細やかな“おもてなし”が光る「シーダーヒルズ カントリークラブ」を訪ねてみた。
美濃の伝統と豊かな自然を映した木々の美しいゴルフクラブだ。今回は支配人の松葉 明日香(まつば あすか)さんと営業部の加藤 利恵(かとう りえ)さんにシーダーヒルズの魅力を伺った。
- 信頼が生んだ新たなステージ
- 受け継がれる名前に込められた想い
- 小さな気づきがつくる、心地よい時間
- 挑戦と気づきがつくる、温かな運営のかたち
- 変わらぬ信念が描く、これからのこと
① 信頼が生んだ新たなステージ
まぶしい太陽の光がフェアウェイに差し込み、緑が鮮やかに映えるコースには、澄んだ空気が満ちている。「シーダーヒルズ カントリークラブ」は、県内外から訪れる多くのゴルファーに愛され、口コミでも高評価を集めている。特に接客の丁寧さや、スタッフの明るい雰囲気には定評がある。
そんなゴルフ場で支配人を務めるのが、松葉さんだ。彼女がこの場所で働くきっかけは、意外にも家族の何気ない一言だった。
「もともと学生時代から接客業のアルバイトをしていて、お客様と直接関わる仕事にやりがいを感じていました。そんな私を見ていた父が、紹介してくれたんです。ゴルフが好きな父の勧めがきっかけでしたが、実際に働いてみて、本当に自分に合っていると感じました。」
日々忙しく立ち回る中でも、お客様が見せる何気ない笑顔や「ありがとう」の言葉が、彼女にとっての何よりの原動力になっているという。学生時代に積み重ねた接客の経験が、今もそのまま仕事の軸となっている。
入社当初はフロントでの受付業務が中心だった。そこから少しずつ企画や運営、スタッフ教育など、幅広い業務を任されるようになっていった。日々の努力を重ねるうちに、周囲から自然と信頼が寄せられ、「支配人を任せたい」という声が上がったのだという。
「支配人になるために頑張ってきたというよりも、ひとつひとつの仕事に誠実に取り組むうちに、自然とそういう流れになっていった感覚です。任された以上は、より良い場所にできるよう、常に“どうしたらもっと気持ちよく過ごしてもらえるか”を考えています。」
現場のスタッフたちからも、松葉さんの姿勢は大きな信頼を集めている。営業部の加藤さんはこう語る。
「接客の姿勢も素晴らしいですが、物の配置ひとつにしても“お客様の視線からどう見えるか”“動線が負担にならないか”まで細かく考えています。何か提案を受けると、いつも“なるほど”と思うんですよ。」
小さな気づきの積み重ねが、全体の印象をつくる。松葉さんは、その“気づく力”を大切にしながら、スタッフやお客様との関係を丁寧に紡いでいる。
② 受け継がれる名前に込められた想い
「シーダーヒルズ」という名前の通り、コース内には背の高い杉の木が多く生い茂り、緩やかな丘陵地に広がる豊かな自然地形となっている。杉(シーダー)と丘(ヒルズ)、その両方の特長を掛け合わせて、この名が生まれた。
「シーダーヒルズはもともと銀行が母体となってつくられたゴルフ場なんです。その後、別会社に引き継がれましたが、歴史あるこの名前はずっと受け継がれています。覚えやすくて、親しみを感じる響きですよね。」
松葉さんはそう微笑む。名前が変わらないという事実には、長い年月の中で守られてきた「場所の誇り」がにじむ。
設計を手がけたのは、国内でも数々の名コースを手掛けた鈴木正一氏。丘陵地の地形を巧みに活かした設計は、挑戦性と美しさの両立が特徴で、プレーヤーの心を引きつけてやまない。
「初めて来られるお客様でも、“なんだか落ち着くね”“居心地がいいね”と言ってくださることが多いんです。たぶん名前の響きや景観からも、自然と親しみを感じてもらえるんだと思います。」
長く愛されてきた名前には、土地の記憶と人の想いが息づいている。
③ 小さな気づきがつくる、心地よい時間
松葉さんは、シーダーヒルズを「ただゴルフを楽しむ場所」で終わらせないために、細部にまで心を配っている。
「お手洗いに日焼け止めを置いたり、大浴場ではスキンケア用品やシャンプーを複数そろえて、お好きなものを選べるようにしています。小さなことですが、“あっ、嬉しい”と感じてもらえる瞬間を少しでも増やしたいんです。」
そう話す松葉さんの目線は、いつもお客様の立場にある。季節や天候、イベントの雰囲気など、あらゆる場面で“今、必要とされるもの”を考え抜いている。
「たとえば、真夏のコンペのあとに冷たいゼリーをお渡しすることもあります。こういう小さな気遣いの積み重ねが、信頼や満足感につながっていくと感じています。」
おもてなしの姿勢は、ゴルフプレーの合間だけでなく、併設のレストランにも息づいている。南側が全面ガラス張りとなった明るい空間は、陽光が差し込み、丘陵の緑を一望できる心地よい場所だ。
「食事も“楽しみのひとつ”にしていただけるように、新メニューは必ず自分で試食します。味や盛り付けのバランス、売上の推移などを見ながら、定期的にメニューを入れ替えているんです。」
季節ごとに新しいメニューを考案し、その情報をInstagramでも発信。お客様が“次はどんな料理があるだろう”と楽しみにしてくれるような工夫を続けている。日常の小さな配慮が積み重なることで、いつしか「また来たい」と思わせる特別な場所になる。松葉さんはそう信じている。
④挑戦と気づきがつくる、温かな運営のかたち
松葉さんのこうした小さな気遣いは、多くのリピーターを生み出す原動力になっている。設備やサービスの見直しを常に怠らず、時代の流れに合わせてアップデートを重ねてきた。
なかでもInstagramでの発信には特に力を入れている。写真や動画を通じて、コースの美しさや季節ごとのイベント、レストランの新メニューなどを紹介。日々の投稿からは、ゴルフ場の“今”がリアルに伝わってくる。
「夏場の暑さ対策として冷房クーラーカートを導入したときに、“どこで知りましたか?”というアンケートを行ったんです。すると、知人の紹介やホームページ、そしてインスタグラムという回答が多くて。やはり口コミやSNSの力はとても大きいと感じました。」
SNSは単なる宣伝の場ではなく、訪れるお客様との対話のきっかけでもある。SNSを通じた交流も、現場での心配りも、すべては「お客様に気持ちよく過ごしてもらうため」にある。どちらも松葉さんにとって、シーダーヒルズをより良くしていくための大切な“コミュニケーション”の形だ。
変化を恐れず、信頼を積み重ねていく姿勢。それが、シーダーヒルズの穏やかな空気を支えている。
⑤ 変わらぬ信念が描く、これからのこと
シーダーヒルズを支える従業員の多くは、長年この場所で働き続けるベテランスタッフだ。経験を重ねた仲間たちの間には、自然と強い信頼関係が生まれている。松葉さんはそんな環境の中で、一人ひとりのライフステージや家庭の事情にも寄り添いながら、柔軟な運営を心がけている。
「ゴルフ人口は年々減っているのが現状です。そんな中で、お客様に安定して来ていただくことは決して簡単ではありません。だからこそ、従業員と一緒に試行錯誤しながら、喜ばれるサービスを続けていきたいです。みんなが笑顔で接客している姿を見ると、私自身も嬉しくなります。」
ともに働く営業部の加藤さんもその想いに共感する。
「従業員同士の連帯感が本当に強いんです。困ったときにお願いしても、“大丈夫、やりますよ”と快く引き受けてくれる。支配人と従業員の間に信頼関係があるからこそ、この雰囲気が成り立っているんだと思います。」
支配人という立場で現場を率いながらも、松葉さんは常に“人としてどうあるか”を大切にしている。
「女性だからというよりも、“自分らしく”運営することを意識しています。その中で、人として当たり前の態度を忘れないようにしたいと思っていて、うまくいかないことがあっても、平常心を保つことを大切にしています。それは簡単ではありませんが、私の中でずっと大事にしている信念です。」
支配人となってからの8年間で培われた経験と信念は、確かな軸として今も松葉さんの中に息づいている。小さな気配りの積み重ねや、一人ひとりに誠実に向き合う姿勢。それこそが、これからもシーダーヒルズを支え続けるのだろう。
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