社員主体でより良い業界を目指す「岐菱商事」を訪ねてみた。
ガソリン販売だけではないスタンドを目指して歩み続ける岐菱商事では、今日も未来を歩むための挑戦が続いている。そんな岐菱商事の取り組みに関してお話をお伺いしてみた。
- 創業70年を超える岐菱商事
- コーティング事業に力を入れる
- 岐菱商事の幅広い事業展開
- 岐阜の女性社長認知を高めたい
- ガソリンだけではないスタンドを目指して
創業70年を超える岐菱商事
昭和25年に創業したガソリンスタンド岐菱商事株式会社。今回お話を伺ったのは岐菱商事の3代目社長である長谷部 綾子(はせべ あやこ)さんだ。長谷部さんはお祖父様、お父様から岐菱商事代表のバトンを受け継いだ人物だ。とても社員本意な姿勢で社長を務める長谷部さん。今回お話を伺い、ともに岐菱商事でがんばってくれる社員やスタッフのみなさんを、強く信頼している様子が伝わってきた。
まずは岐菱商事の創業時代のお話を尋ねてみた。
「創業は昭和25年です。創業者は私の祖父です。当時は、車が走りだしたばかりでこれから車が流行りだすという時代です。祖父はこれからはもう車の時代だからと時代の流れを読んで、車に関する事業を始めたと伝え聞いています。」
「お付き合いのあるお客様の中には、すごく昔からの長い付き合いの方もたくさんいます。ご相談内容は本当に幅広いくて、車に関することはなんでもご相談いただけるんです。お車を探す相談や、逆に、もう車を手放そうかと考えているんだけどどうしたらいいか、という相談にも乗ります。個人の方から法人のお客様までお客様の幅も広いんです。」
3世代に渡る企業だからこそ、長年の実績からお客様からの信頼も厚く幅広い相談がくるのも納得ができた。
②コーティング事業に力を入れる
車に関する相談にも親身に乗ってくれる、岐菱商事。しかし岐菱商事の広いサポートや事業は相談だけではない。事業内容を多岐に広げており、車のコーティング技術にとても自信のある企業だ。
「コーティングに力を入れたいと思ったきっかけは、主に2つあります。ひとつは、車の整備は自社で車検整備工場を建てた為、整備を任せやすくなりました、同時に車もどんどん進化していくのでスタンドで整備できる幅が狭くなってきた背景があります。コーティングに力を入れると決めた重要な理由は、スタッフ達の参加のしやすさです。コーティングは若い子達もみんな、覚えられたらできるものなので、若いスタッフが整備よりも実際に参加しやすいんです。スタッフ達もお客さんが喜んでくれるのを間近で感じることもできるので、良いことずくめだと思ってコーティングに力を入れてやっています。」
「うちは社員が主体です。基本的に実際現場で働いている人達がやりたいって言ったことは積極的に取り入れるという姿勢を大事にしています。やりたいって言ってくれればしっかりまずはその人の話を聞いて、次に企画を一緒に考えたり、必要な物を揃えたりしていきます。」
長谷部さんのお話を聞いて、社員やスタッフの皆さんを心の底から信頼していて、大切にしている様子が伝わってきた。さらにスタッフの努力について長谷部さんはこうも語った。
「ついこの間、キーパーの技術コンテストがありました。予選をやって県大会をやって、県大会の1位のみが全国大会へ進めるっていう今回で8回目のコンテストです。今まで岐菱商事も何度か出ていましたがスタッフみんながすごく練習していたのですが、なかなか県大会で結果が残せなかったんです。ですが今回は、準優勝まで行ったんです。スタッフが毎日一生懸命に練習していたのを知っていたので、心から嬉しかったです。そのキーパーコンテストで、全国大会に行くというのも私の1つの目標になっています。」
スタッフの皆さんの努力を嬉しそうに語り、一緒に目標を目指している長谷部さん。社員の努力する姿を見守り応援する長谷部さんの姿を見て私も胸が熱くなった。
③岐菱商事の幅広い事業展開
岐菱商事は現在、事業展開を幅広く行っている。認定整備工場を持ち自社内での車検やネット販売のみの車検事業、車の保険事業や、車の売買についての相談仲介など、カーライフをトータル的にサポートされている。長谷部さんは令和に入ってからさらにひとつ、新しい事業取り組みを始められた。
「令和に入ってから、コインランドリー経営を始めたんです。私が社長就任と同時期にオープンしたので、とても思い入れがあります。駐車場が広く空いていたので、コロナ禍でイベントがなくなり出店先に困っていたキッチンカーオーナーの方に使っていただこうと、「ランドリー日和」を始めました。近所の方が何か小さな楽しみを持って来ていただける事がとても嬉しかったです。また、ランドリー店内に地元アーティストのイラストを飾ったり、戦争が始まった時は、ウクライナの方々へ愛を届けようとMojiBa®︎artist の浦上愛子さんとプロジェクトをおこなったりと、色んな事に活用していただきたいなと思っています。」
コインランドリーは需要が多く好立地だったこともあり、多くのお客様にご利用いただけていると話してくれた。
④岐阜の女性社長認知を高めたい
さらに先を見つめる長谷部さん。これから挑戦したいことのビジョンは山ほどもあるようだった。これからやりたい事についても話してくれた。
「実は岐阜県って女性の社長率がずっと最下位なんですよ。ずっと47位なんです。社長の人数ではなく、男女比率で女性経営者が最も低いんです。私の個人的な願いなんですが。それをなんとか、1個でも順位を上げたいなと勝手に思っています。そのために何か私にできることはないかとずっと考えているんです。私は会社のSNSアカウントの他に、個人のSNSアカウントを持っているのですが、個人アカウントは女性経営者を増やしたいと考えて作ったんです。もちろん経営なので簡単ではありませんが、事業継承者が女性である事が珍しくない世の中になればいいなと思っています。岐阜県という土地柄的に保守的な部分もある気がするのですが、男女関係なく活躍できることを願っています。」
経営者とは、きっと大変なお仕事なのだと思う。しかし、ご自身で情報発信することで理解を深め「女性経営者」の認知度を高めていきたいという大きな目標にはとても驚いた。しかし、社員を想い・未来を見据える長谷部さんならばきっと成しえるだろうと感じた。
⑤ガソリンだけではないスタンドを目指して
ガソリンだけではないスタンドを目指しているのだと伺い、岐菱商事が目指す今後を尋ねてみた。
「AIの時代になっても、人にしかできないことって多いはずだと私は思っているんです。お客様に”この人がいるから会いに来た”と言ってもらうことのできる会社にしたいと考えてます。スタッフ達にはそういう魅力的な人であってほしいと思っています。コーティング事業はこの先も力を入れてスタッフのみんなと更に頑張っていきたいなと思っていますね。あとは電気自動車に対しても、私たちができることはないかとずっと考えています。」
時代に合わせて車を利用する人達に寄り添っていきたいという熱い考えを語ってくれた。さらに、従来のガソリンスタンド業界にとらわれないクリエイティブな展望を話してくれた。
「ガソリンスタンドって、ガソリンを入れるために行く場所で、ガソリン入れないと行きにくいっていうイメージを皆さん持っていらっしゃると思うのですが。そこをちょっと変えていきたいなと思っているんです。ガソリン入れなくてもガソリンスタンドに来る理由を作りたいし、地域の方に喜んでいただける事をしたいと考えているんです。」
「あとはガソリンスタンドって業界全体としてどっちかっていうと、下に見られやすい産業かなと思っているんです。社会的地位が少し低く捉えられていると感じるんです。うちのスタッフ達は接客もできるし、整備もできるし、洗車もできるし、本当に何でもできるんですよ。私は岐菱商事で働いてることを誇りに思えるような会社にしていきたいと思っています。スタンドなんかで働きたくないなっていう考えに負けないような会社にしたいきたいです。それが一番の目標ですね。」
「岐菱商事で働きたい方、コーティングをやってみたい方、常にスタッフ募集していますので一度遊びに来てください!」
と笑顔で話してくれた。
社員がいてくれれば会社は自ずと良い方向に進むと自信を持って語る長谷部さんはどこまでも社員ファーストな姿勢であり、挑戦し続けることを諦めない。長谷部さんは今後一層岐菱商事の事業を展開し、濃くしていくのだろうと感じた。業界の常識を変えていくために挑戦していくという高く素晴らしい目標をたくさん話して聞かせてくれた。岐菱商事はこれからもきっと、岐阜の人々に愛されるカーライフトータルガソリンスタンドであり続けるだろう。
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