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大垣市

ネイルと心に寄り添う隠れ家サロン「nail kokorone」を訪ねてみた。

ネイルと心に寄り添う隠れ家サロン「nail kokorone」を訪ねてみた。
TOM
TOM
僕もネイルできたら、シュッと見えるかな?
SARA
SARA
自分でやるの?その前に爪の泥を落としなさいよ。
TOM
TOM
えぇ〜細かいことは気にしない性格なんだよ。
SARA
SARA
・・・ネイルはプロに任せた方がいいと思うわよ。
この記事は約8分で読めます。
大垣市にある「nail kokorone」をご存知だろうか。
ネイルアートだけでなく、深爪や噛み癖などの爪の悩みを根本から解決する技術を持つ、まさに爪のスペシャリストが営む隠れ家サロンである。今回は、オーナーネイリストの児玉 磨諭(こだま まゆ)さんにお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 店名に込められた、心とつながるネイル時間
  • 職人技を支える確かな技術と知識の習得
  • 爪の悩みを解決するメディカルネイルの専門技術
  • アートへのこだわりと多彩なサービス展開
  • お客様との絆を大切にした理想の働き方

①店名に込められた、心とつながるネイル時間

 

「nail kokorone」という店名は、一見するとシンプルなローマ字表記だが、実は「心音」という漢字に置き換えられる深い意味が込められている。単なる響きの美しさだけでなく、お客様の心に寄り添う姿勢そのものを象徴する名前だ。

 

児玉さんは、この店名に込めた想いをこう語る。

 

「お手入れは1時間半から2時間ほどいただくことが多いのですが、その時間を通じてお客様の“心の音”を聞かせていただきたい、というコンセプトがあります。爪を整えるだけではなく、心の部分でもつながっていたい。そんな気持ちを込めて“kokorone”と名づけました。」

 

一人ひとりの指先に美しさを届けるだけではなく、その時間を通じてお客様の声に耳を傾け、心の内側にもそっと寄り添いたい。児玉さんの接客スタイルは、そんな願いに支えられている。単なる施術ではなく、お客様との会話や雰囲気づくりの中に「心の音」を重ね合わせていく。それが「nail kokorone」というサロンの在り方を形づくっている。

 

さらに、この想いはお店のロゴにも込められている。月や星が描かれた印象的なロゴは、児玉さんの友人であるデザイナーに依頼して制作された。

 

「爪ってとても小さいものですが、その小さな世界には無限の可能性が広がっています。だからこそ“宇宙のように表現してほしい”とお願いしました。少しゴシックでかっこいい雰囲気に、とリクエストしたら、思い描いていた以上のデザインをサッと形にしてくれたんです。」

 

ロゴに描かれた月や星は、爪という小さな世界に宿る無限の可能性を宇宙になぞらえて表現したものだ。シンプルな中に凛とした美しさを感じさせるデザインは、児玉さんが抱く「ネイルの哲学」を象徴している。爪先を彩るだけでなく、お客様の心に寄り添うサロンでありたい。そんな児玉さんの想いが、店名やロゴの一つひとつに込められている。

 

②職人技を支える確かな技術と知識の習得

 

児玉さんがネイルの世界に足を踏み入れたのは、今から15年前のこと。当時は美容部員として働いており、その延長線上で「ネイルを学んでみよう」と思い立ったのがきっかけだった。

 

「お客様にマニキュアをきれいに塗れるようになったら、もっと喜んでもらえるんじゃないかなと思って、軽い気持ちでネイルの3級を取ろうとしたんです。調べてみたら合格率がすごく高くて、これはすぐに取れるんじゃないかなって思ったんですよね。」

 

ところが、入学したスクールは想像以上に本格的で、厳しい世界が待っていた。当時はまだネイルの専門学校が少なく、ネイルサロンに所属する先生が開くスクールで学ぶのが一般的だった。そこで受けた指導は、まさに「職人の修行」と言えるものだった。

 

「木の棒にチップを貼って赤色を塗るんですけど、チップの際に髪の毛一本分だけ余白を残して塗るんです。それを1000本くらい繰り返しました。化学製品を皮膚につけてしまうとアレルギーの原因になることもあるので、絶対に皮膚に触れさせてはいけない。その練習をひたすら積み重ねて、美しい平行のラインが描けるように体に覚え込ませました。」

 

道具の特性や温度の管理、分量の加減など、すべてを身体で覚える日々が続いた。まさに、寝ても覚めてもネイル漬けの時間だったという。

 

「どの温度ならどのくらいの時間で固まるのか、どれくらいの分量を取れば均一な厚みになるのか、色ムラをなくすにはどうすればいいのか。もう体が自然に動くくらい、徹底的に叩き込まれました。少し疲れてうとうとしていても、手だけは勝手に動いてしまう、そんな状態になるまでやり込んだんです。」

 

技術面だけでなく、座学も徹底されていた。爪の構造や皮膚科学の基礎を学び、正しい知識を持って施術に臨むことの重要性を叩き込まれたという。

 

「爪は薄いケラチンの膜が何層にも重なってできています。ファイルを斜め45度で当てなければ、上の膜がめくれてしまう。科学や生物学の知識が入っていないと、お客様の爪を傷めてしまうことがある。だから技術だけじゃなく、理論の部分もきちんと勉強しました。」

 

厳しい訓練の日々を経て身につけた技術と知識。それは児玉さんにとって、ネイルを職業として続ける上での大きな礎となった。目の前の小さな爪に全神経を集中させる時間の積み重ねが、いまの「安心して任せられる技術」につながっているのだ。

 

③爪の悩みを解決するメディカルネイルの専門技術

 

児玉さんの最大の強みは、通常のネイルアートだけでなく「爪の育成」に関する専門的な技術を持っていることだ。岐阜県で初めて「メディカルネイルプランナー」の資格を取得した人物でもある。単に爪を美しく彩るだけではなく、爪に関する悩みを抱える人々に寄り添い、解決へと導くことができるのが大きな特徴だ。

 

「爪を噛んでしまう癖がある方や、深爪になってしまった方の爪を、本来のピンクの部分まで伸ばしてあげられるんです。爪を人前に出すことに抵抗がある方にとっては、大きなコンプレックスになってしまう。その気持ちを少しでも軽くして、自信を持ってもらえるようにお手伝いしています。」

 

こうした専門技術は、当時はまだ学べる場所が限られており、児玉さんは金沢まで通って資格を取得した。日々の施術の中で感じていた「もっとお客様に寄り添いたい」という気持ちが、その行動を後押ししたのだ。

 

児玉さんは、爪を家の基礎に例えて説明してくれた。

 

「家も基礎がしっかりしていないと、その上に建つ建物に不安を感じますよね。それと同じで、爪のベースが健やかでなければ、デザインをしても長持ちしません。だからまずは土台を美しく整えて、心も一緒に健康にしてあげたい。そして準備が整ったら、次はデザインを楽しんでいただける。そういう流れを大切にしているんです。」

 

さらに、児玉さんのサロンでは耳ツボジュエリーの施術も提供している。

 

「両耳には合わせて200ほどのツボがあるんです。そこに医療用のシールでチタン粒を貼ると、脳を休ませてあげたり、肩こりや眼精疲労の緩和につながったりします。デスクワークやスマホ疲れの方が増えているので、施術の最後に手軽に取り入れられるようにと思って導入しました。」

 

爪の育成に加え、耳ツボというアプローチを取り入れることで、外見だけでなく心身のリフレッシュまでを叶えるサロンに。児玉さんの施術は、単なるネイルサービスにとどまらず「お客様を健やかにするケア」そのものへと広がっている。

 

④アートへのこだわりと多彩なサービス展開

 

nail kokoroneの大きな魅力のひとつは、豊富な経験と確かな技術に裏打ちされたアートの表現力だ。児玉さんのもとには「自分だけのこだわりを形にしたい」というお客様も多く訪れる。アニメキャラクターから繊細な和風デザイン、さらにはゴッホなどの名画をモチーフにしたものまで、そのリクエストは実に多岐にわたる。

 

「お客様はそれぞれにこだわりを持っていらっしゃるので、そのお気持ちに応えられるように心がけています。キャラクターのデザインから和柄まで、本当に幅広く取り組んでいます。」

 

技術の幅広さは、児玉さんがこれまで積み重ねてきた努力の証でもある。お客様の「こんなデザインにしたい」という思いを丁寧に受け止め、爪という小さなキャンバスに表現する。まさにオーダーメイドのアート体験といえる。

 

最近では、SNSで話題となった新しいサービスにも挑戦している。そのひとつが「ネイルチップキーホルダー」だ。TikTokを中心に注目を集めるアイテムで、ネイルができない人やロングネイルに憧れる人から人気を集めている。

 

「ネイルができない方や、長いネイルに憧れている方がチップを見て『可愛い!』と思ってくださるんです。昔はチップのコンテストに出していたので、制作には慣れていて。だからこそ今も楽しみながら作れますし、ネイルって本当に無限の可能性があると感じます。」

 

さらに、nail kokoroneには女性だけでなく、男性のお客様も訪れている。

 

「ご夫婦で来てくださるお客様もいらっしゃいます。とてもおしゃれがお好きなご夫婦で、奥様がきっかけを作ってくださり、旦那様もネイルを始められました。今ではネイルを楽しんでいただけて、リピートして通ってくださっています。」

 

アートを通じて性別や世代を超えたお客様が集まり、それぞれが自分らしい表現を楽しめる場所。児玉さんの手による多彩なサービスは、サロンを単なる施術の場ではなく「個性を輝かせる空間」へと広げている。

 

⑤お客様との絆を大切にした理想の働き方

 

児玉さんがサロンを続ける上で最も大切にしているのは、お客様一人ひとりとの関係性だ。施術を終えたあとも、気持ちに寄り添うフォローを欠かさない。

 

「他のサロンではここまでしてくれない、と言っていただけることもあるんです。ネイルが取れてしまったとか、ちょっと直したいという時には“遠慮せずにすぐ来てくださいね”とお伝えしています。それに、お客様がどんな色を好まれるのか、どんなデザインに心が動くのかを一人ひとり考えるようにしています。」

 

その姿勢は、サロンづくりの雰囲気にも表れている。あえて看板を出さない“隠れ家的スタイル”にも、児玉さんなりの理由がある。

 

「本当に隠れ家のような場所で、親戚のお姉ちゃんに愚痴をこぼしながらネイルをしてもらうような、そんな家庭的な雰囲気がいいなと思っているんです。いかにも“お店です”という感じではなく、自然体でいられる空間を大切にしています。」

 

13年間一人で歩みを続けてこられたのは、仲間の存在があったからだという。

 

「創業塾で出会った仲間の存在は大きいですね。みんなそれぞれ自宅で開業しようと同じスタートラインに立っていて、同じような悩みを抱えていました。その仲間と支え合えたからこそ、ここまで続けてこられたんだと思います。」

 

現在の働き方について尋ねると、児玉さんらしいユーモアがにじむ答えが返ってきた。

 

「目標は“ふざけて仕事する”ことなんです。日本人って本当に一生懸命働きすぎるくらいじゃないですか。年齢を重ねると疲れも出てくる。でも私は大好きなお客様と、大好きな場所でやらせてもらっているので、全然ストレスがないんです。」

 

そして、今後の展望についても自由な発想をのぞかせる。

 

「店舗を広げたいとかは全然考えていません。むしろ、もっと遊びたいんです。ガツガツいくのではなくて、面白いことが自然と起きてくれたらいいなと思っています。常に新しいものを見つけて、固定観念にとらわれずにいられるような生き方を大切にしたいんです。」

 

お客様との絆を大切にしながら、自分らしい働き方を追求していく。児玉さんが描く理想は、無理に拡大することでも、がむしゃらに働くことでもない。自由でしなやかに、自分のペースで歩むこと。その姿勢こそが、nail kokoroneというサロンの居心地のよさにつながっているのだろう。

 

爪にコンプレックスを抱えている方も、本格的なアートを楽しみたい方も、ぜひ一度nail kokoroneを訪れてみてほしい。確かな技術と温かい人柄に触れれば、爪だけでなく心までやさしく整えてもらえるに違いない。

 

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