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動物への愛が紡ぐ温かな絆。エキゾチックアニマル専門ブリーダー「陽だまりの森」を訪ねてみた。

動物への愛が紡ぐ温かな絆。エキゾチックアニマル専門ブリーダー「陽だまりの森」を訪ねてみた。
TOM
TOM
昨日さ、テレビで“エキゾチックアニマル”特集やってたんだけど・・・僕も飼いたいな〜
SARA
SARA
あなた自身が十分エキゾチックよ。やたらと体大きいし、木に登るし、冬は洞穴に籠るし・・・
TOM
TOM
確かにそうだね!じゃあ、名前はもふもふベアなんてどうかな?
SARA
SARA
あなたの場合は、もふもふじゃなくてぽよぽよの方が合ってるんじゃないかしら・・・
この記事は約5分で読めます。
岐阜市にある「陽だまりの森」をご存知だろうか。
フクロモモンガ、フェネックギツネ、マーモセットなどのエキゾチックアニマル専門のブリーダーとして、動物への深い愛情と責任感をもって5年間地域に愛され続けている。今回は、代表の野上麻衣(のがみ まい)様にお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 一目惚れから始まったモモンガ沼への道
  • 名古屋から岐阜へ、動物のための移住決断
  • 命を預かる責任と徹底した事前準備
  • 24時間体制の人工飼育への献身
  • 真のブリーダーを目指す使命感

①一目惚れから始まったモモンガ沼への道

 

「陽だまりの森」という名前には、温かく柔らかな雰囲気のお店になるようにとの想いが込められている。当初はフクロモモンガのみを扱う予定だった為、モモンガはオーストラリアの温暖なエリアで木に巣穴を作る習性から「森」を連想し、この名前が生まれたそうだ。

 

野上さんがエキゾチックアニマルの世界に足を踏み入れたきっかけは、偶然の出会いだった。

 

「ペットを飼おうと思って、インコやウサギ、ハリネズミを見に行ったんです。すると、ペットショップで相談しているうちに、店長さんに『モモンガって知ってますか?』と言われて、見せてもらったんです。見た瞬間に一目惚れしてしまったのが、きっかけです。」

 

あまりの可愛さに、店長へお願いし、赤ちゃんモモンガを譲り受けることになった。これが野上さんのモモンガ人生の始まりとなる。

 

2匹目を迎える際も印象的なエピソードがある。親に尻尾を噛みちぎられ、もらい手が見つかりにくい子だった。接客中に袖の中で眠ってしまったその子を見て、野上さんの心は決まった。

 

「うちの子におやつを買いに行ったはずなのに、気がついたらその子をお迎えして帰っていました。」

 

こうして野上さんは徐々に「モモンガ沼」にハマっていき、様々なカラーのモモンガを迎えるようになった。当初は旦那様に心配されることもあったが、野上さんの話を聞き、動物好きな旦那様も次第に理解を示すようになった。

 

②名古屋から岐阜へ、動物のための移住決断

 

モモンガが自宅で生まれ始めた頃、野上さんの頭にブリーダーという選択肢がよぎった。しかし当時住んでいた名古屋市のマンションでは本格的な飼育は困難だった。

 

「賃貸マンションでは限界がありました。ブリーダーをやるなら適切な環境が必要だと考え、新しい場所を探すことにしたんです。」

 

不動産業を営む旦那様が見つけたのが、現在の岐阜の物件だった。

 

「探してきてくれた場所は、周りが田んぼで、動物の匂いや鳴き声で近隣に迷惑をかける心配がない環境でした。この場所と環境でモモンガと真剣に向き合いブリーダーを始める決意をしました。」

 

動物のために住環境を変える決断は、野上さんたちの動物への愛の深さを物語っていると感じた。

 

③命を預かる責任と徹底した事前準備

 

野上さんの動物に対する姿勢で特筆すべきは、迎える前の徹底的な準備だ。

 

「動物を迎える前には必ず飼育本を購入し、紙に書き出して調べ尽くします。お迎えした後に『こんなはずじゃなかった』は絶対にあってはならないことだと思うんです。」

 

この姿勢は子どもの頃からの動物好きが根底にある。東山動植物園に何十回も足を運び、将来はキリンを飼いたいと夢見ていた野上さん。大型犬への憧れもあったが、住環境の制約から小さな動物たちとの出会いが始まった。

 

現在、飼育しているフェネックギツネやマーモセットも、困った状況にあった動物たちを引き取ったことがきっかけだった。

 

「フェネックは触れ合いカフェが廃業になって行き場を失った子で、マーモセットは飼育が困難になった方から相談を受けて引き取りました。事前にしっかりと調べた結果、うちで飼える環境だと判断してから引き受けています。」

 

 

④24時間体制の人工飼育への献身

 

ブリーダーとしての野上さんの献身ぶりが最も現れるのが、人工飼育の場面だ。

 

「親が育児放棄したり、急死してしまった場合、人間の赤ちゃんと同じように3時間おきのミルクが必要になります。夜中でも必ず起きなければならないので、ベッドではなくケージの近くに寝袋を置いてそこで寝ています。」

 

ある時は通常の3分の2ほどの大きさで親を失った子を、1時間おきの授乳で育て上げた。そうした子は一般的に販売価格も高くないが、野上さんにとって数字は問題ではない。

 

「私に助けられる命があるなら助けるために全力を尽くします。採算は二の次です。やはり命を預かっているので、数字よりも命を大切にしたいんです。」

 

旦那様も在宅勤務の合間を縫って人工飼育をサポートしており、夫婦二人三脚での献身的な取り組みが続いている。

 

⑤真のブリーダーを目指す使命感

 

野上さんがブリーダーとして最も大切にしているのは、動物と飼い主双方の幸せだ。

 

「お客様には必ず事前の見学をお願いし、十分な時間をかけて動物との相性を確かめてもらいます。質問を紙に書いて持参される方もいて、そういう真剣さがとても嬉しいです。」

 

最近は即売会などのイベントも増えているが、野上さんは直接の触れ合いを重視する。

 

「ケース越しでは伝わらない魅力があります。その子の親を見てもらうこともできますし、フィーリングも大切だと思うんです。」

 

アフターフォローも欠かさず、自分のお客様でなくても困っている飼い主からの相談に応じることも多い。ペットブームの影響で知識不足の業者も増える中、野上さんは真のブリーダーとしての使命感を持ち続けている。

 

「いつかはムツゴロウさんのように、動物愛に溢れた人間になりたいなと思っています。そして動物の良い部分も大変な部分も含めて理解してもらい、動物を飼うときに、きちんと最後まで命と向き合ってくれる人を増やしていきたいんです。」

 

現在はフクロモモンガとフェネックギツネ、マーモセットの3種を飼育する「陽だまりの森」。ご夫婦の動物への深い愛情と責任感は、多くの飼い主と動物たちの幸せな生活を支えている。

 

エキゾチックアニマルとの生活を検討している方は、一度野上さんにご相談してみてはいかがだろうか。きっと動物への愛に満ちた、温かな出会いが待っているはずだ。

 

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