多様なオーダーメイドキッチンカーを手掛ける「たのしげ製作所」を訪ねてみた。
アルミ加工技術を活かしてキッチンカーやキャンピングカーなどの製作を手掛けている。今回は、たのしげ製作所の代表 髙田昌弘(たかだ まさひろ)さんにお話を伺った。
- 創業の経緯
- 製作に込める想い
- 人に支えられて乗り越えた苦難
- 今後の展望
①創業の経緯
早速だが、創業のきっかけについて尋ねてみた。
「きっかけというよりは成り行きなんです。元々は北海道で農薬散布をする仕事の話があったんです。2人の知人と僕を合わせた3人でキャンピングカーとドローンを使った事業を始める計画をしていたんです。キャンピングカーは自分たちで作って用意することになったんです。練習としてキッチンカー製作から始めたところ、コロナの影響で北海道での仕事はなくなってしまったんです。」
「キッチンカーは作れるようになったし、作ってみて思いの外、楽しいよねってことでキッチンカーの製作事業にシフトして今の事業内容に繋がりました。」
事業の始まりについて話してくれた。キッチンカー製作は練習のつもりだったが、最終的にメインの事業内容になったという。仰るとおり成り行きなのかもしれないが、事業転換を可能にしたのは機転が利く柔軟な対応力があってこそなのだと感じた。お話を聞いていると、現在は当時の3名での経営ではないのだという。
どのようにして現在に至ったのか、経緯を伺ってみた。
「最初は3人で始めたのですが、今は一人でたのしげ製作所をやっています。大変ですけどね(笑)。」
大変だと仰る髙田さんは、笑顔だった。大変な事があってもそれを乗り越える力こそが、たのしげ製作所の強みだと確信した。
屋号の由来を尋ねてみた。
「キッチンカーなどを作ると、そこに楽しい物事や楽しい人が集まってくるように、楽しいという物は全て集まってくる…そんな想いを込めて”たのしげ製作所”にしました。あとは自分が楽しいと思った事を第一にやりたいっていう想いも強かったんです。」
屋号の由来を話してくれた。
自身がキッチンカーを作ることの楽しさだけでなく、そのキッチンカーを通じてお客様やその周りの人たちも楽しくなるようにしたいと、心の底から願っているのではないだろうかと感じた。屋号に込められた髙田さんの熱い想いと素敵なお人柄を感じられるお話を伺えた。
②製作に込める想い
たのしげ製作所の事業内容について尋ねてみた。
「たのしげ製作所ではフルオーダーのキッチンカーやキャンピングカーの製作がメインです。コロナで需要は高まっていたんですが飽和状態に差し掛かっていると感じています。逆に今後は修理の需要が増えてくると見ています。」
たのしげ製作所はフルオーダーのキッチンカーやキャンピングカーの製作がメイン業務で、今後は修理需要が増え対応するのだと話してくれた。
どんなお客様が多いのか聞いてみた。
「キッチンカー作成の依頼が多いんです。事業の独立に向けてスモールスタートがしたいという方や、セカンドキャリアを楽しみたいという方が多いですね。」
年代やニーズはお客様で様々だが、中でも多い2パターンなのだと話してくれた。
どんな提案をされるのか尋ねてみた。
「スモールスタートしたいという方はよく軽トラタイプを希望されますが、うちでは大型車で牽引するトレーラータイプのキッチンカーをおすすめしています。軽トラタイプのキッチンカーに関してはサイズも装備も積載も、全てにおいて限界値が低いので事業として満足な売上を立てるのが難しいので。」
「逆にセカンドキャリアの方は計画を綿密に立てていらしたり、趣味の一環で収益はそこまで求めていないという方が多いので、軽トラのキッチンカーでも十分な場合があると感じています。」
ニーズに合わせてそれを実現できる提案をされるのだと話してくれた。確かにこれからキッチンカーで生計を立てて行くのであれば現実的でないといけない。一方でセカンドキャリアの方はやりたいことを実現できる最低限がベストなのだ。まさにお客様の事を考えたプロ目線のアドバイスだと感じた。
キッチンカーが走り出した、その先にある楽しい!まで思い描く、髙田さんの熱い想いを感じた。
次に、仕事でやりがいを感じる事を尋ねてみた。
「やっぱり自分が作った物がいいねと褒められることはすごく嬉しい。昔は解体屋として仕事をしていたんですけど、壊しても感謝されたことはほとんど無かったから(笑)。今は1から作り上げて心待ちにしているお客様に納めるからやっぱり違いますよ。」
今の仕事にやりがいや誇りを感じているのだと話してくれた。髙田さんにとって、今のお仕事こそが天職なのもしれないとお話を伺い感じた。今後もたくさんの人のに感謝される製作をしていって欲しい。
③人に支えられて乗り越えた苦難
苦労された事について尋ねてみた。
「創業からの半年間は資金面と人材面で本当に苦労しました。周りの人の支えがあって何とか乗り越えられたんです。」「つらい経験こそしましたが、そのおかげで人との繋がりの大切さを実感できたと思っています。周囲の人に恵まれていたことを再認識しました。」
創業初期の資金面と人材の確保で苦労したが、周囲の支えがあって乗り越えることができたのだと話してくれた。人との繋がりの大切さに気づく機会となり、周囲の支えがあったことに感謝しているのだという。
仕事で大切にしていることを尋ねてみた。
「もちろん人です。何かを良くするのも悪くするのも人で、人が適材適所で助け合えば物事は良くなっていくと考えています。」
本当にその通りだ。我々も自然とやっている事かもしれないが、改めて考えると深い話だと感じた。
高田さんの座右の銘を尋ねてみた。
「他力本願ですね(笑)。他力本願って言葉を聞くと悪いイメージを持つかもしれませんが、大前提自分でできることは自分でやりますが、自分一人の力には限界があります。そういう所は仲間と助け合うことで大きなことも達成出来ると信じています。」
座右の銘も、苦労を乗り越えた経験の中で見出したのだと話してくれた。周りの人に支えられて苦労を乗り越えてきた髙田さんだからこそ、説得力がある。素敵なお話を聞かせていただいた。
④今後の展望
今後の展望について尋ねてみた。
「平田町で夜市を行いたいです。平田町=おちょぼさんというイメージが強いと思うんです。なので、まずはおちょぼさんに行くついでに夜市に行こうかな?ぐらになれば良いと思ってますが、いずれは夜市のついでにおちょぼさんに行こうかな?までにしたいですね。」
夜市を平田町の新しい名物にしたいのだと話してくれた。千代保稲荷神社という超える目標は大きいが、そこには間違いなくそれだけの覚悟があるのだと感じた。
夜市開催の構想について尋ねてみた。
「夜市開催に共感してくれる仲間を増やしながら少しずつ実現に近づけていきたいと考えています。資金不足で参加を諦めている人もいると思うので、こちらで出店支援ができる体制を考えています。」
共感者の離脱原因を解消して仲間を増やし、夜市開催に近づけるという構想を語ってくれた。確かに想いはあっても、資金面の理由で諦めてしまう人は多いだろう。共感者は現実的に集まるかもしれない。
資金の支援に関して、どのように考えているのかを伺ってみた。
「いまアルミ加工事業への展開を計画しています。その事業がうまく行ったら柱の一つとして成長させて、夜市開催の資金源に出来たらと考えています。」
この構想には正直驚いた。ご自身の事業を成長させ、その資金で地域活性化イベントを支援するというのだ。その覚悟や目標の高さから、髙田さんの「楽しいこと」への想いは計り知れないと感じた。共感者を募って実現する日も遠くないのかもしれない。
今回のインタビューを通じて、髙田さんのお人柄と想いに触れることができた。髙田さんはキッチンカーから夜市を開催し地域活性化へ、明確なビジョンを持っている。「楽しい」と「人」。ワクワクする2つのワードをいつも大切にされている髙田さん。そんな髙田さんの元には、自ずと人が集まる。多くの人を巻き込み、地域を盛り上げる存在になる日はそう遠くないかもしれない。たのしげ製作所の今後の活動に注目したい。
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