飲食業
岐阜市

おかゆモーニングと手作り料理で話題の「Cafe & Dining 茶えずり」を訪ねてみた。

おかゆモーニングと手作り料理で話題の「Cafe & Dining 茶えずり」を訪ねてみた。
TOM
TOM
いちごジャム作ったんだけど、SARAほしい?
SARA
SARA
いいの?でも作れるのすごいね!
TOM
TOM
前の彼女が食べたいって言うから猛特訓したんだよね…
SARA
SARA
・・・(引きずってるのね)・・・
この記事は約7分で読めます。
今回のツムギポイント
  • 未経験からの起業
  • 食材への想い
  • 手作りのこだわり
  • お客様に支えられた再スタート
  • これから

岐阜県岐阜市にある「Cafe & Dining 茶えずり」をご存知だろうか?
おかゆモーニングがメディアに取り上げられ話題となった。コロナで打撃を受け一度はお店を閉めたが、再開して以前より勢いづいている。今回はその背景を詳しく聞かせていただいた。

①未経験からの起業

 

茶えずりの店内は洋と和が混ざったとても落ち着く雰囲気の空間が広がっていた。今回インタビューさせていただく、店長の伊藤 仁規子(いとう みきこ)さんが素敵な笑顔で出迎えてくれた。

 

さっそく、お店を始めたきっかけを尋ねてみた。

「私が結婚して嫁いだ時ここはLPガス屋さんだったんですよ。LPガスだけでは厳しい時代になって何をしようかって考えた時に、”私が一人でできること”ということで茶えずりを始めました。元々飲食店でバイトをしたこともなくて、飲食店経営については素人のような状態で始めました。」

 

創業時は飲食店未経験からのスタートだったのだという。
今でこそ大ベテランだが、当時は相当苦労されたのかもしれない。

 

お店の名前 茶えずり(さえずり) はどのように付けられたのか尋ねてみた。

「人の声もウグイスのさえずりの様にさえずってくれたらいいなというイメージから”さえずり”という言葉が出てきました。それから私が茶道を学んでいたのでお茶も提供したいという事でお茶の茶を取り、茶えずりという名前にしました。」

 

ちょうど店名を考えている時にお店にウグイスが来るようになって”さえずり”と思いついたのだと話してくれた。伊藤さんのこれまでの経験と大切にしたい想いが込められた店名であると教えていただいた。

 

お店にはどんな方がいらっしゃるのか聞いてみた。

「コロナになってからは近くにお住まいの方や常連さんが多いですね。それと、おかゆをメディアに取り上げていただいてから、おかゆを食べに遠方から来ていただいたり、県外から旅行のついでに来てくださったりもします。」

 

コロナ前は一宮や名古屋の方も多かったのだと話してくれた。また、おかゆモーニングといえば茶えずりなのだ。モーニングでおかゆをいただけるお店ということで、遠方からもいらっしゃるのだという。

 

「最近、おかゆモーニングをリニューアルしました。」

若い方にも配慮して漬物3種類を、1種類にし梅干しと温泉卵をつけてご飯をあんかけに変更されたのだそう。リニューアル後の内容を聞いているだけでも美味しさが伝わる。近くに行く機会があったら是非食べてみたいと感じた。

 

「お食事は”体に負担の少ないもの”をご提供しています。男性にも来ていただきたいと思ってガッツリ食べられるように丼ぶりもご提供しています。」

 

おかずがついた魚料理メインの丼ぶりも提供しているのだという。体に負担が少なく、ガッツリ食べられ満足できる丼ぶりも、今後さらに人気が出そうだと感じた。

 

②食材への想い

 

食材についてのこだわりを伺ってみた。

 

「元々、地産地消でやりたいと考えていました。茶えずりで使う野菜は父が作ってくれてたんですが、昨年亡くなった父が数年前に倒れてからは、出来ていないんです。なので、地産地消でお野菜を分けてくださる方がいらっしゃったら再開したいと考えてます。」

契約農家などは現在はいないが、再開に向けて動いているのだと話してくれた。

 

地産地消とはよく聞くが、スーパーに並ぶ野菜と何がどう違うのか私は正直わかっておらず、地産地消にこだわる理由を詳しく聞いてみた。

 

「仕入れる私も、それを食べるお客様も”出どころがはっきりしていて安全”その上、旬の物を提供できるとなればおいしいに決まっているので、体に優しくおいしいものを提供したいと考えてます。」

 

食材まで誰がどんな作り方をしてるのかが分かるのならば、小さなお子様でも限りなく安心して食べられるのだ。提供する側も食べる側も、自信を持って良いものだとわかっている事ほどありがたいことはない。食べる側にとって嬉しい気配りであると感じた。今後も、「食材への想い」を大切に、さらに安心でおいしい食事を提供していただきたい。

 

③手作りのこだわり

 

お話を聞かせてもらっている中で、何でも手作りしているというお話もしてくれた。どんな物を手作りされているのか、詳しく尋ねてみた。

 

「おかゆのチリメンジャコだったり、あんこやジャムも手作りして提供していますし、サンドイッチに使うマヨネーズも手作りしています。」

 

あんこやジャムを手作りする理由が市販の物では”甘すぎるため”と教えてくれた。自分で甘さが調整できて体に優しくておいしいものを提供したいということから手作りをするのだと話してくれた。体に優しくておいしいものを提供したいという伊藤さんの気遣いが感じられた。

 

「マヨネーズは卵と塩と油だけとか、あんこは砂糖と塩を少し入れるくらい。特別な材料を使っているわけではないんですけれど、それだけにやはり素材の良さが出やすいのかな。」

 

伊藤さんは科学調味料は使わず、塩や砂糖などそのままの調味料しか使用していないのだ。ここにも茶えずりのこだわりを感じる。

 

「ドリンクもこだわっています。季節のドリンクもおすすめです!どれもおいしいので是非飲んでください。」

 

梅ジュースやシソジュースなど、他のお店では見たことがないドリンクが沢山あり、全て手作りなのだと話してくれた。これは全て飲んでみたいほどだ。

 

「デザートだとシフォンが人気ですね。もちろんシフォンもゼリーも手作りしているので、時間が足りないですね。1日48時間くらい欲しいです(笑)」

 

営業中の時間だけでは足りない仕込みも多くあるのだという。やはり手作りには時間がかかるのだ。お客様からすると定休日が2日あるが、伊藤さんにとっては仕込みの時間もあるのだ。そこまで出来る裏側には、再開した時の強い想いがあるのではないだろうか。伊藤さんの熱心なお人柄もすごく伝わってくる。

 

④お客様に支えられた再スタート

 

創業されてから今に至るまでの経緯を尋ねてみた。

「オープンから11年目で一度お休みしているので実質的には今12年目くらいです。コロナの時期でお客さんが減ってしまい、このまま、ずっとお店を開けていたら生活ができないという現状になってしまい、一度閉めました。もちろんコロナを乗り切りたいという思いはあったのですが。」

コロナの影響で一度は閉めていたのだと話してくれた。
※インタビュー 2023年8月時点

 

一度閉めてから、再開することになった経緯を尋ねてみた。

「お店を閉めるって決めたときにお客様からの反響があまりに大きくて、皆さん本当に惜しんでくださったんです。お客様から”行き場がなくなるからどうしよう”とか”私は次どこ行ったらいいの?”とか言っていただいて、私の個人の問題だけじゃなかったんだと思いました。当時は本当にお店を閉めてもよかったのかなって思いながら閉めたんです。」

 

伊藤さんが考えていた以上に、お客様にとって茶えずりは掛け替えのない場所だった事を教えてもらったと話してくれた。お客様にとって茶えずりがどういう場所なのかを考えるきっかけになったのだという。

 

「お店を閉店していた時期に、調理学校の助手をしていたんですけど、その経験からやっぱり自分の居場所は茶えずりなんだって思ったんです。」「それでもう一度茶えずりをやろうって強く思いました。」

 

“茶えずり”は形としてあるが、閉店していてお客様がいないことがとても寂しかったのだと話してくれた。

 

「茶えずりは私の居場所でもあるしお客さんの居場所でもあるんだと思って、今度はもうみんなの居場所を無くさない!と思って再開したんです。」

 

お客様あってこその再開だったのである。茶えずりの再スタートの裏側には、伊藤さんの強い決意とお客様の支えがあるのだ。より意志が強まった現在は、コロナ前よりも勢い付いるのではないかと感じた。

 

⑤これから

 

今後やっていきたいことを尋ねてみた。

「ありがたいことに忙しくてなかなか出来ていないんですけど、テイクアウトスペースを作ったんですよ。あとは外でドッグカフェを開きたいと考えています。駐輪場のあたりをこれから改装して出来たらいいなと。そのあたりもこれからの目標かなと思っています。」

 

今、既にお弁当を作って欲しいという方がいらっしゃったり、お客様が外で愛犬と食べたいと言ってくださることが多くあるのだという。どちらもお客様のニーズに応える形なのだから、きっと喜んでいただけると感じた。ぜひ実現して、多くのお客様の居場所になって欲しいと思った。

 

伊藤さんの想いを今後、届けていきたい方について聞いてみた。

「これからを担っていく若い世代の方たちですね。モーニングの文化の継承や、体に優しい食事など。今の時代は、心の病も増えているので、食べる事を通して心も体も健康になって欲しいと考えています。」

 

若い世代の方への強い想いを語ってくれた。
冒頭でも触れたモーニングメニューの変更や丼ぶりメニューの考案のように、準備を進めているという。
若い世代のお客様がますます増えそうだと感じたお話を聞かせていただいた。

 

最後に伊藤さんのやりがいを感じる事を尋ねてみた。

「お客様においしかったと言ってもらえた時が一番嬉しいです。あとはここ茶えずりを一つの居場所として捉えてくださるようなお話を聞けた時は”続けていてよかった”って思います。本当に疲れが吹っ飛ぶ瞬間なんです(笑)」

 

聞いている私まで心温まるお話だった。何度も試行錯誤を繰り返し、こだわっているからこそ、その嬉しさが何倍にもなるのかもしれないと感じた。

 

「自分の好きなことをやれてるっていう気持ちが一番強いです。今はとても充実してます。気持ち的にやらされてる感じではなく、自分でやりたい事ができているから毎日がとても楽しいです。」

 

本当に素敵なお話を聞かせてもらった。お店を閉めた時に、色々考える時間が出来たことが大きかったとも話してくれた。これまでの全部が今に繋がっているのだ。伊藤さんの茶えずりだからこそ、体に負担の少ない食事や飲み物にもこだわり、その想いが多くのお客様を虜にして、そのお客様達に支えられて再スタートした今がある。

コロナ後より勢いを付けた茶えずりが、今後どのように広まっていくのか楽しみである。

 

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