髪と気持ちが軽くなる「Blanc。」を訪ねてみた。





髪や心のケアを大切にするプライベートサロン。美容師歴30年のオーナーが、一人ひとりに丁寧に寄り添う、唯一無二のおしゃべりサロンである。今回は、オーナー 疋田 佳世(ひきた かよ)様にお話をうかがった。
- 白に込めた「人を変える仕事がしたい」の原点
- 見た目も心も整える唯一無二の美容室
- お客様の喜びのため何ができるか?
- 「おしゃべりサロン」の未来
①白に込めた「人を変える仕事がしたい」の原点
「Blanc。(ブラン)」は、心に寄り添うプライベートサロンとして、2019年11月にオープンした。
オーナー兼スタイリストの疋田さんは、18歳から美容師の道を歩み始め、30年近く一筋で美容の世界に携わってきた。他の職業経験はなく、美容師はまさに天職だという。
きっかけは高校時代。ファッション科に通い、モード学園への見学を通じてメイクの世界に魅了された。しかし、メイクの道に進むには美容師免許が必要と知り、美容師を志すようになる。
「幼少期に母親が家でエステを受けていたんです。その時にエステティシャンの方を見たてこういう仕事もあるんだと知りました。そこからメイクさんに憧れがあったんです。」
疋田さんが「人を変える仕事がしたい」という想いを持つ原点だったという。
疋田さんは学生時代からバイトとして修行していた美容室でそのまま20年近く勤めた。結婚や子育てで一度離れるも、その都度現場へ復帰していた。
「修行時代は特にハードワークで、何度も辞めようと思っていました。でもいざ辞めると戻りたくなるんです。やっぱり私は美容師しかできないなと思いましたね。」
疋田さんの揺るがぬ美容師愛が感じ取れる瞬間である。
独立を決意した背景には、20年勤めた美容室を円満退社した後の転機があった。当初は子育てとの両立を考え、仕事から一度離れようとしていたが、知人の紹介でサロンに顔を出したことがきっかけで、パートとして再び現場に復帰することに。
パート勤務を始めた後、自然と責任ある立場を任されるようになった。さらにそのタイミングで、スタッフ全員が突然退職する事態に見舞われ、人手不足を補うために疋田さんは懸命に働いた。
「働く中で”もっとこうしたい”と感じたんです。なので、それなら自分が理想とするお店を作ろうと考えました。やはり独立は簡単ではないですが、決意を固め進み出したんです。」
店名の「Blanc。」は、フランス語で「白」を意味する言葉で、名付けのきっかけは、マヤ暦において疋田さん自身が「白い魔法使い」に該当することにあり、それにちなんで「白」という言葉を選んだそうだ。
「英語でしっくりくる言葉がなかったので、響きの美しいフランス語を採用しました。また、『白』はどんな色にも染まることから、可能性の象徴としても意味を込めています。もちろん、私が白色が好きという点も考慮しました。」
美容師を志した原点と、店名に込めた想いが一貫して「人を変える力」にあることが伝わるストーリー。「Blanc。」という名のもとに、心に寄り添う唯一無二のサロンが育まれている。

②見た目も心も整える唯一無二の美容室
「Blanc。」が提供する価値は、髪や頭皮の表面を整えることだけにとどまらず、その奥にある「心の状態」に寄り添う技術と感性にある。
長年の経験と、ケアリスト資格取得時の学びから得た科学的知識と直感的な観察力により、髪の状態からその人の心理的変化や生活背景までを感じ取ることができる。
「お客様の顔色を見たうえで、頭皮の状態や髪の毛の状態を観察することで、2,3ヶ月前に心理的な負担となることがあったのかもと、推測できるんです。それをお客様に伝えると、『実は・・・』みたいに全部繋がるんですよ。」
美容を通じて、お客様の気持ちに寄り添うことができるのは、疋田さんだからこそできる強みである。
「美容師は、ただ髪を切るだけの仕事ではないと考えています。外見の変化を通じて、お客様の内面を動かす力を持った大切な役割を担っています。来店時に表情が曇っていたお客様が、帰る頃には晴れやかな表情になっている姿を見ると、『美容師をやっていてよかった』と心から思えます。」
「Blanc。」は、万人受けは目指さないサロンとして掲げており、目の前の一人ひとりの方に真摯に向き合うスタイルを徹底している。商品選びにおいても、まず自分で使い、効果を確信したものしかおすすめしないポリシーを貫いている。
このように、見た目を整える技術だけでなく、心の変化を後押しし、自信を取り戻す「人に寄り添う力」に価値を見出している。それこそが、「Blanc。」にしかできない唯一無二の付加価値である。


③お客様の喜びのため何ができるか?
疋田さんは、「誰かを輝かせる裏方の存在でありたい」という明確な信念を持って美容師の仕事に向き合っている。
「私は目立つのが苦手で、裏方に徹するのが好きなんです。そのため、表舞台に立つ人を綺麗にすることが得意ですし、好きなんです。」
目の前のお客様を美しくすることが喜びだと教えてくれた。また、人と話すことが大好きで、お客様との対話も仕事の大きなやりがいの一つとなっている。
疋田さんは「仕事は辛さ9割、喜び1割」という持論のもとに、日々感じる喜びを大切にしながら、前向きに働く姿勢を貫いている。
「仕事で落ち込むことがあっても、寝たら大概よくなるんです。また、お客様との会話を通じて私も元気になるので、いつの間にか忘れていますね。」
この気持ちの切り替えの速さが、長く続ける秘訣となっているのではないかと感じた。
そんな疋田さんは、「現状維持は後退である」という信念を持ち、常に前に進む姿勢を大切にしている。
「2025年中に毛髪診断士の資格を取ろうと思っています。資格を極めれば講師にもなれるんです。人に教育するというより次世代に継承していくという考えが好きで、新たなことへの挑戦をしたいと考えています。」
根底にある価値観は人に喜んでもらうことが生きがいという考えだ。
疋田さんは、自らが大切だと思う人には無償で与えることができる。たとえ相手から見返りがなくても、巡り巡って喜びは必ず返ってくると信じているのである。
「お客様に喜んでいただきたいという想いは、変えてはいけないし今後も変えません。常にお客様の喜びのために自分が何ができるかだけを考えています。」
裏方としてお客様を輝かせる姿勢は、変わることのない疋田さんの信念である。
④「おしゃべりサロン」の未来
疋田さんは、年齢を重ねてもお客様にとって「Blanc。」が必要とされる場所であり続けたいと願っている。
「もし、お客様が高齢になってうちに来れなくなってしまったら、訪問美容をしたいなと考えているんです。ただ店舗で施術するにとは全然違うので、色々と準備や勉強が必要なんです。実は準備中で2025年中に実現できたらと考えて動いています。」
加えて、疋田さん自身が年齢を重ねてからの構想もあるのだそうだ。
「例えば、私がおばあちゃんになって、サロン運営ができなくなったとしても、お茶しに来てほしいなって考えています。『おしゃべりサロン』として続けていけたら嬉しいなと考えています。」
「美容室というよりは、私に会いに行きたくなる場所であること。それが私が最終的に目指す『Blanc。』のあり方なんです。」
「Blanc。」は、心と髪に寄り添うプライベートサロンである。疋田さんの30年にわたる美容師としての経験と信念が、唯一無二の価値を生み出している。訪問美容やトータルケアなど、今後の展望も明確である。
「Blanc。」で、あなたも心と髪の癒しを体験してみてはいかがだろうか。

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