こだわりの詰まった「とんかつの太田家」を訪ねてみた。
こだわりの食材・こだわりの調理法でお客様に至福の時を提供してくれるとんかつ屋だ。本日は「とんかつの太田家」の太田さんご夫婦にとんかつへのこだわりをお聞きしに伺った。
- ご縁が繋いだ開業
- 日本料理の修行からとんかつのプロへ
- 食材へのこだわり
- とんかつ揚げ加減のこだわり
- より多くのお客様へ
①ご縁が繋いだ開業
まずは、大将の太田峻介(おおた しゅんすけ)さんと、大将の奥様の布美子(ふみこ)さんに「とんかつの太田家」開業の経緯について伺った。大将はこう語る。
「もともとは日本料理をやっていました。その後一旦、料理の世界はやめてしまったんですけど、とんかつ屋さんを立ち上げたいという会社が、飲食の経験のある人がいないかということで探していたようでたまたまご縁があって。そこでとんかつ屋さんをやることになりました。ここ、とんかつの太田家の前の話です。そこからとんかつの魅力に気づいて、某とんかつ専門店で勤めた後にこのとんかつの太田家を始めました。」
その時に名付けた「とんかつの太田家」。シンプルなこの店名について尋ねてみた。
「自分の姓を名乗るってことは、やっぱり信頼の証にもなりやすいと思うんです。太田っていう姓は珍しい名字でもないんですけど。でも自分がやっているお店なんだっていうことを自覚して、やってますって宣言するような意味合いもあり、やっぱり自分の名前を入れたいなと思いました。それにお客さんも我々のことをなんて呼んだらいいんだろうと迷うことなく、太田さんって呼んでくれます。そんな意味でも、とんかつの太田家って名付けて良かったなと思っています。」
大将とお話をしてすぐに伝わる事だが、大将の柔らかなお人柄が繋いだご縁というものをこのお話を通じてしっかりと感じとることが出来た。
②日本料理の修行からとんかつのプロへ
京都祇園で日本料理の修行をしていたという大将。とても厳しい世界で、一度は料理の世界を離れたという。
「日本料理の修行はとても厳しいものでした。一度完全に料理をやめたんです。ご縁があってとんかつのお店をやることになって、そのあとは自分のお店を開くことになりました。結婚してからもお店をいつかやりたいと話していて頑張ってお金を貯めて。でもいざ自分のお店をやるってなるともう不安しかなかったですね。オープン前日なんかもう目がギンギンで眠れなくって(笑)。」
「物件探しをしていた時、岐阜だけでなく色々なところを探しました。京都まで探しにも行きましたよ。そんな時、関市で物件を紹介してくれる話があって、見るだけでもいいから見てみる?って声をかけてもらいました。いくつか回った中でここの物件は、本当になんかビビッと電気が走るような感覚で。この店内を見た瞬間に自分がやれるって気がしたんです。ここにコレを置いて、あそこにアレを置いて・・・って自分がここでお店をやっている姿が想像できたんです。もうこの物件しかないって僕は思って、ここでやるぞって決めました。」
「僕は自分自身ツイてるし、本当に人に恵まれてるなって常に思います(笑)。」
料理の世界に再度復帰された時と同様、物件にもご縁を感じたのだと大将は笑って話してくれた。日本料理の経験からとんかつの道へ、そして自分のお店を持つということについて、大将は語ってくれた。
「日本料理を経験したことで、何かを作るとかレシピ化するっていうことは自分の得意な事になりました。その後に勤めた個人のとんかつ屋さんでは一から手作りする事を行ってきました。次に全国展開している某とんかつ店に入ってから、より洗練された動き・より早く提供する工夫・などのオペレーションを学ばせてもらいました。3つの経験が組み合わさって今の形ができています。一から作ってレシピ化・オペレーションも工夫して。やってきたことがこの形に収まりました。」
これまでの経験全てがプラスとなり今の「とんかつの太田家」スタイルとなっているのだ。
③食材へのこだわり
美味しいとんかつについては数え切れないほどのこだわりがあるのだと教えていただいた。まずはとんかつの太田家で使用している豚肉、「飛騨豚」の魅力を尋ねてみた。
「飛騨豚はまず、肉質がキメ細やかなんです。キメが細かいっていうのは、繊維の一本一本が細いという事です。僕がよく表現するのが、他の豚肉はうどんを束ねたような繊維だとしたら、飛騨豚はそうめんを束ねたような繊維です。すごくしっとりしていて、ふわっと柔らかい食感が特徴ですね。そしてロース・ヒレともにキメの細かさがあるんですけど、ロースに関しては脂身に甘みがあって、でもくどくないんです。甘みがあるのにくどくないっていうのも飛騨豚の特徴です。」
「飛騨豚に辿り着いたのには、地産地消のこだわりがあります。岐阜県でお店をやらせていただくので、近場の良いものを使えるっていう強みがあります。まずは岐阜県産のものをなるべく使うというコンセプトにしました。岐阜の豚を何種類か試させていただいて。他にもお店で出しているほうじ茶・お米・お味噌汁に使っている赤だしや、味噌ダレの味噌も、岐阜県のものから調べて色んなものを試させてもらった中で決めました。僕の中で豚肉は飛騨豚が一番おいしくて僕のとんかつに合うと思ったので、使わせてもらっています。」
さらにとんかつの太田家では、手作りに重きを置いている。
タルタルソースやお漬物などもお店で手作りをしているのもとんかつの太田家の魅力のひとつだ。手作り、自家製仕込みについての大将の想いを伺った。
「美味しいものを自分で作ることにこだわっています。これも飛騨豚を使いたいというこだわりに繋がってくるのですが、素材のままだったり下処理をしていない状態で購入することで、コストを抑えることができるんです、その分手間をかけることで、上等な飛騨豚を他店に比べて破格で提供する事ができるようになります。当たり前ですが手作りすると、安くて美味しいものができるんです。飛騨豚も、カットしたものを仕入れるのではなくてブロックで買って、自分で切って、筋の切れの処理もすべてしています。」
お客様にとんかつを美味しく食べてほしいという強い願いを聞かせてもらうことができた。どんなに大変でも、丁寧に丁寧に仕込むお店。それがとんかつの太田家だ。
④とんかつ揚げ加減のこだわり
大将のこだわりはもちろん食材だけではない。揚げ加減にも圧倒的な知識と経験からくるこだわりを持っている。
「低温と高温の油で2度揚げをします。まずは低温でゆっくりと火を入れて、次は衣をカリッとサクッとさせるために高温で揚げます。2種類の温度帯を使い分けて仕上げるという形でやっています。1回揚げただけでも提供する事は十分可能ですが、美味しさのための一手間です。2度揚げをしたら最後は蒸らしが必要です。うちはメニューがグラム別なので、最低でも3,4分は蒸らしてから提供します。蒸らす事で中はジューシーで衣はサクサクのとんかつになるんです。蒸らしもまた大切な調理方法なんです。」
大将のとても豊富な知識と、わかりやすい解説には感動してしまった。「しっかり勉強されてこその裏付けのある知識なんですね。」と失礼ながらもお伝えすると、
「今はトンカツを専門にしているので。トンカツの知識だけは人よりやはり3倍、4倍は話せないといけないかなって思っています。なので常に勉強は続けています。」と教えていただいた。
とんかつに対してのお話をしてくださった大将の目は職人のそれだった。芯のあるプロとしてのこだわり。人の口に入るものだからこその豊富な知識と徹底した安全性に感服した。しかし、とんかつのお話を終えた大将のお顔は当初の柔らかい表情へと戻っていた。それもまた大将の魅力の一つなのだろうと感じた。
⑤より多くのお客様へ
とんかつの太田家には姉妹店となる「ひれかつ専門店 美杉家」がある。「とんかつの太田家」と「ひれかつ専門店 美杉家」は同じ地域で異なるコンセプトのもと営業している。どちらもお客さんに大好評を得ている。
話は少し美杉家に移るが、美杉家の店長を務める板谷さんは元々太田家にて働かれていたという。大将に負けず劣らずの物腰柔らかなお人柄なのだとか。いろいろな経緯があった中で、板谷さんの人間性に惹かれた大将が新店舗を任された。
多店舗展開も検討されている様子の大将と布美子さん。取材をさせていただいている中、大将からは「人」というお言葉がたくさん聞かれた。
とんかつはもちろん、「人」と「ご縁」を大切にされている太田さんご夫婦。一緒に働かれているスタッフ・お客様とのご縁をこれからも広げ続け、必ず多店舗展開も実現される事だろうと感じた。
丁寧に丁寧に仕込むお店「とんかつの太田家」のこだわり満点の飛騨豚とんかつ。
「食べて美味しいかった。で終わりじゃなくて、次の日もまたあそこのとんかつが食べたいなって思ってもらいたい。」
というお二人の思いに温かい気持ちになるお客さんは、これからもきっと増え続けるはずだ。
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