QOLを大切にする「はるにれ歯科クリニック」を訪ねてみた。
まるで美容室のような美しい建物で、予防と審美を重視している歯医者だ。今回は院長である奥 真美賀(おく まみか)さんにお話を伺った。
- 信頼と高貴が花言葉のクリニック名
- もっと予防の概念を広めたい
- 女性が働きやすいクリニックを
- 目指すは一般病院と美容院の中間
- 今後の展望は?
①信頼と高貴が花言葉のクリニック名
医療を学び大学病院勤務を経てはるにれ歯科をオープンした奥院長。はるにれ歯科というクリニック名には「信頼」と「高貴」の意味が込められているという。
「はるにれ、というのは樹木の名前なんです。とても大きな木で。私は元々植物が好きだったので、なんとなくイメージで植物に囲まれて仕事をしたいなというのがありました。私が生まれたところはすごく自然が豊かな場所で、植物に囲まれて生活していたので、植物が好きになったんですよね。」
その上であまり他の店舗名と被ることがなく、すぐにここの歯医者さんだとわかってもらえるようにしたいという思いがあり、名付けに使う植物の名前をはるにれに決めたという。
「はるにれの花言葉が”信頼”と”高貴”なんですけれど、それってまさに歯科医院にうってつけの言葉だなと思ったんです。」
はるにれは北海道や東北によく見られる樹木だ。もしかしたら岐阜の方はご存知ないかな?と考えた奥院長は、クリニックの前にはるにれを植えた。秋田から木で貰い受けたはるにれはびっくりするほど大きくなるのだそうだ。
「驚くほど大きくなった時は木と同じだけクリニックも大きくなったということで」と奥院長は笑っていた。
②もっと予防の概念を広めたい
奥院長はお祖父様、お父様と医師の家系で育った。そのため小さい頃から健康や予防についてはいろいろなことを聞いてきたという。その考えは今も奥院長の中で大切にしているものだ。
「予防が大事だっていうのを小さい頃からたくさん言われましたね。臓器とかを痛めると本当に大変だからねと小さい頃からずっと言われて育ってきました。やっぱり予防が大事だよねっていうのは歯科に進んでからもすごく思っていました。私が研修医の頃は、まだそんなに予防が浸透していない時代だったのですが、私はとにかくずっと健康で元気に過ごしたいという思いが強いんですよね。だから、他の方にもそうであってほしいと願っています。」
Quality of Life(=生活の質)の略であるQOLという考えについて、自身が医師である奥院長はこう語った。
「健康であると同時にQOLもとても大切だと思います。何かが悪化してから初めて気をつけているのではやはり少し遅いと感じます。健康なうちに健康を維持し、悪化をさせる要因を排除していく。そういう予防の概念をもう少し広めないといけないなっていうのを思っています。」
「歳を重ねたから、病気になるのは仕方がない。その考え方はとても悲しと私は思うんです。歳を重ねたからとマイナスになるのではなく、歳を重ねたからこそ、よりこれからの人生を楽しく・自分らしく生きていく事ができると思うんです。そのためにも歯に限らず事前の予防をしっかりとしていただいて楽しく明るい生活を皆さんに過ごしていただきたいですね。」
とても素敵なお考えだと共感できた。筆者も中年となり、ついつい歳のせいにしてしまいがちだ。そうではなく、年齢を重ねたからこそ得た経験をこれからの人生でより発揮できるよう健康でいよう。まさに、「はるにれ」の大きな木が年輪を重ね素晴らし樹木になるように・途中で枯れてしまわないように事前の予防を大切にという奥院長の思いがリンクすると筆者は感じた。
③女性が働きやすいクリニックを
開業から5年が経過したはるにれ歯科。色々なクリニックでの勤務を経て自身のクリニックを開こうと思ったきっかけは自身の2つの目標だったという。
ひとつは「働き方・女性が活躍できる環境」、もう一つは「治療に対する考え」だったという。
「私が研修医だった時代は、仕事とプライベートの境目があまりありませんでした。休日も当然のように勉強会などがありました。とてもハードな仕事環境だったと思います。それに今でこそ女医さんが増えてきたと思うんですけど、その当時はかなり少数だったので、今思うと男性社会だったと思います。当時は、プライベートを削っていかないと仕事が務まらないような働き方が当たり前だったんです。その環境下で自分が長期的に働くという具体的なイメージができなかったんです。」
もちろん、医師というのは直接人体に関わるお仕事。誰にでも務まるわけではない。とはいえ、当時のハードな仕事環境に疑問を抱いていたのだという。また、自分の行いたい治療に関しても想いがあったのだという。
「勤務医の場合は当たり前ですが、勤務先のクリニックの方針に従う必要があります。でも、私は予防とか審美が好きな分野でした。だから、もう少しその分野に力を入れた事をやっていきたいなっと思いました。」
「歯科の仕事自体は今も当時もやりがいを持ってやっています。しかし当時は、続けたいと思っていても、なかなか継続が可能な場所がなかったんです。仕事もプライベートも両立し、やりがいも生産性も両立できるような職場を作れるといいなっていうのがあったので自分で作りました。」
今のはるにれ歯科クリニックの基礎は、奥院長がご自身でされてきた大変だった経験や女性や子育て中の方が働きやすい環境を作りたいという女性ならではの目線からできているのであろう。
「やりたい事を仕事にできて、働きやすくて尚且つ患者様のためになるような医院ができるといいなと考えています。」
という奥院長の夢を詰め込んでできた場所がこの、はるにれ歯科クリニックなのかもしれないと感じた。
④目指すは一般病院と美容院の中間
美容も好きだという奥院長は、歯科とは医療だけにあらずという考えを持っているという。
「私は美容も好きなのですが、歯科医院は、一般病院と美容院との中間ぐらいの立ち位置だと思っています。歯科は医療であることに間違いはないんですけれども、審美的要素がすごく強いと思っているんです。歯は、顔の一部ですから。だから、歯科の治療は審美抜きには語れないと感じています。どんな治療であったとしても結局は審美につながっていくと考えると、審美・美容的要素がかなり強いかなとは思っています。」
ホワイトニングや歯列矯正をイメージしながらお話を伺うと、とてもよく理解できる。
「なので、今よりもより美しく見せたいっていう方達にとって、はるにれだったらそれが可能なんじゃないかって思ってもらえるような空間作りというか、はるにれに来たら綺麗になれるかなって患者様の気持ちが上がるような空間が提供できるといいなと思っています。」
さらに奥院長は時代の流れにとても敏感な方だ。近年のスマホ・SNS文化で今まで以上に美に対する意識が上がっているのではないかと話してくれた。
「SNSがこれだけ浸透したことによって、一般の方も感覚として芸能人みたいな感じになってきたんじゃないかと思うんです。スマホの小さい画面越しに人に見られる、アップで見られる自分の顔がどう映っているのかにすごく影響を受けていらっしゃるなと思うんです。」
SNSの流行で、より美しくあるためにという意識が高まっているのではないかと話す奥院長。ひと昔前とは異なる価値観を分析し、ニーズを見出しているようだと感じた。
⑤今後の展望は?
クリニック開業時、初めに考えていたターゲット層は50代くらいの女性だったという。その層に着目した理由を奥院長はこう語る。
「今までは、家族を優先させて自分に時間もお金も使ってこなかった方達だと思うんです。ある程度子供が手離れして、金銭的余裕も出てきた方に自分に投資していただきたいと考えました。女性って本当に大変だなと思うんです。今は少し違うんですけど、一昔前だと色んな患者様を見てきた中で主婦の方が一番歯が悪かったりするんですよ。」
その層の女性に着目をしたのは、家族が第一な生活を送ってこられた方が比較的多いからなのだとか。生活リズムが定まっておらず、お口のコンディションが悪くなりやすいという背景があるという。
「もちろん男性も外で激務の中で頑張っていらっしゃいますが、歯の事に関していうと割とリズムが整いやすいと思うんです。ある程度食事の時間が決まっていて、仕事中は食事しないなどのリズムがあると思うんです。専業主婦の方や母親は「ながら」で食事をしたり、子育て中には食事時間のリズムはなかなか作り辛いんです。若い時にはそれで良くても、今や人生100年時代ですからね。仮に80歳としてもまだ20年、50歳だったら折り返しなんです。」
人生100年時代のロールモデルを作るのは今の働き盛りの年代層ではないかと奥院長は語る。
「100年時代の生き方って、私たち世代が一番最初に模索していかざるを得ないと考えています。ロールモデルがない先駆者みたいなものだから。理想は人生の最後まで若々しく幸せに、かつある程度社会との接点を持てるような年配の方たちが増えていけば、歳を重ねるのもそんなに悪くないなと、若い世代が思ってくれるんじゃないかなって思うんですよね。」
奥院長のおっしゃる通り、将来的に「健康で元気で素敵な先駆者」がいれば、それに続けと健康や審美に意識を持つ若者も増えるだろう。まさに良い事だらけの循環なのだ。さらに時代の流れを考え、今後は小児矯正に力を入れキッズルームを院内に備えたいのだと奥院長は話した。
「広い意味で世代問わず、口腔内の環境を整えていけるようなクリニックになっていきたいと思っています。その人その人にあったやり方でいろんな提案をしていけるようになりたいです。」とお話を締め括った。
奥院長の夢を詰め込んだはるにれ歯科クリニック。時代の流れを敏感に察知しニーズに応えていく能力をこれからも存分に活かし、患者様に寄り添うクリニックであり続けるのではないだろうか。
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