理想のサウナハットを制作する「株式会社TAMAX」を訪ねてみた。





繊維のプロとして長年活躍されている一方で、サウナ好きが考案した理想のサウナハットを販売するなど、新しい挑戦を続ける企業である。今回は、商品企画の玉腰(たまこし)さんと、中澤(なかざわ)さんにお話をうかがった。
- 社員一人ひとりの力を最大限発揮させる
- きっかけは「サウナ好き」
- タマックスだからできるサウナハット
- 同じ悩みを持つサウナ好きに届けたい
- 夢はサウナで岐阜貢献
①社員一人ひとりの力を最大限発揮させる
株式会社TAMAX(タマックス)は2011年に前身の会社から分社し、現在の事業を展開している。
分社前から数えるとなんと創業50年を越えるという。長年培った知識と技術はそのままに、繊維のプロフェッショナルとして、肩パッドや汗脇パッドを中心に企画・製造・販売を行い、岐阜で確固たる地位を築いてきた。
これまでは、下請け業のみを行ってきたが、最近では機能性サウナハットを自社ブランド商品として展開し始め、新たな挑戦と変革を迎えている。
そんなタマックスの社名の由来について、お二人にうかがった。
「社長の名前が玉腰(タマコシ)で、社長の名前とマックスを合わせて社名になりました。『社員一人ひとりが最大限の力を発揮できるように』という意味が込められているそうです。また、繊維業界では『テックス』という糸の太さを表す単位がありますが、それにも掛けていると聞いています。」
一人ひとりの個性を尊重し会社として最大限サポートをする姿勢は、SDGsで掲げられている「多様性」と「働きがい」に通じる部分で、タマックスがグローバルな視点を持つ企業であることがわかる。
「社長がいつも社員が最大限の力を発揮できるように普段から動いてくれていると感じていたので、初めて由来の話を聞いたときに納得感がありました。そういう意味で、わかりやすくて良いと思います。」
そのように所感を話すお二人であるが、新規事業のサウナハットは、もともとお二人が積極的に企画し採用されたものである。社員の声に耳を傾け、良いアイデアは積極的に取り入れていく、伝統と柔軟性を併せ持つ企業だと感じた。

②きっかけは「サウナ好き」
サウナハット事業を始めたきっかけは、商品企画のお二人がサウナ好きだったことにある。
開発当時、コロナ禍の影響で「黙浴(もくよく)」が必要となり。静かに自分と向き合うというスタイルでサウナブームが再燃した。それと同時に、サウナハットも注目されるようになった。
「当時のサウナハットは、形が大きく派手な色のものが多かったんです。そのため、カバンに入れた時にかさばり、色も目立つのでいつも気になっていました。そこで、目立たずコンパクトで軽いものが欲しいと考え、会社の職人さんにコンセプトを伝え作ってもらったんです。」
サウナ好きだからこそ感じる悩みや不便さが、理想のサウナハットというアイデアに昇華し、企画が始まった。
サウナハットの生地は羊毛フェルトが多い。一方で、タマックスが肩パッドに使っている材料も機能性のある化繊のフェルトであった。これであれば今までのノウハウを活用できると判断し、試作に取り組んだという。
「最初に試作品を手にしたときは、薄く軽すぎたので不安でしたが、実際に使ってみると使い心地が良かったです。服を着ているときは気になりませんが、サウナの時に裸でハットをかぶると重さが気になるんです。だから、軽さがとても重要なんです。」
タマックスのサウナハットは、20〜50gでとても軽い。サウナ大好きなお二人が企画する製品だからこそ、自分たちが求める形や機能を備えている。まさに「かゆいところに手が届く」商品として、サウナ好き必携のアイテムを実現している。

③タマックスだからできるサウナハット
そもそも、なぜサウナハットは必要なのか?お二人はその理由について、2つの効果を挙げながら話してくれた。
サウナハットの効果
1.のぼせ防止
2.全身を温める
「サウナ室では熱い空気が上に滞留するので、頭が先に熱くなります。サウナハットがないと、全身が温まる前にのぼせてしまったり、全身が十分に温まらない状態で退出することになります。また、温まりきらない状態で水風呂に入ると、苦痛を感じやすいです。」
サウナハットは、頭部の温度上昇を抑えることで、のぼせ防止に役立ち、全身を温めるサポートをする。これにより、サウナの後に快適な水風呂が楽しめ、ととのうことができるわけだ。
そんなサウナハットをタマックスでは、以下の3つの強みを活かして製造している。
1.熟練の職人が一つひとつ手作業で製造
2.肩パッド作りのノウハウを活かした消臭防臭機能
3.1枚からオーダーメイド注文ができる
「生地を機械で裁断した後、職人が手作業で縫っています。また、肩パッドの裏地に使用されている機能性のある綿を活かし、消臭防臭機能を備えたサウナハットを開発しました。」
一般的なサウナハットは、生乾きの臭いが気になるものがある。しかし、タマックスのサウナハットは消臭防臭機能により、生乾きや汗の臭いも気にならず、2回に1回の洗濯で快適に使える。
「ご要望があれば、1個からオーダーメイドで作れます。ECサイトを通じてお客様からデザイン画像を送っていただければ、その要望に応えます。これは、自社工場を持っているからこそ実現できる強みです。」
オーダーメイドをすることで、自分だけのオリジナルデザインを手に入れたり、他のサウナハットとの取り違いを防ぐこともできる。
タマックスは、自社の強みを最大限活かし、他社にはない特徴と価値を見出している。
今回ご厚意でサウナハットをいただいた。筆者もこれをきっかけにサウナを楽しんでみようと思う。
④同じ悩みを持つサウナ好きに届けたい
タマックスでは、商品企画のお二人の悩みを起点に開発が進むことが多い。そのため、サウナに通う中で同じ悩みを抱えている人に届けたいと考えている。サウナ好きなお二人にとって、悩みは尽きないという。
「悩みはサウナハットに限らず、サウナ関連のアイテムにも広がっています。自分たちが実際にサウナに通っているからこそ、不便さや改善点に気づき、それを商品化しています。」
タマックスが開発しているサウナハット以外の主なアイテムを2つ紹介する。
1.サウナマット(汗の飛散防止)
2.HOOLD(100円玉保管ガジェット)
「サウナマットは、汗を飛ばさないものを開発しました。サウナ室では、人が上段から降りてくる時に、汗を吸ったマットから汗が飛び散ることがあり、それを防げないかと悩んでいました。」
そこで、自分の汗だけ吸収し、床の汗は吸いにくいマットを開発。配慮の行き届いた製品が完成した。
「HOOLDは、100円玉2枚を収納できるガジェットです。温浴施設の脱衣ロッカーは100円玉が必要なことが多いのですが、財布に小銭を持っておらず、困ることが何度もありました。」
この悩みを解消するために、ウエストポーチなどにつけられるHOOLDを開発。コンパクトで使い勝手が良く、普段小銭を持ち歩かないキャッシュレスの方も重宝しそうだ。
タマックスは、こうした「自分たちが欲しいもの」や「解決したい課題」をもとに商品開発を行っている。
今後の展望について、ものづくりの会社として今の活動を継続したいと、お二人は話してくれた。
「創業時からの下請けの仕事も継続しつつ、自分たちが欲しいものを作り続けたいです。試作段階のものを改良したり、既に販売している製品をさらに良くしたいと考えています。」
ものづくりの会社だからこそ、今後も高品質な製品作りを続けていく。タマックスの次なる挑戦が楽しみである。
⑤夢はサウナで岐阜貢献
今後の夢についてお二人にうかがった。
「タマックスの活動を通じて、岐阜をサウナで盛り上げることです。東京や横浜の催事に参加することが多いので、そこで岐阜を推していきたいなと考えています。岐阜のサウナは本当に素晴らしいんですよ。特に水が良く、水風呂が最高なんです。」
タマックスは、岐阜のサウナを県外へ広めるため、いろいろな取り組みを行っている。その一つが、「鵜」をモチーフにした、タマックス公式キャラクター「N.R.ウッティー」だ。
さらに「岐阜タンメン」、「関牛乳」といった地元企業とのコラボレーションも積極的に行い、岐阜全体の認知度向上に努めている。
「都会はビルばかりで、岐阜のような山や川などの自然を目の当たりにする機会が少ないんです。さらに、岐阜の水は都会の水と比べてきれいです。このように、岐阜の魅力はたくさんあります。これからもサウナを通じて、岐阜を推していきます。」
一旦岐阜から離れて見ることで、それまで身近すぎて気づかなかった岐阜の魅力がたくさんあることがわかる。岐阜に根ざして50年のタマックスは、岐阜が好きだからこそ、自らの事業を通じて岐阜に貢献しているのだ。
この機会に、サウナ好きのお二人が考案した、理想のサウナハットや関連アイテムを手に取ってみてはいかがだろうか?タマックスの製品と岐阜のサウナで、「ととのい」体験が待っているだろう。

詳しい情報はこちら