音楽と洋服の融合、唯一無二の店「CANDY STORE」を訪ねてみた。





創業20周年のロック魂溢れるセレクトショップである。今回は、代表の森本 覚(もりもと さとる)さんにお話をうかがった。
- 18歳で決意「CANDY STORE」
- 岐阜で唯一無二のセレクト店
- 憧れのアーティストと交流、夢叶える
- 挫けそうな時も、原動力は音楽ライブ
- 音楽と洋服のBAR、計画中!
①18歳で決意「CANDY STORE」
「CANDY STORE」という店名は、森本さんが18歳の時に決めていて、温めていたものだったとの事。
「いつか自分の店を持つ事を目標にしていました。店名は絶対この名前にすると学生時代にはもう決めていましたね。いざお店を始めたら、同業種を含め異業種でも全国に同じ店名が存在してる事を知った時は戸惑いました(笑)」
森本さんは25歳の時に、「CANDY STORE」というアパレルセレクトショップを創業する。
決意したのはあるバンドのライブを体感したのがきっかけとなったそう。その日の感動と衝動が開業のきっかけとなった。
「昔から服が好きで、お店を始めるなら洋服屋をやりたいと言う気持ちでした。昔からバンドのライブに行ってはアーティストやライブハウスにくるお客さんのファッションに魅了されてました。好きなバンドの人達が着ているブランドを調べ、買い続けるうちに自分にもなくてはならないブランドになっていき、そのブランドを扱えるお店を始めたいと考えるようになりました。」
お店を始めるにあたり、岐阜以外での出店は考えてなかったという。
「自分は揖斐川町出身で、よく岐阜の街中には買い物で訪れていたのでこの街で出店したいと強く思っていました。自分が好きなブランドは岐阜では取り扱い店がなく当時はよく名古屋の取り扱い店舗まで買いに行っていましたが、地元で買い物出来た方が便利だし、仲間達も嬉しいだろうと勝手に思ってましたね。」
「CANDY STORE」は今年で創業21周年を迎えた。最初の10年は北方町で、その後満を持して岐阜市へ移転している。
「北方町では規模を小さめにスタートしました。10年続けられたことで自信がつき、岐阜市への移転を決意しました。これほど長く続けられるとは想像もしていませんでしたね。」
森本さんは現在46歳。18歳で思い描いた「CANDY STORE」の夢は、28年の時を経た今も続いている。

②岐阜で唯一無二のセレクト店
「CANDY STORE」が取り扱うブランドのコンセプトは、森本さんの「好き」を軸に展開している。
1.音楽を感じられるブランド
2.作り手に惚れ込んだブランド
3.タイムレスなブランド
「うちが扱う洋服は高価格なものが多いのですが、その価値に見合う、お客様に納得していただけるものを取り揃えているつもりです。」
ブランド選定の基準は「やはり音楽のにおいがするもの」。これは創業時から変わらない信念。
「自分自身がロックバンドのファンなので、純粋なファッション視点での洋服の選定はあまりしてないかもしれません。ミュージシャンの方々や憧れの著名人の服装は常にチェックしてますので、今も昔もブランドのセレクトや洋服選びもあまり変わってないと思いますし、これからも多分変わらないんじゃないかと。」
「CANDY STORE」が扱うブランドは、国内のみならず海外のブランドも。店内には、革ジャンを始め、シャツやハット、ブーツにカバンなど、こだわりの品が所々に並べられている。
例えば革ジャンは、「LewisLeathers」というイギリス発祥の老舗ブランドのものを扱っている。
「ルイスレザーは、ブランドの歴史も長く、Rockersや多くのミュージシャンにも愛されたブランド。自分はイギリスのパンクバンドが大好きで、そのメンバーが着用していた事で自分も知る事が出来ました。最近は色々な方々がメディアやYouTubeで紹介してくださる影響で若い世代をはじめ沢山の方々の来店や問い合わせが増えています。これら各種ブランドは、岐阜ではうちだけの取り扱いで、それが一つの強みになっています。」
森本さんは大好きなブランドを取り扱える喜びは「何ものにも変え難くシアワセな事」だと話してくれた。
「常連のお客様は、昔からの地元の友達や先輩。ライブハウスで出会った仲間や、飲食店はじめ様々な業種のお店から紹介された方など、私の好きなものに共感する価値観を持ってくれる人が多いです。」
自分の「好き」を貫いた品揃えが、岐阜で唯一無二のセレクトショップとしての存在価値を生んでいる。


③憧れのアーティストと交流、夢叶える
森本さんは、「CANDY STORE」の経営者でありながら、DJとして活動する、一面を持っている。
「昔から音楽が好きだったのと、憧れた方々の影響もありDJ活動は自然な流れで始めました。DJと呼ぶには烏滸がましいかもしれませんが、音楽や洋服を通して様々なアーティストとも繋がることができたので、僕の企画したイベントにもアーティストの方にお声掛けさせていただき、イベントに参加していただいてます。」
昨年はお店の20周年という形で、第1弾、第2弾と2回打ち出したそうだ。
「すてきなアーティストの方々に20周年をお祝いしていただけたのはめちゃくちゃ光栄でしたし、お客様の嬉しそうな顔も沢山みれたのですてきな思い出です。その他にも夏はアロハシャツ、冬は革ジャンをドレスコードにしたファッション性を強く打ちだした音楽イベントも。今後もこのようなイベント開催や、自分が大好きなバンドを岐阜に呼ぶ企画を続けていきたいですね。体力ないので中々にしんどいですけど(笑)」
地道にお店の経営やイベントを重ねてきたことで、憧れのアーティストと交流するなど、森本さんは多くの夢を実現してきた。
「大好きなアーティストの方々が自分のイベントに出演してくれたり、お店に来店してくれるなんて20年前は考えもしなかったですね。長く続けて来られたからこそ、こうした喜びも味わえたのだと思います。」
「CANDY STORE」を営んできた日々を誇りに思う森本さん。その夢は、まだまだ続いていく。
④挫けそうな時も、原動力は音楽ライブ
創業から21年、その道のりは決して平坦ではなかった。
アパレルショップでの経験を積もうと就職したものの、自分が好まない服を着ることや販売する事の違和感からわずか3か月で退職。この経験から、自分が好きな事しか続けられない人間なんだと実感したと言う。
「おかげでずぶのド素人が情熱だけで始めたお店なので、最初の5 年間くらいは本当に苦労しました。宣伝方法もわからず、友人や仲間うちだけに販売している感じでしたね。だからその時助けてくれた皆んなにはめちゃくちゃ感謝しています。店が終わったらアルバイトの掛け持ちの日々もかなり続きました。そんな状態でも楽しいと思える気持ちが勝っていたので、何とか続けて来れたんでしょうね。」
途中でやめようと思ったことも数知れずあったと振り返る。絶対的な経験不足や色々あったご時世、人間関係のトラブル。続けられたのが奇跡だと振り返る。
それでも店を続けられたのは、森本さんならではの原動力があった。
「私の原動力はバンドのライブや人との繋がり。とにかくライブに行き、刺激や感動を受けた事が力になりました。CANDY STOREを通して紡いできた色んな方々との関係がお店をやめる事によって切れてしまうのも嫌でしたし。恩返ししなきゃいけない人達も沢山いましたしね。」
未だに休日には、ライブのスケジュールチェックはしてます。魂を持って情熱を注げるものがあることの重要さが伝わる。
音楽と洋服への深い愛。それが「CANDYSTORE」の21年を支え続けてきた。
⑤音楽と洋服のBAR、計画中!
21周年を迎えた今、森本さんは新たな夢を語る。
「少し先にはなると思いますが、うちのお客様や仲間が集まれる飲み屋を始めたいと考えています。実は10年以上前から抱いていた構想なんです。お酒を交わしながら気の知れた者同士が音楽や洋服について語り合える場所を作りたいんです。」
岐阜郊外での隠れ家的な展開を考えているが、将来的には洋服屋と飲み屋を一つの空間で融合させることが夢だという。
「自分がやるならクールなBARみたいな雰囲気よりも、カラオケやステージも設置してロックスター気分を味わえるようなスナックみたいなお店がいいなと。賛否両論でしょうがそういう場所もいいななど、本気であれこれ発想して考えています。来年以降はさらに楽しい企画を実現するのが目標です。」
最後に、森本さんは、夢の実現への決意を語る。
「常に不安しかありませんが、今まで通り1年1年を勝負の年だと思って責任を持って取り組みたいです。時代の変化に完全についていけてない自分ではありますが、カッコいいと思う洋服や素晴らしきプロダクトをセレクトし、訪れてくれる人達に想いを伝える。それはこれからもずっと変わりませんが、大好きなブランドにうちだけの別注アイテムを制作してもらったり、多くはなくてもうちの完全オリジナルのプロダクトもリリースしていきたいですね。あとは年に1〜2回CANDY STOREのPOPUPを色々な場所で出来たら最高だなと思ってます。音楽のイベントも変わらず続けたいです。今オファーをかけてる方々が、すてきすぎますので必ず実現したいなと。」
個性派セレクトショップ「CANDY STORE」は、音楽とファッションを融合させた唯一無の店舗である。18歳で抱いた夢を温め続け、その思いは20周年という形で実を結んでいる。
LewisLethersをはじめとする上質なブランドと、音楽ライブへの深い愛を持つ森本さんと交流できる貴重な場所だ。
岐阜の地で、音楽と洋服の魅力を発し続ける「CANDY STORE」に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

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