飲食業
各務原市

人生に金の輝きを添える「うなぎ美濃金」を訪ねてみた。

人生に金の輝きを添える「うなぎ美濃金」を訪ねてみた。
TOM
TOM
サラ〜!昨日お散歩してたら、いい匂いがしたんだよ!
SARA
SARA
どうせまた“うなぎの香りだ!”って言って騒いだんでしょ?
TOM
TOM
うん!気づいたらお店の前でよだれ垂らしてて、店員さんに心配された〜♪
SARA
SARA
・・・シロクマがよだれ垂らしてたら、そりゃ誰でも警戒するわよ。
この記事は約8分で読めます。
各務原市にある「うなぎ美濃金」をご存知だろうか。
岐阜・各務原発の「地焼きうなぎ」にこだわる専門店で、素材や焼きに徹底的にこだわり、味・空間・サービスの三位一体で「食の体験」を提供する注目ブランドである。今回は、新規事業部 部長 清水 仁詞(しみず ひとし)様にお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 店名に込められた「美容と健康への想い」
  • 未経験から繁盛店へ!美濃金奮闘物語
  • 味・空間・サービスの三位一体が強み
  • うなぎ文化を守り、未来に託す橋渡し
  • 焼くたびに違う、うなぎ職人の醍醐味

①店名に込められた「美容と健康への想い」

 

うなぎ美濃金(みのきん)は、2021年10月に各務原でオープンし、創業4年目を迎えている。もともとは、1987年に創業した日本料理店で提供していたうなぎ料理をルーツに持ち、そこから派生し業態変更という形で誕生した。

 

現在は、本店のある岐阜・各務原に加え、東京・秋葉原にも「神田本店」を展開。今後は愛知県にも新店舗を予定しており、地域に根ざしつつ着実にグループ化を進めている。

 

「当店の運営元は各務原に本社を構える『株式会社J・ART』という企業で、既に多くの皆様にご支持をいただいている『さかい珈琲』をメイン事業にFC展開しております。今後は『うなぎ美濃金』をもう1つの柱として注力し取り組んでおります。」

 

東京に出店したきっかけは、社長がかねてより抱いていた「東京でうなぎ屋を展開したい」という強い想いに始まる。1号店である各務原で「うなぎの地焼き」のノウハウを蓄積したことで、自信をもって新たな地に挑戦できる状態となったことが大きい。

 

「東京では、関東風の『うなぎを蒸してから焼く』文化が一般的です。一方で、関西風の蒸さずにそのまま焼き上げる『地焼き』は珍しく、一定のニーズがあると感じました。うなぎの地焼き文化を広めたい想いがありました。」

 

さらに、「神田本店」が入るテナントビルがJ・ARTの東京事務所に隣接するビルで、積極的に新規ジャンルに挑戦する店舗があり、雰囲気や立地の良さも揃っていたことが決め手となり、出店を決断したという。

 

店名「美濃金」は、創業地・美濃地方の地名「美濃」と、岐阜を象徴する「金華山」や「金の信長像」に由来している。

 

「美濃金には『美しい』というキーワードも秘められています。『女性は美しく男性も健康に』をモットーに考えており、うなぎを通じて美容と健康を支え、人生が金色に輝くようにとの願いが込められています。」

 

うなぎ美濃金は、美濃地方の伝統を受け継ぎ、地焼き文化を広めるべく、株式会社J・ARTのもとで全国展開を目指している。

 

②未経験から繁盛店へ!美濃金奮闘物語

 

うなぎ美濃金の開店には、多くの困難が立ちはだかっていたという。それを乗り越え、今に繋がっていると語る清水さんはもともと飲食店経営をしていた経歴がある。

 

「卒業後、仲間が集まれる店を持ちたいという夢から飲食業界に進みました。創作居酒屋、フレンチ、和食チェーンなどで幅広い経験を積んだ後、パスタ好きが高じてカジュアルイタリアンを独立開業したのです。」

 

その後、縁があって現在の会社に入社。うなぎ事業の立ち上げを一任されたのは、「清水なら任せられる」という会社の大きな信頼と期待の表れであり、「会社の期待に応えたい」という想いを原動力に、がむしゃらに挑戦した。その一方で、清水さんはうなぎをさばいたことがなく、うなぎの調理に関しては未経験の状態からのスタートであった。

 

「最初は取引先の問屋に通い、職人さんの手元を3日間見続けることから始めました。見よう見まねで挑戦しましたが、思うようにいかず、一匹をさばくのに何時間もかかり、その難しさを痛感しました。職人さんに頭を下げながら教えを請い、失敗と挑戦を繰り返しながら少しずつ技術を習得しました。」

 

着実に技術を身につけた清水さん、その経験を活かし、自身がスタッフに対して実践指導を行うまでになった。また、うなぎの「焼き」に関しても、正解がなく試行錯誤の日々を重ねているという。

 

「うなぎの『焼き』は、職人さんによってこだわりがあり千差万別です。また、同じように焼いても、時期や産地ごとにうなぎの質が変わるため、そのうなぎに合わせた対応が求められます。問屋や割烹料理店の協力を得ながら、日々理想の焼き加減を追求しました。」

 

社内の経営層やスタッフと何度も試食を重ね、「美濃金らしさ」と呼べる独自の味を確立するに至った。その努力は客足にも反映され、お客様によっては「ここのうなぎが一番」と言われるまでに。

 

東京店では「地焼きが珍しい」「今までで一番おいしい」との声が多く、外国人観光客の間でも高評価。言葉が通じずとも、翻訳アプリを介して感動の声が届き、リピートされるお客様もいるほどだ。「美濃金の味」が国境を越えて人々の心を動かしていると言っても過言ではないだろう。

 

うなぎ調理未経験からのスタートという困難を乗り越え、職人や周囲の支援を受けながら、「美濃金の味」を築きあげた。清水さんを筆頭に、関わるすべての方々の真摯な努力と挑戦の軌跡が、今の人気店を支えている。

 

③味・空間・サービスの三位一体が強み

 

うなぎ美濃金の最大の強みは、料理のすべての要素に徹底的にこだわる姿勢にある。

 

「うなぎはもちろん、焼き加減、炭、米、タレ、水、醤油に至るまで、使用する素材はすべて社長自らが選定しています。お客様に満足いただくためなら、一切の妥協を許さないスタンスが特徴です。」

 

原材料費の高騰や原価率の上昇といった経営上の課題がある中でも、「まずはお客様に還元したい」という思いから、高品質を保ちながら良心的な価格設定を貫いている。

 

特に神田本店では、さらにブランディングを強化。割り箸・器・おしぼり・紙類まで岐阜にゆかりのある素材を用いるなど、空間全体に地域文化と高級感を演出しており、料理とともに空間そのものが体験価値を演出している。また、各務原店での主な来店層は60〜70代の高齢層であるが、子どもや孫と訪れるファミリー層や若年層にも配慮したメニュー展開も重要な強みである。

 

「各務原店では、うなぎが苦手な方でも楽しめるよう、『飛騨旨豚のとんかつ定食』や『大山鶏の蒲焼』、『ミックスフライ定食』など、うなぎ以外のメニューも充実させています。女性向けの『花ひつまぶし』は、華やかな器にすることで視覚から楽しんでいただけますし、大人数で楽しめる『桶ひつまぶし』も好評ですね。」

 

うなぎ美濃金では、多様な食シーンに対応する工夫が随所に施されている。さらに、職人一人ひとりが持つ成長志向も大きな魅力である。

 

「スタッフの多くは、今の技術に満足していません。『もっと美味しくできる方法は?』と自らに問い続け、改善を重ねています。」

 

例えば、他店のうなぎを食べに行った際にも、ただ味わうのではなく、「自分たちの味をより良くするヒントはないか」という事業者の視点を常に持つ。他店の良い点を積極的に吸収し、自らの技術を向上させることで、お客様により高い満足度を還元することを目指している。

 

うなぎ美濃金は、職人技とユーザーファーストの経営哲学が融合した「食の体験」を提供する、味・空間・サービスの三位一体で魅了する強みをもっている。

 

④うなぎ文化を守り、未来に託す橋渡し

 

うなぎ美濃金では、若年層の集客と職人の後継者育成を大きな課題として認識している。現在はSNS活用に注力しており、InstagramやTikTokを通じて少しずつ若年層の来店も増加傾向にある。今後はさらに若い世代への認知拡大が必要とされている。

 

一方で、後継者不足も深刻な課題である。

 

うなぎ屋は基本うなぎしか扱ってないので、日本食の中でも調理内容が専門的で技術応用できる範囲が狭いジャンルです。ですから、積極的に志望する若手が少ないのが現状です。

 

実際、求人の反応も薄く、老舗うなぎ屋の廃業も相次いでいる。このような背景の中、企業として、うなぎ文化を絶やさず継承し、全国へ広げていくことを目指している。

 

今後の店舗拡大のロードマップとして、一気に爆発的に増やす方法よりは、お客様に満足いただける質を重視し着実に支持を得ながら、うなぎ文化を全国に拡大したいと考えています。

 

株式会社J・ARTは、うなぎ美濃金の事業拡大に強い意欲を持っており、将来的にはフランチャイズ(FC)展開を目指している。

 

「すでにグループで展開している『さかい珈琲』が全国に約40店舗あるので、美濃金も同様のスケール感を持ったブランドに成長させたいです。」

 

美濃金ならではの本格炭火による「地焼き」スタイルと、良心的な価格設定という独自の強みを活かして、全国展開を図りたいと語る。

 

⑤焼くたびに違う、うなぎ職人の醍醐味

 

清水さんは、うなぎの魅力は繊細な違いと終わりなき追求の面白さにあると語る。一見決まった作業にも思える「さばく・串を打つ・焼く」という工程も、実際には季節、うなぎの産地、個体差などの影響を受け、同じ仕上がりは一度としてない。

 

脂ののりや身の質感、皮の硬さといった細部にまで違いがあり、その時々で最適な焼き加減を見極める感覚が必要とされます。まさに『焼き一生』の世界で、昨日は良かったのに今日は納得がいかないと思うようなことがたくさんあります。このように、良い焼き上げに向かって日々追求するので、面白くて飽きないんです。」

 

最も楽しい瞬間は、『この焼き方でこのうなぎが最高に美味しくなる』という自分なりの正解を見つけたとき。それはまさに、一串一串に真剣勝負で向き合う職人の醍醐味である。

 

現在、清水さんのもとには若い世代の職人志望者たちが集まり始めている。その中でも特に印象的な若手社員は、「将来、兄弟でうなぎ屋を開きたい」という夢を持ち、関東風以外の焼き技術を学ぶために、地焼きスタイルを志願してきたという。日々の業務で積極的に質問し、貪欲に学ぼうとする姿勢は、まさに「次世代の職人」として期待が高まる存在。

 

すごい頑張ってますよ。やっぱり意欲の高い子はどんどん質問してきて、積極的に技術を吸収しようとするので、まさに職人気質です。逆に私が勉強になることもあるので、お互いにとって良い関係が築けていると思います。

 

これは、うなぎ文化を継承するにあたり、最も理想的な職人育成の形であり、清水さんの仕事への情熱と、次代を担う人材への期待が表れているエピソードである。

 

うなぎ美濃金は、未経験から職人技を磨き上げた清水さんを中心に、味・空間・サービスの三位一体で顧客満足を追求する企業である。特に、素材への徹底したこだわりと、職人の成長志向が魅力だ。

 

皆さんも一度訪れてみてはいかがだろうか。是非、こだわりの味とうなぎ文化に触れてほしい。

 

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