こだわり抜いた天結びと笑顔を届ける「天ころりん」を訪ねてみた。
今回は天ころりん店主の宮嶋 三貴(みやじま みき)さんにお話を伺った。
- 笑顔届ける「天ころりん」
- グルメな姉妹による天結び屋さん
- 天ころりんのこだわり
- ここだけのお結びとお惣菜
- 店主から感謝のメッセージ
①笑顔届ける「天ころりん」
今回取材に伺った「天ころりん」はこだわりの天結びをいただくことができるお店だ。宮嶋さんと、お姉様の小川さんで一緒にスタートしたお結びやさん。まずはその店名の由来について宮嶋さんに尋ねてみた。
「名前は、天結び屋さんですよ!というのがわかるようにしたいと言うのと、それから見ていただいた通りにお結びの形がコロンとしています。なので、姉が『天ころりんだ!』とパッと思いついて二人で『あっいいね、それ!』ってなってこの名前に決めました。親しみやすい感じでかわいいかなと思って。『天ころちゃんなんて言ってもらってもいいね!』みたいな話を姉としているんです。」
姉妹の仲の良さを感じさせるエピソードに筆者は自然と笑みが溢れた。
「若いお客様が来てくれた時に、『天ころりんってお店の名前すごく可愛いですね!』と言ってくれたんです。嬉しくて姉と二人で喜びました。」
伊奈波神社の麓にあるお結びやさん天ころりん。岐阜の新たな散策スポットにすべく再開拓プロジェクトが立ち上がった際に1号店として古民家を改装してオープンしたのだそうだ。
②グルメな姉妹による天結び屋さん
どうして天結びのお店にしたのかと質問すると、食に妥協しないグルメな姉妹のエピソードが飛び出した。
「姉がエビ好きなので、天結びはしょっちゅう美味しいところへ食べに行っていました。そのうちに自分たちで作ってみようかと姉が思い立ったんです。姉は自分で食べて美味しかったものを自分で再現できないかなって考える人なんですよ。それでよく作ってくれたんです。家族や知人にも振る舞ってくれました。それが本当に美味しかったんです。」
天結びはもちろん、「美味しい」を求めて各地を回るほど食への愛が溢れていた。そして美味しいものを食べるのが好きだからこそ、お料理も上手なのだという。
「姉はもともと料理上手というのもありますが、やっぱりいろいろ食べ歩いてるだけあって姉の作る天結びは本当に美味しかったんです。それで、私が何かお店をやりたいと言った時に姉が、『じゃあ天結びとお惣菜のお店にしようよ!』って言ってくれたんです。」
お客様からもどうして天結び屋なんですか?と問われることも多いのだそう。そうした流れで天結び屋さんをオープンした宮嶋さん。
「お惣菜屋さんやおにぎり屋さんはたくさんありますけど、天結び屋さんって岐阜にはあまりないんです。それに、どうせやるなら他店舗さんとの違いを出していきたいなと考えました。そこで冷めても美味しいお米を探し出しましたし、土鍋で炊く事にもこだわっています。炊飯器で炊いたお米と比べると、やっぱり違うんですよ。本当にお米がふっくらとしていていつまでも美味しいんです!」
③天ころりんのこだわり
美味しいものを食べ歩き、食べ比べてきた宮嶋さん姉妹。天ころりんの天結びにはこれでもかというほどのこだわりが詰まっている。
まずは土鍋炊きのごはん。焼き物で有名な信楽焼でできた土鍋は高級料亭などでも使用しているものだそうだ。
「使う土鍋は姉の中で決まっていたようです。自分が食べて美味しかった料亭が使っている物を聞いて『これで炊いたご飯が美味しかったから、これ使おうよ』みたいな感じで決めました。」
そして炊くお米そのものにもこだわっている。
「お米は私のお気に入りなんです。減農薬栽培の輪之内町産はつしもを使用しています。姉とふたりで色んな種類のお米を炊いてみて、食べ比べして、どれが一番美味しいかって選びました。うちで使っているお米は冷めても美味しいと思いますよ。」
減農薬米とは、文字通り農薬を減らして栽培したお米のことだ。美味しいのはもちろん体にも優しお米を使用しているのだと言う。また、天結びで重要なのはエビである。エビ好きのお姉様が、よりエビの美味しさが伝わるよう調理法にもこだわりがあるのだという。
「姉が本当にエビが好きなので、実際に食べて選んでいます。それに、調理も洗い方ひとつ取っても、より美味しくなるように手間暇をかけています。」
「メインの食材のみでなく、もちろん塩や海苔にもこだわって選んでいますよ。海苔は値上りした時期に2・3回他の海苔で試したこともあったのですが、やっぱり当初のこだわりの海苔に戻りました。」
値段が高騰しても、妥協する事なく選び抜いた食材を使用した集大成の「天結び」を提供している天ころりん。全てがひとつになって天ころりんの天結びであり、どれが変わってもいけないのだという。そして食材のうち「どれかが美味しい」のではなくて、「美味しいものたちの組み合わせ」として仕上がっている自慢の選りすぐり天結びなのだそうだ。
少し話は逸れるが、取材に伺ったのが、昼食も済ませた午後。そこも考慮していただいた上で、なんと持ち帰り用にと天結びを用意してくださっていたのだ。筆者はお言葉に甘えて夕飯として天結びをいただいた。
先の内容にもあったように、冷めても美味しい!そして、一つ一つのお結びは小ぶりのため「足りるかな?」と思ったが心配無用、丁度良い量だった。プリプリのエビに香りの良い海苔が美味しい天結びはもちろんのこと、添えられていた「きのこの佃煮」。こちらが食欲をより増大させる美味しさで筆者は驚いた。是非皆様も一度召し上がっていただきたい。
④ここだけの天結びとお惣菜
ここだけの天結びを楽しむことができる天ころりんでは、宮嶋さんのお姉様が担当しているお惣菜を販売する日があるのだそうだ。
「お助け一品お惣菜」という名前で親しまれる天ころりんのお惣菜は不定期発売で、instagramで告知を行なっているのだという。中でも「こだわりしかない出汁巻き」が人気なのだそうだ。
「こだわりしかない出汁巻きは出汁が多めで、ジュワーッと出汁が溢れ出るような出汁巻き玉子なんです。使用する卵も関市にある山田農場様の卵と決めています。黄身の色からして通常のものとは全然違うんですよ。お客様にも人気で、『今日出汁巻きある?』って来てくださるお客様も多いんです。本当にありがたいことですね。」
天結びだけでなく、サイドメニューとなるお惣菜へのこだわりも抜かりない。天結びと一緒に購入できる機会は貴重なようなので、見かけた際はぜひゲットしてみていただきたい。
⑤店主から感謝のメッセージ
天ころりんの天結びやお惣菜について魅力をたっぷりと語ってくれた宮嶋さん。インタビューの中で何度も登場したのは、お客様に対する感謝の気持ちだった。
中には高騰に対する対応について、あたたかい応援をいただいたこともあるのだという。
「ここでオープンして1年になります。その間に使用している食材のほとんどすべてが値上がりしてしまったという理由から、販売価格を50円あげさせていただいたんです。申し訳ないなと思いながらもお客様にお伝えしたところ、『当然だよ、今は物価高だから仕方ないよ』とあたたかい言葉が返ってきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」
「お客様から『本当に美味しかった』と言ってもらえるのが本当に嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいになりますね。私達が心を込めて作っているものを美味しかったって言っていただけると、こちらこそです!これからも頑張ります!っていう感じですね。」
お客様とのあたたかいやり取りについて話してくれた宮嶋さん。今後、天ころりん店主として、どのようなことを目指していきたいのかを尋ねると、周辺地域の活性化という素敵なお言葉をいただいた。
「うちは伊奈波神社のすぐ近くにありますので、参拝の前後などにお客様に来ていただけるお店です。賑やかな時はたくさんありますけど、行事がない時でももっと人が行き交う場所になったら嬉しいなという気持ちがあります。伊奈波神社の近くにもっとお店を出したいという人が増えて、『伊奈波神社行こうか、あれもあるし、あれもあるし』っていうお客様も増えて地域が活性化したら、嬉しいですよね。」
そう語る宮嶋さんは、近隣のお店の店主さんと共にイベントを企画するなどお客様に楽しんでもらうことのできる方法を考案しているそうだ。
常連さんも、これから出会うお客様も、そして地域の人たちも大切に考えている宮嶋さんが握ってくれるお結び。ぜひ周囲でのお買い物やお散歩を目的に遊びに訪れてみてはいかがだろうか。
人気の天結びは11時の開店まもなく売り切れてしまう日もあるようなので、天ころりんの天結びをお求めの方はぜひ早めのご来店をおすすめしたい。
来店された方は宮嶋さんの笑顔や人柄に触れて、きっと素敵な1日の始まりとなることだろう。
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