サービス業
岐阜市

“人の力”を中心に成長を続けるIT企業「株式会社テクノア」を訪ねてみた。

“人の力”を中心に成長を続けるIT企業「株式会社テクノア」を訪ねてみた。
TOM
TOM
未経験でも働ける会社なんだって!ボク、エンターキーを押す動作だけは完璧なんだよ。
SARA
SARA
エンターだけ極めても仕事は進まないわ。むしろ勝手に押されると迷惑よ。
TOM
TOM
えー!押しすぎて壊したこともあるのに!
SARA
SARA
・・・その熱量は他のところに注いで欲しいわね・・・
岐阜市にある「株式会社テクノア」をご存知だろうか。
中小企業向けDXソリューションを手がけ、ソフトウェアの提供、開発を通して、お客様の未来を共に作るIT企業だ。今回は代表取締役の山﨑 耕治(やまさき こうじ)様と広報・マーケティング担当の篠田 光貴(しのだ みつたか)様にテクノアの強みや社員に対する想いを伺った。
今回のツムギポイント
  • 社名に宿る価値観と創業者の想い
  • 異色の経歴から社長へ。最善観で決断したキャリア
  • 技術ではなく“人”で選ばれる企業文化
  • 社員の幸せを第一にする、人を大切にする経営
  • 変化に挑み続ける成長戦略

①社名に宿る価値観と創業者の想い

 

「テクノア」という社名は現在、“テクノロジー”と“ノアの方舟”を掛け合わせた独自の意味を持っている。

 

しかし、この由来は創業当初から存在していたわけではない。もともとは「テクノロジー」と「OA(オフィスオートメーション)」を組み合わせ、「時代の技術革新を支える企業でありたい」という意図で名付けられたものだった。

 

会社が成長し事業領域が広がっていくなかで、先進性や文化的価値をより強く打ち出す必要性を感じ、そこへ新たに「ノアの方舟」を象徴とした精神性を重ねていった。現在の社名の意味は、その進化の結果として形作られたものである。

 

「『ノアの方舟』が象徴する先進性や精神力を、企業として大切にしたいという考えがありました。」

 

ロゴマークには「外洋帆船経営」をイメージしたデザインを採用している。

 

先代社長は大手システム会社で営業職として働く中で、「お客様の課題解決に向けた熱意が、開発側まで十分に伝わらない」という葛藤を抱えていたという。

 

「営業として真剣に向き合い契約に結びつけても、開発側にバトンが渡った瞬間に熱量が薄れてしまうと感じていたようです。」

 

大きな組織では、部署間の温度差や認識の違いが生まれやすい。

 

「だからこそ、自分自身で独立し、お客様へ最後まで責任を持って向き合える会社をつくりたい。そんな想いからテクノアが誕生しました。」

 

創業の想いはそのまま経営理念の土台となり、現在の独自の経営スタイルへと受け継がれている。

 

② 異色の経歴から社長へ。最善観で決断したキャリア

 

山﨑社長がテクノアへ入社したのは2000年。前職は料理人という異色の経歴で、将来自分の店を開くための資金を貯めようと、IT業界への転職を決意したのがきっかけだった。当時、会社は創業19年目、従業員約80名の中堅企業だったという。

 

「入社後は東京支社で生産管理システムの営業を担当していました。自分なりに努力し、入社3年目以降は全社トップの成績を残すことができました。その結果として東京の責任者を任され、2008年には生産管理事業の事業部長にも昇進しました。成果が形となって返ってくる営業の仕事は、本当にやりがいがありました。」

 

それから数年後、先代社長が病気で入院し、会社のこれからを考えざるを得ない時間が訪れる。実際にどのような話し合いがなされたのかは分からないが、状況を踏まえれば、会社売却という道や、外部から経営を託す方法、親族による承継、あるいは社員の中から新たな社長を選ぶといった様々な可能性が、選択肢の一つとして思い描かれていたのかもしれない。

 

最終的にテクノアは、会社の文化や理念を理解し、価値観を共有できる社員から社長を選ぶという決断をした。

 

「ある日突然呼び出されて、次期社長になってほしいと言われました。本当に驚きましたし、最初は実感が湧きませんでした。ただ、私にはずっと大切にしてきた『最善観』という考え方がありました。」

 

“最善観”とは、「自分に起こる出来事はすべて必然であり、最善である」と受け止める思考である。

 

「もちろん大きなプレッシャーはありましたが、自分に与えられた使命だと思い、覚悟を決めて引き受けました。」

 

山﨑社長は、社長の役割を「会社の最終決定者を務める一社員」という感覚で捉えている。

 

「社長という肩書きに特別な感じはありません。さまざまな経験やご縁から学ぶことが多く、とても恵まれた環境だと感じています。」

 

営業、管理職、そして最終責任者としての経験が積み重なり、現在のテクノアの文化を形成する礎となっている。

 

③ 技術ではなく“人”で選ばれる企業文化

 

テクノアでは、お客様に選ばれる理由は技術だけではなく、最終的には「人」によるものであると考えている。最大の強みは“人材”であり、その価値観は社内の隅々まで共有されている。

 

広報担当の篠田さんは、テクノアの仕事について次のように語る。

 

「私たちの役割は、単にシステムを提供することではありません。お客様のお困りごとや、実現したい未来から課題を探し、ゴールまで伴走することだと思っています。」

 

篠田さん自身、以前は営業としてお客様と直接向き合っていた。

 

「商品を売って終わりではなく、お客様にとって何が最善かを常に考えて動いてきました。」

 

お客様から寄せられた感謝の声は社内で掲示し、見える形で共有している。「売上が伸びた」「交渉がスムーズになった」といったリアルな声が、社員の励みになっているという。

 

山﨑社長はこう続ける。

 

「IT業界はどうしてもスペック比較や価格競争になりがちです。しかし私たちは、お客様の“なりたい姿”を叶えるツールとしてITを活用するという考え方です。だからこそ課題発見からゴールまで一貫してサポートすることに価値があると思っています。」

 

テクノアでは、営業から開発、サポートまでを自社で完結している。技術力だけでなく、コミュニケーション能力や人間力も重視した採用と育成を行っている。

 

「未経験者でも、ポテンシャルを重視して採用しています。ゼロから育てられる環境が整っていて、経営数字の共有や経験発表、読書感想の共有など、学びの場をしっかり設けています。」

 

社員同士の交流や福利厚生も充実しており、職場の雰囲気も良好だ。資格取得支援も積極的で、中小企業診断士が10名以上、ITコーディネーターが100名超在籍している。まさに“課題の解決に特化したコンサルタント集団”といえる。

 

④ 社員の幸せを第一にする、人を大切にする経営

 

テクノアの組織文化の中心には、「人を大切にする姿勢」がある。技術や制度だけではなく、社員一人ひとりの人生や想いに寄り添う姿勢が、会社全体の空気感を形づくっている。

 

「社員の皆さんには、自分の子どものような気持ちで接しています。だからこそ、社員の幸せが一番なんです。数ある会社の中からテクノアを選んでくれたことに感謝しかありません。」

 

会社が社員を大切にすれば、社員もまた自然と会社へ感謝を返していく。その循環が組織全体を底上げすると山﨑社長は語る。

 

「まず会社が社員を想うことが大事です。大切にされていない環境で、社員が全力を尽くすわけがありません。会社が真剣に思えば思うほど、社員ももっと頑張りたいと思えるんです。それが結果として成長につながるんですよ。」

 

篠田さんは勤続18年。その理由をこう話す。

 

「人間関係が良いので働きやすく、本当に仕事が楽しいと感じられています。社員同士が交流する機会も多いことが魅力です。」

 

テクノアには登山やフットサルなど25のサークル活動があり、業務外での交流が自然と信頼関係を深めている。

 

「共通の経験があるからこそ、仕事でも協力しあえるし、やりがいや楽しさも増すんです。誰かの役に立つこと、感謝されること、仲間と成長できること。これを日常で実感できる会社であり続けたいと思っています。」

 

理念研修を通じて全社員が理念を言えるほど浸透しており、会社の数字も開示している。人事評価や福利厚生の見直しにも社員が参加し、“全員で会社をつくる文化”が息づいている。

 

こうした想いを社外にも広げるため、山﨑社長自身が会社説明の場にも積極的に立っている。

 

テクノアの経営は「人の幸せ」を軸に置いた、温かくも強い信念に支えられている。社員が安心して働ける環境を整え、共に成長しようとする姿勢こそが、企業の持続的な発展を生み出しているのである。

 

⑤ 変化に挑み続ける成長戦略

 

テクノアは着実に成長を続けているが、同時に向き合うべき課題も多い。

 

「IT業界は変化が非常に速いので、私たち自身も常に進化し続ける必要があります。サービス品質の向上や次世代への事業承継など、乗り越えるべき壁はたくさんあります。」

 

開発体制の強化や製品開発のスピードアップなど、大きな課題にも社員全員が主体的に取り組む姿勢が特徴だ。

 

「テクノアでは、企画や事業を進める際には希望者を募る制度を採用しています。手を挙げた社員が主体となってプロジェクトを動かすんです。次の経営人材を育てるための教育も、同じように希望者を募って始めています。」

 

主体的に手を挙げて参加する文化は、社員一人ひとりに責任感と自律性を育てる。

 

「仕事は指示されて行うものではなく、自ら決めて取り組むもの。大変なこともありますが、それも含めて大きな成長につながるはずです。」

 

テクノアが掲げるのは、「日本でいちばん『ありがとう』が届くIT企業」になること。

 

「お客様の役に立つことを第一に考え、想いが伝わり、感謝の声をいただける。その循環が、会社のさらなる発展につながると信じています。」

 

課題に向き合う強さと、人を大切にする温かさを両立させながら、テクノアは未来に向けた歩みを止めない。

 

社会の変化が加速する今、企業に求められるのは“技術力”だけではない。人を思い、人を育て、共に成長していく力だ。テクノアの歩みは、その本質を体現している。

 

技術と人が調和し、心からの「ありがとう」が連鎖する企業として、これからも社会に価値を提供し続けることだろう。

 

SNSで記事をシェアしよう

RECOMMEND

記事一覧へ戻る

Instagram