サービス業
岐阜市

犬や猫を愛情込めてお手入れするサロン「CHOUETTE(シュエット)」を訪ねてみた。

犬や猫を愛情込めてお手入れするサロン「CHOUETTE(シュエット)」を訪ねてみた。
TOM
TOM
看板犬とか看板猫って良いよねぇ♡
SARA
SARA
そうよね!ついつい会いに行きたくなっちゃうよね。
TOM
TOM
よーし、僕も看板クマを目指して頑張るぞー!
SARA
SARA
・・・熊は怖いから誰も近づかないわよ・・・
この記事は約6分で読めます。
岐阜県岐阜市にある「CHOUETTE(シュエット)」をご存知だろうか。毛量や汚れ具合に合わせてお手入れ方法を変える、完全予約制の犬猫のサロンだ。今回は自宅兼サロンでトリマーをしている味岡 智子(あじおか さとこ)さんにお話を伺った。
今回のツムギポイント
  • トリマーを目指した理由
  • サロンだけでなくボランティアも
  • 家族との時間を大切にするために開業を決意
  • 犬や猫の気持ちになってトリミング
  • 我が子のように可愛がる方に来てほしい

①トリマーを目指した理由

 

味岡さんは、2019年11月に犬猫サロン「CHOUETTE(シュエット)」を岐阜市内でオープンした。学生時代に犬猫美容科でトリミングを学び、一生ものの技術を身に付けた。4人のお子さんの母親でもあり、産休をはさみながらも、長くトリマーとして活躍されている。

 

「出産前は妊娠8か月まで働いていました。トリミングの世界では、ハサミを3日持たないと技術が落ちると言われています。感覚が鈍ってしまわないよう、産後2か月で仕事復帰したんです。」

 

プロ意識の高さを感じさせる。なぜトリマーを目指したのだろうか。

 

「将来の進路を決めるにあたって自分が老後、どうありたいかと考えました。そしたら『優雅な犬と共に生活がしたい』というビジョンが浮かんだんです。そして優雅な犬とはどんな犬だろうと考えたときに『手入れの行き届いた綺麗な犬』だと思ったんです。それなら犬を綺麗にする技術を身に付けようと思い、トリマーの道を選びました。」

 

犬や猫が好きだから、小さい頃から犬や猫を飼っていたからという理由でトリマーを目指す人は多い。しかし、ただ単純に好きという気持ちだけではなかなか続かない厳しい世界でもある。

 

味岡さんの志望動機は少し珍しいかもしれない。しかし10代からすでに未来の明確なビジョンを持っていたからこそ、長く信頼を得ながら働くことができているのだろう。

 

②サロンだけでなくボランティアも

 

「CHOUETTE」には、とてもキュートな看板犬のしふぉん(通称:しーちゃん)がいる。穏やかな性格で噛み付いたりしないとてもお利口さんだ。しーちゃんを飼うことになったきっかけを聞いて驚いた。

 

「この子は保護犬なのです。ブリーダー崩壊現場で保護された子を譲り受けました。もう13歳です。うちに来てまだ4年かな。」

 

ブリーダーの中には、必要な知識もなく適切な飼育を行わない者もいる。その結果、飼育できる数を超えて管理できなくなってしまったのがブリーダー崩壊だ。また、お金のために無理な繁殖をさせているブリーダーも多く、衛生環境の悪さや満足な水や食料が与えられないなど、深刻な問題となっている。

 

ニュースではよく目にするが、実際にその現場にいた犬を見たのは初めてだった。今のしふぉんちゃんからは想像できないが最初のうちは人間に対する警戒心や恐怖心が大きかったのではないかと推測する。味岡さんのうちの子になってよかったね、と心から思った。

 

知人に犬を保護する活動をしている方がおり、味岡さんは、保護犬を預かるなどサポートをしているのだという。他にもトリミングやシャンプーのボランティア活動をしたり、犬猫の服をリサイクル販売してその売上を保護団体に寄付したりしている。味岡さんの犬や猫に対する愛情の大きさや深さをうかがわせる。

 

③家族との時間を大切にするために開業を決意

 

味岡さんは学校を卒業後、ある大手のサロンで長くトリマーとして働いていた。そこでは店長を務め、責任ある立場で働いていた。しかしずっと、ある葛藤を抱えていたのだという。

 

「仕事は楽しかったのですが、自分の子どもに十分に構ってあげられていないと感じていたんです。子どもを放ったらかして、私は何をしているのだろうとずっと考えていました。例えば台風などの災害が発生したとして、すぐに子どもを学校に迎えに行きたくても、店長の私がお店を空けるわけにはいかないですよね。自身で開業しているサロンであれば、お客様と調整して、迎えに行くこともできるんです。」

 

自宅を仕事場にしたことで、仕事をしながら子どもを出迎えられる。お子様の宿題を見たり、子どもの話に耳を傾けたりする余裕がある。ボランティア活動をする時間も作れる。独立開業したことで、味岡さんが理想とする生活が実現したのだ。

 

「CHOUETTE」の中には、小さな小窓がついている。そこから、お子さんたちの様子を見られる。そんな働き方ができるのも、自宅サロンならでは。味岡さんは現在、両親と同居されている。また、ご家族から開業の支援もしていただいたそうだ。家族から反対はされなかったのだろうか?疑問に思い尋ねてみたところ、味岡さんはきっぱりとこう答えた。

 

「会社に残り続けていても、潰れない保証はないですからね。家族は応援してくれていますよ。」

 

確かにそのとおりだ。誰もが名前を知っているような大手の会社も倒産する時代である。現在、経営者である味岡さんは、常に「どうすればうまくいくか」を考えている。お客様が減ってきたなら、なぜ減ってきたか、どうしたら増えるかを考え、行動する。その姿勢がご家族からの信頼を得られているのだろう。

 

④犬や猫の気持ちになってトリミング

 

「CHOUETTE」のトリマーは味岡さんお一人。お客様はシャンプーの子が多ければ1日5・6件、カットの子が多い場合は1日3・4件だという。トリミングでは、まず爪を切り、足の裏にバリカンをかける。滑らないように足裏の毛を刈ってゆく。そして耳掃除。歯磨きや酵素風呂、シルク泡パックなどのオプションもある。特に酵素風呂は、仕上がりがふわふわになると好評だ。

 

犬や猫を心地よい状態に保つには、毎月シャンプーやトリミングをして、お手入れすることが大切だと味岡さんは言う。なぜなら、間が空くと毛がどんどん絡まり毛玉になっていくからだ。そうなると、いくら味岡さんが優しく接しても、犬や猫は痛がる。中には痛さのあまり噛む子もいるという。仕事が嫌になることはないかと尋ねると、味岡さんはこう答えた。

 

「噛まれるということは、私がまだ下手なのだということですよ。」「噛んでくる子は、何かしらのトラウマを持っています。深爪されて痛かったとか、シャワーが熱かったとか。それを訴えたいだけなのです。」

 

けっして犬や猫を責めず、あくまで自分の問題だと味岡さんは語る。サロンによっては、犬猫の気持ちよりも自分のやりやすさを優先するトリマーもいるという。時間に追われているから、余裕がないからなど理由は様々だ。しかしそこを動物たちは敏感に感じ取ってしまう。

 

「トラウマになっているところに気をつけてあげて、その子に寄り添って心地よくしてあげれば大人しくなっていきますよ。」

 

犬や猫の気持ちに寄り添ってトリミングする、それが味岡さんの強みだ。「CHOUETTE」のInstagramには、綺麗に整えられた犬や猫の写真がずらりと並ぶ。どの子もリラックスしていて、ふわふわして幸せそうだ。最初は緊張していた子も、数回通ったあとはすっかり慣れた表情を見せている。

 

仕事で挫折しそうになったこともあるが、犬や猫が自分の手で綺麗になったら、嬉しいし、楽しい。だからこの仕事を続けているのだと味岡さんは笑顔を見せる。

 

⑤我が子のように可愛がる方に来てほしい

紹介や口コミのお客様で占める「CHOUETTE」だが、どのようなお客様に来てほしいのだろうか。

 

「我が子のように犬や猫を可愛がっている方に来店してほしいですね。」

 

人間は毎日お風呂に入るのに、犬や猫はお風呂に入れなくてもいいと考えている人は残念ながらいる。特に猫は、自分でグルーミングするからシャンプーなどは不要と考えている人はまだ多い。しかし抜け毛を放置すると、皮膚トラブルの原因となる。夏は熱中症も心配だ。猫の場合は、体内に毛が入る「毛玉症」もある。

 

味岡さんのお店は、前回の来店から5週間以上間を空けると、値上がりする仕組みになっている。犬や猫のためにも、きちんと通ってほしいと願うからこその対応だ。

 

「CHOUETTE」ファンは多いが、今のところ多店舗展開する予定はないという。味岡さんが「CHOUETTE」を立ち上げた理由は、あくまでも「育児との両立」だからだ。

 

3人目のお子様は、陸上に打ち込んでいる。ぎふ清流駅伝の小学生代表に選ばれたという。可能な限り、子どもの応援に行ってあげたい。仕事をしながらそれを叶えられるのは自宅開業の醍醐味だ。味岡さんは、お子様たちに伝えていることがある。

 

「誰か見ているか見ていないかは、問題ではない。」

 

そこには「誰かが見ているからやろう」ではなく自分の物差しで考えて、判断して行動してほしいという願いが込められている。一番上のお子様は現在高校生だが、多頭飼育崩壊に関心を持ち、動物福祉に関わる道に進むという。いきいきと働くお母さんの背中を見て育ったお子様たちは、しっかりと自分の軸を持って、進むべき道を選び取って行くだろう。

 

店名の「CHOUETTE(シュエット)」はフランス語で、感じがいい、かっこいい、素敵だ、綺麗なという意味を持つ。もしかしたらそれは外見だけでなく、心が満たされることで生まれる内面の美しさも表しているのかもしれない。

 

現在「CHOUETTE」では、積極的に新規のお客様を募集しているわけではない。
ただ、犬や猫を家族同様にかわいがっており、毎月シャンプー・カットをして欲しいと考えている方もいるだろう。そのときは一度Instagramで相談してみてほしい。

 

SNSで記事をシェアしよう

RECOMMEND

記事一覧へ戻る