唯一無二の施術で25年!もみほぐし店「ひとやすみ」を訪ねてみた。





「痛いけど術後軽く楽になる」をコンセプトに、頭から足まで体全身の不調を整えるもみほぐしを25年間提供し続けている。今回は店主の大澤さんにお話をうかがった。
- 高校時代の経験がきっかけで整体の世界へ
- 25年間の経験で培った独自のスタイル
- 時代に合わせた施術メニューの積極的な導入
- 一人ひとりに寄り添う完全個人経営の強み
- お客様との深い信頼関係が築く唯一無二の空間
①高校時代の経験がきっかけで整体の世界へ
大澤さんが整体の世界に足を踏み入れたきっかけは、高校時代の怪我だった。
「高校生のときに膝を痛めて、家族が通っていた整体に行ったのが最初の出会いでした。そこで治していただいたことがとても印象的で、“自分もこういう仕事がしたい”と思うようになったんです。それで、整体の学校に2年間通うことを決めました。」
自身の身体を“治してもらった”という体験が、のちに“治す側になる”という人生の選択に直結した。人の不調に寄り添い、改善へ導く営みに惹かれ、迷いなく整体の道へと進んだ。
学校を卒業後は、付属の治療院で経験を積んだ。その後、2000年に自身の施術所「ひとやすみ」を立ち上げる。
「治療院で2年ほど働いたあと、自分自身が体調を崩して手術を受けることになったんです。入院している間、これからどうしたいかをじっくり考える時間ができました。妻とも相談して、“やっぱり自分の場所を持ちたい”という気持ちが固まりました。」
一度立ち止まり、自分の身体と向き合ったことで生まれた“開業”という選択肢。人生の転機にあった静かな時間が、道を切り開く大きな決断につながった。
開業から四半世紀。大澤さんは施術の現場に立ち続け、自らの技術と向き合いながら、職人としての道を歩み続けている。

②25年間の経験で培った独自のスタイル
現在のひとやすみを象徴する「痛いけど楽になる」というコンセプトは、開業当初からあったわけではない。長年の施術経験と模索のなかで、徐々にかたちづくられてきた独自のスタイルだ。
転機となったのは、施術に手応えを感じつつも、集客に伸び悩んでいた時期だったという。
「昔は、できるだけ痛みのないやさしい施術を心がけていました。でも、電話が一日中鳴らないこともあって、自分らしい方法を見つけなきゃと感じるようになったんです。そこで、あえて“ピンポイント”に効かせる施術に変えていきました。」
そう語る大澤さんの“ピンポイント施術”こそが、今のひとやすみの原点となった。的確にコリを捉え、芯に届かせる――そのための施術は、決して楽なものではないが、「効く」と感じる人には確かな実感をもたらす。
「骨のキワとか、押されると痛い場所って必ずあるんです。そういうところをあえて狙って押すようにしています。一般的なリラクゼーションとは違うけど、“痛いけど楽になる”っていう感覚を求めて来てくださる方が増えてきました。」
その独特な施術スタイルは、マニュアル化されたチェーン店のアプローチとは大きく異なる。一人ひとりの身体に丁寧に向き合い、その人の状態に合わせたオーダーメイドの施術を提供している。
「60分とか120分というコース設定はありますが、時間できっちり終えるより、“ここまでやれた”という納得感の方を大切にしたいと思っています。」
利益ではなく、目の前のお客さまの“満足”に重きを置く姿勢。それこそが、口コミで少しずつ常連を増やし、今のひとやすみを支える大きな理由になっている。
③時代に合わせた施術メニューの積極的な導入
25年という長いキャリアの中で、大澤さんは常に“今”を意識しながら、施術のかたちを進化させてきた。流行をただ追うのではなく、本質を見極め、自らの施術スタイルに溶け込ませていく。その柔軟さが、長く支持される理由のひとつになっている。
「時代が変わるなら、施術も変わらなきゃいけないと思ってます。常に流行りはチェックしてますし、施術内容も少しずつ変えてるんです。たとえば最近でいうと、“肩甲骨はがし”なんかは、うちでも早くから取り入れていましたね。」
興味深いのは、その流行の技術を前面に打ち出すことなく、さりげなくメニューに組み込んでいる点だ。大澤さんの中では「流行を追ってます」と強調することよりも、自然に受け入れやすい施術を提供することのほうが、ずっと大事なのだという。
「わざわざ『これは肩甲骨はがしですよ』とお客様に伝えなくてもいいと思ってるんです。専門的な言葉を並べるよりも、わかりやすい説明で伝えることが大切だと思っています。」
現在では、全身施術に加えて、ヘッドスパや顔の筋肉ほぐしといったメニューも提供している。これらの技術も、常連のお客様との関わりの中で、少しずつ磨かれてきたものだ。
「常連さんにお願いして、新しいメニューの考案にもご協力いただくことがあります。数ヶ月続けていたら、お客様の方から『ところでいつからメニューになるの?』って言われて、そこから正式メニューするという流れもありますね。」
新たな施術法も、まずは現場で手応えを確かめながらじっくり育てていく。顔の筋肉ほぐしについては、元エステティシャンのお客様からアドバイスをもらいながら技術を磨いた。
流行の一歩先をいきながら、施術の“本質”を守り続ける。その姿勢がひとやすみを唯一無二の場所にしている。
④一人ひとりに寄り添う完全個人経営の強み
ひとやすみの大きな特徴は、大澤さんがすべてを一人で運営しているという点だ。予約受付から施術、空間づくりに至るまで、完全な個人経営を貫いている。その背景には、揺るぎない理念がある。
「ずっと1対1での対応を続けています。他のスタッフやお客様に会話を聞かれたくない方もいますし、1対1だからこそ心を開いて話してくれることもあると思うんです。」
施術中の会話は、ときに仕事や家庭の話にまで及ぶ。肩や腰の痛みと一緒に、心の重さまでほぐしていくようなひとときが、ここにはある。
「若い世代の方だと、まるで“知り合いのおじさんに揉んでもらってる”くらいの感覚で来てくれるお客様もいます。転職の相談とか、会社であったこととか、なかなか他の人には言えないことまで話してくれるんですよね。」
特に印象に残っているのは、10年以上通い続けてくれているというお客様の話だ。
「最初は尖っていて、ツンツンしてたんですけどね。中学3年生の頃から10年以上通ってくれて、どんどん成長して、大人になって、ちゃんと敬語も話せるようになって…子どもの成長を見守っているような気持ちになります。」
長く続く関係性は、スタッフの入れ替わりがない個人店だからこそ築けるもの。だからこそ、大澤さんはプライバシーにも細やかな配慮を忘れない。
「親子で通ってくださる方もいますが、例えばお子さんと話した内容を親御さんに伝えることはしませんし、親御さんと話したこともお子さんには言いません。たとえ親子でも、それぞれとの信頼関係は大切にしたいんです。」
ただ体をほぐすだけではない。お客様一人ひとりに向き合い、その人の時間と空間を守る姿勢が、ひとやすみを特別な場所にしている。

⑤お客様との深い信頼関係が築く唯一無二の空間
25年にわたる営業の中で、大澤さんが何よりも大切にしてきたのは、お客様との信頼関係だ。ただの「施術者と利用者」という関係ではなく、人と人との波長が合うからこそ続いてきた関係性が、店の空気をつくっている。
「人としての波長が合うお客様が、自然と集まってくださっている気がします。だから、居心地の良い空間になっているんだと思います。」
この関係性からは、思わず微笑んでしまうようなエピソードも生まれる。
「ある常連のお客様が『口コミ書いてもいいけど、私は星1つで載せるからね』って言うんですよ。理由を聞いたら『だって、いい口コミを書いたら自分の予約が取れなくなるから』って。」
お客様とのやり取りには、信頼とユーモア、そして互いを思いやる気持ちが垣間見える。こうした信頼関係こそが、大澤さんの施術スタイルを支えている。
「お客様の大切な時間とお金をいただいているので、結果が出なければ自分の非を認めなきゃいけないと思っています。一人よがりな施術にならないよう、常に気をつけています。」
空間作りの工夫も細やかで、小さな配慮も欠かさない。
「男性用・女性用のタオルを分けたり、喫煙される方専用のタオルを用意したりしています。お客様に不快な思いをさせないよう、できることはすべてやるつもりです。」
こうした積み重ねが、長年愛され続ける理由でもある。現在56歳。節目を迎える今、大澤さんは現実的な視点で将来を見据えている。
「唯一無二の施術だという自負はあるので、まだまだ必要としてくれる方がいるとは思っています。でも、年齢的にあと何年できるかな…と考えることも増えました。お客様には『あと10年くらいかな』って話してるんですが、なるべく長く続けたいですね。」
25年の歳月が生んだ技術と信頼。多くの人に愛されるひとやすみは、関市における唯一無二の場所として、これからも人々の心と身体を温め続けていくのだろう。

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