家具の品質を第一にこだわる「家具のフクタケ」を訪ねてみた。
- 継承の経緯
- 家具に対する想い
- 家具業界の課題
- 今後の展望
各務原市にある家具のフクタケをご存知だろうか。二代に渡り家具の小売業をしている家具屋さんだ。今回は代表の小川 直樹(おがわ なおき)さんにインタビューをさせていただいた。
①継承の経緯
社名の由来について尋ねてみた。
「父が創業した時に付けた社名ですが、生前に聞けていないのではっきりとした経緯は分からないです。ただ推測の範疇で考えられるのは、福は縁起が良いという意味で、岳は父方の祖先が御嶽山の信仰で御嶽山を拓いた人達らしいんです。そこの御嶽のタケが由来なのかもと考えています。」
実際には社名の由来はわからなくなってしまったのだと話してくれた。だが、フクタケという社名に込められたルーツには奥深さを感じた。現在に至るまでの経緯を尋ねてみた。
「フクタケの創業は1975年で、僕が入社したのは1998年でした。創業時は問屋さんだったから今お店になっている建物も元々タンスとかがいっぱい置いてあった倉庫でした。そこから業種転換して代替わりして来たのが今のお店です。」
創業当初から今に至るまでの事を話してくれた。フクタケは45年以上の歴史ある店舗なのだ。
「父が今までやってきた事と私がやりたかった事が違って、正直家業を継ぐことに納得できていない部分があって継ぐことにそこまで前向きではなかったんです。」
小川さんは幼少期から見てきた中で、そこまで積極的に家業を継ぎたいという思いがあったわけでもなかったのだと話してくれた。だが、現在の家具のフクタケを運営する小川さんを見ていると、そのような過去があったとは到底想像がつかない。継承のきっかけはもっと深いところにありそうだと感じた。
②家具に対する想い
家具屋業界について尋ねてみた。
「昔はタンスが高額で販売されていたんです。利益率も高いからと、タンスだけ売っていれば家具屋さんはご飯を食べられるような時期があったんです。そういうものを見てきていて、家具屋さんという仕事にあんまり良いイメージがありませんでした。」
かつてはタンスの売上だけで家具店の経営が成り立っていた時期があり、それに違和感を感じていたのだと話してくれた。
「時代的に家具業界はメーカーさんからどれだけ安いものを買ってどれだけ高く売るかという利益率ばかりを追求していって、割と粗悪なものを高い値段で売って儲けるという感覚のお店が多かったのも事実なんです。」「そういうものを買った人がどうなるかといったら、高かった割に大したことないって不信感を持つ。そうすると安い物でいいやってなってしまうお客様も多いんだろうなと思うんですよね。」
小川さんの見解を話してくれた。良い物を買わなくなってしまうきっかけは、そういった失敗経験から来ていることは多そうだ。それを引き起こして今の市場を作り上げたのは業界なのもしれないと考えると、小川さんが違和感を覚えていたのも納得だ。
良い家具はどんなものなのか尋ねてみた。
「やはり品質が良い家具です。でも最近僕が思うのは、家具には人生を変えていく力があると思っています。家具に限った話ではないですが、家具は毎日使う物なので日常の中で”本物”を使う良さを体感して、それが価値観に繋がっていくんです。そうするとその人の人生が良い方に変わっていくので。」「だから本当に欲しいと思った家具が高かったとしてもそれは多少無理をしてでも買うべきだと思っています。もちろんむやみやたらに買えというわけではないんですけどね」
家具に対する熱い想いを話してくれた。本当に納得出来る話だった。良い物は毎日使うことで良さを感じ、それが良い買い物をしたという成功体験につながって価値観になる。毎日使い続ける家具だからこそ、人の人生を変える力を秘めているのかもしれない。とても素敵なお話を聞かせていただいた。
③家具業界の課題
業界の課題について尋ねてみた。
「2つあると考えています。1つ目は既に問題になっていますが、材料の高騰です。こちらに関してはメーカーさんの部分で工夫したり頑張ってもらうのが1番だと思うので、任せるしか無いと考えています。」
業界の課題も、誰が解決するべきかを適材適所で判断し、材料の高騰に関してはメーカーに頑張ってもらう部分なのだと話してくれた。確かに業界の問題ではあるものの、小川さんのような小売業の人が介入するよりももっと適任者達に任せるというのは理に適っている。
「もう一つこれはもう少し先の話で、深刻になってくると予想されるのが配送の問題です。」
2つ目は配送関係の問題なのだと話してくれた。なぜ配送なのかを伺った。
「今は大手メーカーさんもネット販売を行なっているので、ショールームで販売というのは少なくなってきているんです。そこは大丈夫だとしても、それで配送業者が持っていって家の中への設置をすると思うのですが、設置がやっぱり難しいんです。経験がない人が対応することになっていってしまう。」
配送が問題になる理由を話してくれた。言われてみれば本当にそうだ。家具を設置出来る人というのはこれまで家具屋さんだった。このような点まで気が付ける、小川さんの見通す力は計り知れないと感じた。
④今後の展望
今後の展望について尋ねてみた。
「直近だと商品開発に関わる事が出来そうなところでいま動いているのがあるので、そちらをうまく形にしたい。もう一つはこれからなんだけど、さっきの課題でもあった配送関係の問題に向けて動く事は考えています。」
大きく2つ考えているのだと話してくれた。配送関係の問題に向けた取り組みについて詳しく伺った。
「知り合いの家具屋さんと話したんですけど、家具屋さんのネットワークを作って配送業者とその配送先地域の家具屋さんが連携して設置までするような仕組みを作りたいよねって。今もう既に大型店さんでは家具の知識がある人が少なくて問題になっているところもあるらしいんです。それで今後はメーカーさんも困ると思うんです。なのでそうなっても大丈夫なように今から動きたいと考えています。」
業界課題に向けた取り組みの展望を話してくれた。非常に具体的で驚いた。
「メーカーさんや販売店、販売員の連携。それさえできればこの業界自体は暗いものではなく、まだまだ可能性を秘めた状態だと思っています。」
小川さんの素敵な人柄を感じた。ぜひ実現して欲しいと心から願った。
今回のインタビューを通じて家具業界の未来を良くしようとする小川さんの熱い想いを知った。幼少期から家具業界の実態を知っている小川さんだからこそ見える世界があるのかもしれない。小川さんが経営する「家具のフクタケ」が家具業界で今後どのように活躍していくのか目が離せない。
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