を訪ねてみた。

健康や美への意識が変わる食堂「はごろも発酵食堂」を訪ねてみた。
TOM
TOM
最近、毎日の食事に麹を取り入れ始めたんだ!いい感じだよ!
SARA
SARA
すごいじゃない。麹ってすごく体にいいって聞くわよ。
TOM
TOM
でしょ〜 今日はドーナツもクッキーもいっぱい食べたけど、これも帳消しだよね!
SARA
SARA
帳消しにはならないわよ・・・クッキーは普通にクッキーだからね・・・
この記事は約8分で読めます。
大垣市にある「はごろも発酵食堂」をご存知だろうか。
発酵食によって心と身体が元気になり、健康や美への意識が変わる食堂として高い評価を得ている。今回は、代表の岡田 亜耶羽(おかだ あやは)さんにお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 発酵の力で心も身体も元気に!食堂誕生
  • 地場野菜で岐阜と滋賀の架け橋へ!
  • 祖母から孫へ!喜ぶ顔を思い発酵食提供
  • 健康意識を変える!発酵食堂
  • みんなの笑顔!地域循環の新拠点へ!

①発酵の力で心も身体も元気に!食堂誕生

 

はごろも発酵食堂は、シェアキッチンを提供する「ennoieミドリバシ」のリニューアルオープンのタイミングで参画し、2023年12月に開店した。岡田さんがお店を始めたきっかけは、まさに「縁」と「タイミング」によるものであった。

 

「以前からレンタルスペースとしてミドリバシさんを利用していたため、リニューアルのタイミングで飲食店を開業しませんかとお声掛けをいただきました。当時は、人生が変わる分岐点でもあり、タイミングが重なったことで飲食店に挑戦しようと決断しました。

 

岡田さんには「『ここに来たら元気になれる!』とみんなに喜ばれる場所を作りたい」という明確な夢がある。その夢の実現の一つが飲食店の開店だったまた、高校生の娘さんの存在も大きかったという。娘さんは現在ビジネス科を専攻しマーケティングなどを学んでいる。特に美や健康に興味を持っているため、ゆくゆくは親子で経営ができたらと、将来を見据えた考えもあった。

 

お客様には『食』を通じて元気を与える場所にしたいですし、娘にとっては学校で学んだことを実践できる、成長の場所になればと考えています。

 

はごろも発酵食堂は、「発酵」をテーマにしている。その理由は、岡田さん自身が麹を使った料理で、身体も心も元気になる体験をしたからであった。

 

『食』は身体も心も、全てに繋がるものだと実感したことが大きく影響しています。実は、もともと料理が苦手だったんです。ただ、特に子どもの成長には食事が大きく関わるということを学び、子育てを通じて料理に奮闘しました。その中で麹や発酵にめぐりあい取り入れたところ、私自身も効果を実感して、発酵食の魅力に惹かれていきました。」

 

岡田さんは食を通して身体と心に良い効果を、一人でも多くの方に広めたい、元気を与えたいという想いをもっており、お店のロゴにもそんな想いが込められている。

 

柔らかいお花をイメージしていますが、所々に丸い穴が見えると思います。丸は発酵するときに出現する『ポコポコ』を表現しました。オレンジ色は、発酵のイメージに近い色でありビタミンカラーでもあるので、元気が出ると考え採用しました。

 

実は岡田さんは「羽衣クリエイション」という屋号を持ち、発酵食堂の他にも様々な事業を手掛けている。屋号の「羽衣」は、天女の羽衣からとっている。「羽衣を身につけ自由に空中を浮遊する」という天女の生き方に岡田さんが憧れ、その想いを重ね合わせて名づけた。

 

私は、自分の感性を活かしてクリエイティブに生きたいと思っていて、その想いと羽衣のイメージがぴったり合いました。また、私の名前の『亜耶羽』に『羽』が入っていることにも、『羽衣』との繋がりを感じています。

 

発酵の力を信じ、人の健康と娘の未来を見据えて開店した「はごろも発酵食堂」。食を通じて心と身体の元気を届けたいという想いが、新たな挑戦へと踏み出すきっかけとなった。

 

②地場野菜で岐阜と滋賀の架け橋へ!

 

はごろも発酵食堂は、野菜にもこだわりを持っている。岡田さん自身が野菜ソムリエの資格を取得していることもあり、野菜と人に対する想いがひときわ強い。はごろも発酵食堂で提供する野菜の主な特徴は3つだ。

 

1.岐阜と滋賀県産の野菜を使用
岡田さんはもともと滋賀県出身で、8年前に垂井町へ移住してきた。垂井町の人の良さや、自然豊かさに魅了され、一念発起しての決断だった。岐阜での生活を通して、岐阜と滋賀の文化の違いを感じたという。

 

「伊吹山を一つ越えただけで、丸餅と四角餅と違いや、エスカレーターの左右どちらに立つかなど、様々な部分で違いを感じました。それはもちろん人もです。滋賀は関西気質なので初対面から人との距離が近いですが、岐阜は一旦適度な距離をおいて様子を見て、時間の流れとともにすごく温かくなる気質があるんです。」

 

隣接する県でありながら、様々な違いがあることに興味を持ち、お互いの文化を理解し合える、いわば「岐阜と滋賀の架け橋」のような存在になれればと、両県の野菜を使用している。

 

2.農家から直売で仕入れる
岡田さんは、毎回農家へ足を運び直接野菜を仕入れている。それは滋賀の農家も同様だ。

 

料理を提供するまでの過程には、地元の農家さんが魂を込めて食材を育てた背景があります。私は、美味しいのはもちろん、背景も含めたストーリー性のある料理を提供したいんです。だから、滋賀の農家さんにも直接うかがっています。」

 

いずれは地場の農家の取り組みや想いを発信し、食を通じて人との繋がりを広げたいと、岡田さんは語る。

 

3.季節に応じた野菜を提供
はごろも発酵食堂では、季節に応じた野菜の提供にこだわっており、スープやソース、副菜など、ベースとなる料理以外は毎月変えている。特にメニューの一つである「親孝行小鉢」には、岡田さんの個人的な想いとエピソードが隠されている。

 

「小鉢料理に使っている食材は、実家の畑で両親が作った野菜を提供しています。両親が一生懸命育てた野菜が食堂で役立ち、私は仕入れが実家に足を運ぶ理由になります。こうした循環が、親孝行にも繋がると考えています。」

 

両親が作る野菜も季節によって異なり、食堂のコンセプトに合致している。岐阜と滋賀の架け橋となるべく選び抜かれた地場野菜。生産者の想いと季節の恵みを大切に、親子の絆まで育む、食堂のこだわりと取り組みが見える。

 

③祖母から孫へ!喜ぶ顔を思い発酵食提供

 

はごろも発酵食堂のメニューは麹をメインで使った内容で、全てオリジナルだ。

 

まずは、自分が好きなメニューをベースで作り、スタッフと料理をしながらの会話や、農家さんとの食材についての会話の中で自然と溢れてきたアイデアを、付け加えて新メニューを考案しています。

 

また、メニューを考案するにあたって、「家庭でも再現できそう」というコンセプトも意識しているという

 

お客様にはわざわざ足を運んでいただくので、珍しい食材を使ったり、特別感を演出することも意識しています。その一方で『少し頑張ったら自分でも作れるかも?』と、あえて家庭でも実践できそうなメニューになるよう考えています。

 

そのため、レシピを聞かれたときは、積極的にお客様に教えている。最近では、小麦粉不使用で塩麹を使ったスイートポテトケーキや、甘酒を用いた抹茶ソイや黒ごまドリンクなど、スイーツやドリンクまで健康と美を意識しながら、ユニークなメニューを展開している。また、提供する料理には、岡田さん流の隠しスパイスがあるのも、はごろも発酵食堂の特徴である。

 

岡田さんが料理向き合うにあたって、教訓であり軸とする言葉がある

 

「料理は、相手が喜ぶ顔を想像しながら作るのが料理なんやで」

 

これは、亡くなったお祖母様から贈られた大切な言葉だ。

 

私はおばあちゃん子で祖母が大好きでした。小学校中学年の時、料理が苦手でそれでもやりたいと一生懸命取り組んでいたんです。それを見た祖母が私にかけた言葉です。あの時の光景や雰囲気、匂いなど鮮明に覚えていて、今でも焼き付いています。

 

実際に、料理をしている時の感情によって、味が変わることを何度も経験したという。

 

「気持ちが落ちつかない時や調子が乗らない時、祖母の言葉を思い出し、気持ちを切り替えて料理に取り組んでいます。『今日もお客様が楽しみに来てくださる』と思い、お客様への気持ちを大事にしながら、作ることを意識しています。」

 

祖母から受け継いだ「相手の喜ぶ顔を想像する」という想いを胸に、麹や甘酒を使った独創的な発酵食で、お客様の笑顔を紡いでいる。

 

④健康意識を変える!発酵食堂

 

はごろも発酵食堂は、多くのお客様からの支持を得て、完売することも多く経営的にも順調に推移している。その一方で、嬉しい悩みもあると、岡田さんは話す。

 

「1年間営んでも、飲食は曜日ごとのトレンドやお客様の流れが読めないんです。完売することはありがたいことですが、完売後に来られたお客様に料理が提供できないことに、申し訳なく感じるんです。遠方からの方も多いので、お断りするたびに心が苦しくなります。

 

今後に向けて、試行錯誤しながらやり方を模索し、改善していきたいと、前向きに取り組む姿勢を見せている。また、発酵食の提供を通じて、多くのお客様から良い効果が出たとの反響をいただいている。

 

「特に女性は普段から『食』へのこだわりを持っている方が多いですが、男性のお客様からも『次の日の調子が良い』と効果を実感される声が多いです。そういった声を通じて、改めて『食』の大切さを気づかせていただいています。」

 

老若男女、あらゆる方にお店にお越しいただきたいと、岡田さんは語る。

 

「普段から健康や美への意識が高い方に来ていただきたいのはもちろんのこと、逆にあまり関心を持たれていない方にも来てほしいです。店で食べてみて効果を実感することで、意識が変わると思います。当店の発酵食そのきっかけになれば嬉しいです。

 

人は誰でも、健康と向き合っていかなければならない。岡田さんは、実体験をもとに、食を通じて健康への意識が少し変わるだけで、結果的にその方の生活が豊かになると考えている。訪れるお客様の、食の向こう側(身体と心の健康)を願い、発酵食を通じて健康意識を変えるきっかけを提供している。一人でも多くの方に来ていただき、食の大切さに気づいていただける場を目指している。

 

⑤みんなの笑顔!地域循環の新拠点へ!

 

岡田さんに今後の展望について、お話をうかがった。

 

以前からの大きな夢である、『人が人と繋がり育み、羽ばたき、かえって来られる場所』の実現を目指していますその足掛かりとして、2025年12月に岐阜県垂井町の南宮大社近くに、『憩う家 燕 -tsubame-』という新店舗を開店する予定です。『場を作る』というコンセプトのもと、飲食店を一つのツールとして位置づけ、そこを交流の拠点にするんです。

 

「憩う家 燕 -tsubame-」という屋号には、遠くへ羽ばたく力を持ちながら、いつも「帰る場所」を忘れない燕のように、人が自由に羽ばたくための、安心して帰れる“いえ”のような場所にしたいという想いが込められている。1日を通して、町内外から老若男女問わずふらりと立ち寄れるやさしい場所、そこから生まれるやさしい循環を大切にしている。

 

ミドリバシと同じように古民家を改装して、「はごろも発酵食堂」とレンタルキッチンやレンタルスペースなど、幅広く活躍できる場所を用意している。既に、レンタルキッチンに週3回1店舗は参画が決まっており、この先集まる仲間とともに一緒に作り上げるのがテーマだ。

 

「参画する一人ひとりが、ゆくゆくは自分が持つ魅力を武器に活躍できる場所にしたいんです。一方で訪れるお客様にとっては、心地の良い落ち着くような場所や、頑張ろうと元気になれる場所にしたいと考えています。」

 

さらに、新店舗内にある庭を生かして、「子どもたちが気軽に遊びに来れる場所」にもしたいと考えており、月1回子ども主体のマルシェの開催も計画していると語る。

 

「子どもから派生して家族が集まり、それが地元の人々も巻き込んだ地域の繋がりに昇華され、地域交流を通じてみんなが健やかになれると思うんです。子供と接すると元気になるし、人に優しくなるし、活力が生まれる。そういった循環の場所にしたいんです。」

 

岡田さんが事業を通じて目指す最終テーマは「循環」である。人も地域も情報も様々なことが循環する場を作りたいと想いを口にした。

 

はごろも発酵食堂は、発酵の力で心と身体を元気にする食堂として始まった。地域の架け橋となる野菜へのこだわり、祖母から受け継いだ料理への想い、そして健康意識を変えるきっかけづくり。様々な形で人の日常に寄り添い、元気を与えることをモットーにしている。

 

2025年12月には、南宮大社近くに新店舗「憩う家 燕 -tsubame-」をオープンさせ、大人から子どもまで笑顔を起点に、地域全体が循環する場所づくりを目指す。発酵食を通じて心も身体も元気になれる体験を、ぜひ味わってみてはどうだろう。岐阜県垂井町で、健康と美への意識が変わる出会いが待っている。

 

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