根本から寄り添う整骨院「Body Roots整骨院」を訪ねてみた。
2025年11月1日にオープンした整骨院で、その場しのぎの癒しではなく、根本から症状を改善することを大切にしている。今回は、院長の中村 英幹(なかむら ひでき)様にお話をうかがった。
- 名前に込めた「根本から治したい」想い
- 車の営業マンから整骨院の道へ
- 兄弟で専門学校へ、そして独立の決意
- 自律神経までアプローチする施術
- 出すぎた杭は誰からも打たれない
①名前に込めた「根本から治したい」想い
Body Roots整骨院という名前には、中村さんが大切にしてきた考え方が、そのまま表れている。
「その場しのぎの施術は、僕はもともと好きじゃないんですよ。例えば腰が痛いからといって、腰に電気を当てたりマッサージをしたりして、一時的に楽になる。でもそれって、本当に良くなっているのかというと、次の日にはまた元に戻っていることが多いですよね。」
実際に、1年以上マッサージに通っているにもかかわらず、症状が改善しないという話を耳にすることも少なくない。そうした状況に疑問を感じた中村さんは、「患者様と関わるのであれば、根本から向き合いたい」という想いを強くしていった。
「僕としては、やっぱり関わるなら根本から直したい。その想いはずっと変わっていません。」
Body Rootsという名前にある「Roots」には、大きく三つの意味が込められている。
一つ目は、「根本から直したい」という施術への姿勢を表す“根っこ”としての意味。
二つ目は、症状だけを見るのではなく、その人の人生や背景といったバックボーンまで踏み込み、寄り添った施術を行いたいという想い。
そして三つ目は、中村さん自身の名前である「英幹(ひでき)」の「幹(みき)」にも重ねている点だ。
「自分自身がこの場所を好きでいないといけないと思ったので、自分の名前も店名の意味に込めました。」
店名の一つひとつに込められた言葉からは、患者様と真剣に向き合おうとする中村さんの姿勢と、この仕事に対する強い想いが伝わってくる。
②車の営業マンから整骨院の道へ
中村さんのこれまでの歩みは、整骨院とはまったく異なる業界から始まっている。大学卒業後、愛知県を中心に車の営業職として働いていた。
「もともと車が好きだったので、車に関わる仕事がしたいと思って営業職につきました。」
扱っていたのはSUVや四駆といった大型車が中心だった。整備士のフォローに入ることも多く、重いタイヤを持ち運ぶ場面も少なくなかった。もともと腰痛を抱えていた中村さんにとって、身体への負担は次第に大きくなっていった。
そんな中、愛知から岐阜に戻るタイミングで通い始めた整骨院での出会いが、人生を大きく変えることになる。
「そこの先生が本当に寄り添ってくれて、『根本から直さなきゃダメだよ』って。腰だけじゃなく、別のところも診てくれて、それで腰痛が劇的に変わったんです。正直、衝撃でした。なんてすごい仕事なんだろうって。」
車の営業は、売ったらそこで一区切りになる仕事だ。一方、整骨院では通うごとに身体が変わり、症状が改善していく過程を患者様と一緒に見守ることができる。
「良くなっていくまでの過程をずっと見られる。その関わり方に、すごく魅力を感じたんです。」
そう感じた翌日、中村さんは迷いなく辞表を提出した。
「すごい仕事だと思った次の日には、もう辞表を出していました。」
さらに辞表を出した翌日には、専門学校の願書を提出する。整骨院を開業するには国家資格が必要であり、そのためには3年間の専門学校への通学が欠かせなかった。
「日中は働きながら、月曜日から土曜日の夕方5時から夜9時半まで名古屋の専門学校に通う生活を3年間続けました。」
周囲からは心配の声が上がることもあったが、生活面では、奥様や奥様のご両親の支えが大きかったという。
「本当に助けられました。迷惑もたくさんかけましたが、信じて支えてくれたことには感謝しかありません。」
整骨院という新たな道への挑戦は、家族の理解と支えがあったからこそ、少しずつ形になっていったのだ。
③兄弟で専門学校へ、そして独立の決意
実は、中村さんが通った専門学校には中村さんのお兄様も在籍していた。お兄様もまた車屋で働く中で整骨院に通い、同じように感動する体験をしていたのだ。
「たまたま連絡を取ったときに、整骨院に通ってすごく感動したって話をしたら、『実は・・・』って話してくれたんです。じゃあ一緒に専門学校行こうか、という流れになりました。」
さらに、三兄弟の末っ子、弟様はすでに専門学校に通っており、結果的に三兄弟が同じ専門学校に在籍することになった。偶然が重なり、同じ学年になるという出来事もあったという。
専門学校卒業後、中村さんは岐阜県内の大手整骨院グループに就職する。入社当初から、30歳で独立することを目標に掲げていた。
しかし、会社から必要とされる中で月日は流れ、気づけば30歳を過ぎ、35歳を迎えていた。
「このままさらに5年経ったらもう40歳になる。30歳で独立するって決めていたのに、このままでいいのかなって思ったんです。」
会社への感謝や愛はあった。それでも、自分の人生としての夢は諦めたくなかった。上司に改めて独立の想いを伝えると、社長から意外な言葉が返ってきた。
「君のタイミングで辞めていい。必要な存在だけど、君の人生を本気で応援したい。君のキャリアなら、独立しても必ずうまくいく。」
その言葉に、中村さんは大きく救われたという。奥様もまた、独立に反対することはなかった。
「これまで何度もシフトチェンジしてきましたけど、それでもうまくいっている姿を妻は見てきているので、『大丈夫じゃない?』と信じて支えてくれました。」
現在、お兄様も岐阜県内で整骨院を開業している。兄弟で切磋琢磨してきた日々と、周囲からの応援が、中村さんの背中を力強く押してきた。
④自律神経までアプローチする施術
Body Roots整骨院の大きな特徴の一つが、自律神経まで視野に入れた施術だ。
「一般的な整体では、骨盤矯正や首の矯正など、歪みを整える施術が多いと思います。でも、歪みを取ればすべての症状が良くなるかというと、実はそれだけではないんです。」
自律神経は、交感神経と副交感神経の二つから成り立っている。日中は交感神経が優位になり、筋肉は緊張状態に。夜になると副交感神経が優位になり、身体はリラックスし眠りへと向かう。
しかし、慢性的な不調を抱える人の多くは、夜になっても交感神経が優位なままだという。
「リラックスしているつもりでも、筋肉はこわばっていて、呼吸も浅い。その結果、眠りが浅くなってしまうんです。」
この状態が続くと、防御反射によって関節が固まり、血液やリンパの流れが滞る。そこから腰痛やさまざまな不調が生まれる。
「歪みを整える施術に加えて、自律神経へのアプローチを行うことで、より根本的な改善につながります。」
自律神経への施術は難易度が高く、表層の筋肉ではなく、身体の内側へ働きかける必要がある。そのため、食事指導や日常生活での過ごし方についても丁寧に伝えている。
「整骨院での施術だけで改善されるものではありません。ご自宅でも続けてもらうことで、初めて症状は落ち着いていきます。」
中村さんは、自分をあくまで“サポーター”だと考えている。
「最終的に治すのは、患者様自身が持っている自然治癒能力なんです。」
また、症状の先にある「本当の悩み」に寄り添うことも大切にしている。
「腰痛そのものより、腰痛があることで何ができなくなっているのか。バスケができない、育児がつらい。そこが本当の悩みだと思っています。」
症状の改善は通過点であり、その先の未来を見据えた計画を提示することで、患者様に安心感を与えている。
⑤出すぎた杭は誰からも打たれない
中村さんの座右の銘は、「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は誰からも打たれない」。
この言葉を胸に、大手整骨院グループではエリアマネージャーまでキャリアを重ねてきた。
「技術が高い人が一番いいかというと、そうとも限らないと思うんです。ただ話や悩みを聞いてほしいという方もいます。だからこそ、技術力と対応力の両方を大切にしたいと思っています。」
技術だけでも、寄り添いだけでも足りない。その両方を高いレベルで提供することが、中村さんの信念だ。
オープン前には、チラシを手に毎日自分の足で一軒一軒挨拶回りを行った。
「自分で回った方が、達成感もありますし、気持ちも伝わると思ったんです。」
その姿勢は地域にも伝わり、「近くに整骨院ができてうれしい」という声が多く寄せられている。
今後の目標は、地域に根ざした店舗作りだ。数年後には多店舗展開も考えている。
「本巣という街を、もっと健康にしたいと思っています。僕自身、この街が本当に好きなんです。」
取材日はオープン直前、不安はないのかと尋ねると、中村さんは少し考えたあと、穏やかな表情でこう答えた。
「不安は考えないようにしています。基本的に、ポジティブなことしか考えていません。」
これまで何度も大きな選択を重ね、そのたびに道を切り拓いてきた中村さん。その言葉には、勢いだけではない、経験に裏打ちされた静かな強さがにじんでいた。前を向き続けるその姿勢こそが、Body Roots整骨院の根幹を支えているのだろう。
根本から身体と向き合いたい人、不調に悩んでいる人にとって、Body Roots整骨院は心強い存在となるだろう。中村さんの確かな技術と寄り添う姿勢が、身体だけでなく心にも寄り添ってくれるはずだ。
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