指先から、自分を取り戻せるネイルサロン「sol nail」を訪ねてみた。
落ち着いた空間と、一人ひとりに寄り添った施術で、リピーターの多いサロンとして知られている。オーナーの林 真弥(はやし まや)さんに、開業に至るまでの想いや、サロンづくりで大切にしていることをうかがった。
- 自分らしく生きていくための再出発
- 「輝き」を取り戻す場所
- ライフスタイルや価値観まで読み解く感性
- お客様が共鳴する「世界観」
- 自己肯定感を高める「言葉のチカラ」
①自分らしく生きていくための再出発
林さんはコロナ禍を経て、自分のこれからの生き方を見つめ直したそうだ。林さんは長く専業主婦として子育てに力を注いできたが、家族中心の毎日を送る中で、ふと立ち止まって考える瞬間が訪れた。
「不満があったわけではないのですが、このままだと、“お母さん”の私しか残らないんじゃないかと考えたんです。」
子どもはいつか自立していく。確かに、愛情深く向き合えば向き合うほど、自分の人生との境界が曖昧になる。
「子どものことを一番に考えて全ては子どものためにと思っていましたが、このままの向き合い方だと、いつか子どもに負担をかけてしまうかもしれないと思ったんです。」
ひとりの人間として、自分の人生を大切にしたい。自分の足で立って歩きたい。そう心に決めた林さんは早速、行動を開始した。美容部員の経験もあり、美容というジャンルにはもともと強い想いがあった。
「好きなことを仕事にして独立するなら何がいいだろう、と考えたとき、真っ先に浮かんだのがネイルでした。ほとんど直感でしたが、ネイルをやろうと決めたんです。」
当時は子育て真っ最中だったが、すぐにネイルスクールへ通い始めた。
「当時は子どものことも家のことも全てやりながらだったので大変でしたが、ネイルを勉強し始めたら本当に楽しくて、練習も全然苦じゃありませんでした。」
資格の勉強にも真っすぐ向き合った林さん。難しいことで知られるネイル資格(JNA上級)にも挑戦し、名古屋のスクールへ通いながらコツコツとスキルを身につけていった。
「子育てをしながら名古屋まで通っていたので、どうしても短期間で合格したいと強く思っていたので、頑張りました。」
資格取得後は、実際の現場で力をつけるためにネイルサロンへ勤務。お客様と向き合いながら技術と経験を積み重ね、独立への準備を少しずつ整えていった。そして2024年6月、ついに自身のサロンをオープンすることに。
家族のためだけではなく、“自分の人生を歩きたい”という気持ちに素直になった一歩。その背景には、静かな情熱と、自分らしさを大切にする姿があった。
②「輝き」を取り戻す場所
サロン名の「sol nail」は、スペイン語で“太陽”を意味する「sol」から名付けられている。光そのものに価値があるように、女性が自分自身の輝きを取り戻せる場所にしたかったという想いが込められている。
「solには、太陽とか輝くとか、唯一の価値という意味があります。女性をメインとしたサロンなので、来てくれた方がありのままの自分で輝ける場所にしたいという気持ちを込めました。」
ネイルは単なる装飾ではなく、自信のスイッチになる。指先が美しいだけで、日常に潤いや輝きが増える。
「ネイルは生活の中でふと目に入った時に、モチベーションが上がったり、『可愛い』と幸せな気持ちになれます。それがネイルのチカラだと思います。」
美しい指先からお客様一人ひとりを輝かせたいーー店名には、そんな林さんの願いが込められている。
③ライフスタイルや価値観まで読み解く感性
多くのネイルサロンがあるなかで、sol nailには自由で個性的なデザインを求めて人が集まる。やりたいニュアンスや質感を一緒に作り上げるスタイルが支持されているからだ。
「サロン勤務のときは色を一つ足す、パーツを一つ付けるごとに細かく料金が設定されていたので、お客様のなかには予算の関係で『それなら今回はやめとく』という方もいらっしゃいました。なんだか申し訳ないような気持ちになりましたし、私もお客様の好きなデザインができないと消化不良のようなもやもやがあったので、今は細かく料金設定はしていません。」
林さんが得意なのは、光や質感の重なりを楽しむニュアンスネイル。お客様のその時の気分やライフスタイル、服のテイストまで読み取り、個性を引き出し、その人らしいニュアンスを乗せていく。技術はもちろん、感性を磨き続けることも必要になってくるが、好きな事だからこそ、学ぶことすら楽しいと話す。
「勉強っていうほどじゃないですけど、先生に教えてもらったり、いろんな表現を学んだりします。デザイナーに近いのかもしれないですね。一つひとつ違って、同じものにはならないのが良さであり、面白さだと思います。」
sol nailでは、見た目の美しさだけでなく爪そのものの健康も重視している。
その象徴が“フィルイン施術”。通常のネイルは毎回、ベース・カラー・トップの全てをオフしてから、新たに塗り直すのに対してフィルインの場合はベースを残したまま新しいデザインに付け替える技法だ。
「フィルインは地爪を削ったり、アセトンを使わないので、爪に負担が少ないんです。なので、爪が薄くなったりしにくいので爪に優しい施術なんです。」
お客様には、いくつになってもネイルを楽しんでほしいと考え、しっかり専門知識を持った施術を提供している。
④お客様が共鳴する「世界観」
現在は、若い世代を中心に多くのお客様が訪れており、リピートして通う方も目立つ。そうしたお客様が足を運ぶ理由の一つには、林さんが大切にしている世界観に共感しているように感じた。
爪を飾るだけではなく、自分のスタイルを実現できる場所として選ばれている。
「幅広い年齢層の方にご来店いただいていますが、その中でも、特に若い世代の方が多い印象です。私自身、ここまで多くの方に足を運んでいただけるとは思っていなかったので、とても嬉しく感じています。リピートして通ってくださるお客様も多く、そのことが何よりありがたいですね。デザインの部分を評価して、継続して選んでいただけているのだと思います。」
現在、SNSでの発信と紹介で予約が埋まる。かつてはネイル予約アプリも使っていたが、世界観が伝わるSNSへの一本化で、林さんのファンが集まるようになった。
「最初はネイルサービスアプリも使っていたんですが、今はSNSを見て来てくださった方とお友達からのご紹介で来てくださる方が多いですね。ありがたいことに広告などを使わなくても自然と広がっていった感じですね。」
林さんにとって嬉しい瞬間は、施術後に綺麗になった爪を見てお客様が輝く瞬間なのだそうだ。
「仕上がったネイルを見て『可愛い~』と言っていただける瞬間は、本当に嬉しいんです。それに、『友達にも可愛いって褒められました』と報告していただけると、こちらまで幸せな気持ちになりますね。」
お客様の喜びやモチベーションが上がる様子こそが、林さんの原動力となっている。これからも指先から始まる小さなときめきを届けながら、多くの女性に輝くきっかけをもたらしていくのだろうと感じた。
⑤自己肯定感を高める「言葉のチカラ」
sol nailには、もう一つお客様から支持される要素がある。「ここだと素直になれる」という安心感だ。プライベートサロンだからこそ、1対1で何でも話しやすく、お客様が“前向きな自分”を取り戻せる時間を大切にしている。
「お客様がリピートして来てくれるのは、ここが話しやすい空間になっているからだと思うんです。近すぎず遠すぎず、絶妙な距離感というか、友達などには言えない悩みってありますよね。そういうのを安心して話せる場所でありたいんですよね。」
林さんが、特に意識しているのが「言葉」。お客様にはとにかく前向きに、美しく帰ってほしい。その気持ちから施術中の会話でも、自己肯定感が上がるポジティブな言葉遣いを心がけているという。
「若い世代のお客様が多いので、つい親のような気持ちで見守ってしまうんです(笑)。悩んでいる子がいれば応援したくなりますし、いいところをたくさん伝えて、自信を持って帰ってもらいたいと思っています。言葉の力って本当に大きいので、自分がどんな言葉を届けるかはいつも意識しています。」
sol nailの接客は、技術以上に“心が整う時間”。誰かの背中をそっと支え、日常のなかに小さな光を届ける場所になっている。林さんの歩みは、これからも止まらない。
「今後は、教えることにも挑戦したいです。いまネイル講師の資格を目指していて、若いお客様が多いからこそ、以前の私のように心にモヤモヤを抱えている人の力になれたら嬉しいですね。」
ネイルはただの飾りではない。迷いをほどき、そっと人生を前に進めてくれるスイッチにもなる。
「これまでずっと一人で続けてきたので、将来的には誰かと一緒にお店をつくっていけたらと思っています。育成を通して、一緒に働ける仲間が増えたらいいですね。」
sol nailは、林さん自身が自分と向き合いながら育ててきた場所。その温かな空間のなかで、自分を肯定し、もう一度“自分の物語”を選び直す人たちが少しずつ増えている。
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