心と体にやさしい味を届ける「ソワーユ」を訪ねてみた。





心と体にやさしい料理づくりをコンセプトに、安心して食べられるお弁当や惣菜、無添加調味料の販売、ランチ付きイベントの開催など、多彩な活動を展開している。今回はオーナーの内田まゆ子(うちだ まゆこ)さんに、キッチンカー事業を始めたきっかけや、食へのこだわりについて伺った。
- フランス語の造語から生まれた店名「ソワーユ」
- コロナをきっかけにお弁当からキッチンカーへ転換
- 恵那どりとオーガニック食材への徹底したこだわり
- ブレない信念で続ける、体にやさしい食事の提供
①フランス語の造語から生まれた店名「ソワーユ」
ソワーユの拠点は、岐阜県笠松町の閑静な住宅街にある。2015年9月の創業以来、心と体にやさしい食を提供することをモットーとしている。
この美しい響きの店名には、どのような意味があるのだろう?
「ソワーユは造語なんです。柔らかい印象のあるフランス語がいいなと思って直感的に調べていた時、私の名前がマユコで、主人の亡くなった母の名前がキヌだったことを思い出しました。繭と絹を重ね合わせ、絹を意味するフランス語が“ソワ(Soie)”だったことから、ソワーユと名付けました。」
音の響きにまでこだわった店名からは、内田さんの繊細な感性が感じられる。そんな内田さんはもともと、飲食ではない別の業態のお店を個人で営んでいたのだそうだ。
「もともとは別のお店をやっていて、そこでランチを出していたら、お客様がランチが美味しいと言ってくださったんです。そこからお弁当販売を始めました。」
料理などの専門学校に通った経験はなく、純粋に「料理が好き」という気持ちから始まった道のりだったそうだ。内田さんがオーガニック食材にこだわるようになった理由について聞いてみた。
「オーガニックにこだわるようになったきっかけは、私自身がアトピーだったことです。食に気を配るようになってから症状が改善し、改めて食の大切さに気づきました。それ以来、オーガニックにこだわるようになりました。」
当時は今ほどオーガニックが浸透しておらず、情報も限られていたが、同じ価値観を持つ友人たちに支えられながら、情報を集めた。
「調味料やお肉、お魚、ご飯まで、できる限り丁寧に選ぶようになりました。やがて、自分だけでなく人にも届けたいと思うようになったんです。」
自身のアトピー体験が、オーガニック食材への強いこだわりの原点となっているのだ。食の力で健康を取り戻した経験が、今でも内田さんの料理作りの根底に流れている。


②コロナをきっかけにお弁当からキッチンカーへ転換
内田さんは8年前からお弁当事業を始め、企業や個人のお客様に提供していた。大手ショッピングセンターに出店するなど、事業は順調に拡大。しかし、コロナ禍という大きな変化が、新たな挑戦のきっかけとなった。
コロナ禍で外食産業が大きな打撃を受ける中、内田さんはキッチンカー事業への転換を決意する。現在はお弁当の事業を続けながら、週末を中心に県内各地のイベントやマルシェに出店している。
「キッチンカーは週末の土日に出店しています。イベントによって規模が全く違っていて、大きなものでは2000人ほど集まることもあれば、数百人規模の時もあります。どこに出店するかはその時々で違うんです。」
キッチンカーでの販売を始めたことで、お弁当事業にも良い影響が出ているという。
「キッチンカーの唐揚げをきっかけにお弁当を頼んでくださる方もいれば、その逆でお弁当からキッチンカーへ足を運んでくださる方もいるんです。」
コロナという逆境を、新たなビジネスチャンスへのきっかけに変えたのだ。


③恵那どりとオーガニック食材への徹底したこだわり
ソワーユの強みは、自然派調味料と高品質な原材料への徹底したこだわりだ。
唐揚げのむね肉には「恵那どり」を使用。抗生物質・抗菌剤不使用だ。乳酸菌入り飼料で健康管理し、薄飼いでストレスフリーな環境を実現している。
衣は有機米と国産片栗粉のミックス(小麦粉・卵不使用)醤油はグルテンフリーのたまり醤油、塩は天然の「マザーソルト」を採用している。
ソワーユのメニューには、唐揚げ、オーガニックフライドポテト、全粒粉焼きそばなどがある。唐揚げは小麦粉・卵不使用だ。酵素やミネラル水に漬け込むことで、柔らかく仕上げている。
油は酸化しにくいシリコンフリーの国産米油や菜種油を使用している。さらに揚げ物の油を毎回新しいものに替えるなど、素材の安全性と品質を徹底している。
化学調味料・合成着色料・人工甘味料・保存料不使用。また野菜は契約農家から仕入れ、お米も無農薬の「つや姫」を使用。素材選びから調理法まで健康志向にこだわっているのだ。
ソワーユの看板メニューは、小麦粉を一切使わない唐揚げ。この独自のレシピは、内田さんが友人のアドバイスを取り入れながら試行錯誤の末に生み出したものだ。岐阜県のブランド鶏「恵那どり」を使用している。
「恵那どりは抗生物質や抗菌剤を使っていないんです。平飼いといって、ケージの中に入れているのではなく、外に放しているんです。乳酸菌の餌を食べていて、健康なんですよ。他の鶏肉と全然味が違うんです。臭みもなくて本当に美味しいんです。」
フライドポテトにも特別なこだわりがある。
「ポテトは有機じゃがいもを加工したものを使っています。普通のフライドポテトは植物油脂を使ってるんですが、うちはひまわり油をコーティングした業務用のオーガニックポテトを仕入れて、それを米油で揚げています。一般的な油を使ったものと比べて、体に負担がありません。お客様の中には、他のお店のポテトは食べられないという人もいます。」
体に優しく、誰もが楽しめるポテトを提供できることがソワーユの強みなのだろう。


④ブレない信念で続ける、体にやさしい食事の提供
ソワーユには多様なお客様が訪れるが、特に印象的なのは若いお母さんたちの支持を集めていることだ。唐揚げといえば男性が好んで食べるイメージが強いが、ソワーユを訪れるのは女性が多いという。
「子どもに体に良いものを食べさせたい、という気持ちで来られる方が多いです。実際にお子さん連れのお客様も多く、『子どもが美味しいと言ってくれるからまた来ました』と言っていただけることもあるんです。」
多彩なメニューを売りにする飲食店が多い中、内田さんはメニューを意図的に絞り込んでいる。この判断にも理由があるのだそうだ。
「いろいろ手を広げると、大事にしたい部分がブレてしまいます。ソワーユは、自分たちの価値観に共鳴してくださる方に選んでもらえれば良いと思っています。たとえば夏だったら、かき氷が絶対売れます。でもかき氷をやり始めると、唐揚げがおろそかになってしまうかもしれない。何かを新しく始めた結果今まで大切にしていた事を疎かにはしたくないんです。」
この一貫した姿勢により、ソワーユには多くのリピーターが生まれている。
「一度食べて美味しいと思ってくださった方が、リピートして来てくださることが多いです。さらに、オーガニック系のマルシェから出店のお誘いをいただくこともよくあります。」
さらに内田さんは3年前から新商品として「恵那どりジャーキー」の販売も開始した。これも健康面を考慮した商品開発だ。
「美味しく手軽にタンパク質を補給できるジャーキーです。私は結構プロテインとかを飲んだりするので、タンパク質をおやつで手軽に食べれたらいいなと思ったのがきっかけで作り始めました。」
味は塩、塩胡椒、柚子胡椒の3種類があり、幅広い好みに対応している。塩味はお子さんにも人気だ。
そんな内田さんの最終的な夢は、愛犬に関連した事業を展開することだという。
「ワンちゃんに関わることをいつかやりたいと考えています。それが、マルシェかもしれないし、カフェかもしれませんが、犬が好きだからこそ、いつか実現できればと思っています。」
構想の一つが、無添加のワンちゃんのおやつ作り。食を通じて人々だけでなく、その家族の一員であるペットの健康にも貢献していくことを目指しているのだ。
オーガニック食材への深い愛情と、「体にやさしい食事を届けたい」という一貫した信念を持つ内田さん。ソワーユのキッチンカーは今日も県内各地を巡り、多くの人に健康的で美味しい食事を提供し続けている。体に良いものを食べたいと考える人にとって、ソワーユは心強い味方となってくれるはずだ。「健康や環境に配慮した食を大切にしたい方は、ぜひ一度Instagramをチェックしてみてほしい。

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