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岐阜のフランチャイズ事業を牽引する「株式会社サンポーコーポレーション」を訪ねてみた。

岐阜のフランチャイズ事業を牽引する「株式会社サンポーコーポレーション」を訪ねてみた。
TOM
TOM
エステに行ってカフェでお茶、お土産にドーナツ買って・・・
SARA
SARA
あら楽しそうね。それ全部「サンポーコーポレーション」のお店よ
TOM
TOM
そうそう、今日は岐阜で買い物散歩するよ!
SARA
SARA
・・・三歩で買う物忘れないようにね・・・
この記事は約7分で読めます。
岐阜市に本社を置く「株式会社サンポーコーポレーション」をご存知だろうか。
ミスタードーナツを初め多様なフランチャイズを展開する岐阜No.1のメガフランチャイジー企業である。今回は、3代目社長・中村 慎二(なかむら しんじ)さんにお話しを伺った。
今回のツムギポイント
  • 「三方よし」を貫き、地域に喜びを届ける企業へ
  • ダスキン創業者との出会いから始まった挑戦
  • 「クレドカード」が支える地域に愛される店づくり
  • 福箱が広げたサンポーの信頼の輪
  • “日本一愛される企業”を目指して——サンポーの理念とこれから

①「三方よし」を貫き、地域に喜びを届ける企業へ

 

岐阜県でミスタードーナツやカフェ&ベーカリー、エステなど多様なフランチャイズ事業を展開する株式会社サンポーコーポレーション。

 

その社名は近江商人の教えである「三方よし」—自分よし、相手よし、世間よし—に由来し、従業員・お客様・地域社会のすべてが満足できる価値観を大切にしている。この哲学は、単なる利益追求にとどまらず、関わるすべての人に喜びを届けるという使命として、創業から50年以上にわたり根付いてきた。

 

会長・中村修一氏はこの「三方よし」の精神を軸に、従業員と地域に喜びを届ける企業文化を築くことを目指した。この理念を継承した中村社長は、事業の目的をこう語る。

 

「世の中に喜びを提供し、働く人が誇りを持てる会社を目指しています。」

 

岐阜の人々に身近なサービスを提供し続ける中で、各店舗には「サンポーのお店は親しみやすく、信頼できる」との声が寄せられる。

 

「人間性の高い人が一人でもいれば、その場がより良い場所になります。」

 

中村社長は、従業員一人ひとりが地域に良い影響を与える存在であるべきだと考える。サンポーコーポレーションは、この経営哲学を原動力に、岐阜で欠かせない企業として信頼の輪を広げてきた。地域と人を幸せにする挑戦は、今後も続いていく。

 

②ダスキン創業者との出会いから始まった挑戦

 

1970年代初頭、当時アパレル業界に携わっていた中村修一会長は、ダスキンがミスタードーナツ事業を立ち上げる際の説明会に足を運んだ。

 

その場で、ダスキン創業者・鈴木清一氏が語ったのは、「儲けだけを目的とせず、人を喜ばせる事業を目指す」という力強いビジョンだった。この言葉に強く心を動かされた中村会長は、自身の進むべき新たな道を決意した。

 

アパレルとはまったく異なる飲食業への転身は容易ではなかったが、鈴木氏の志に突き動かされた中村会長は迷わず行動に移した。

 

1973年、長谷虎紡績と共同で株式会社ギフフーズを設立。ミスタードーナツのフランチャイズ事業に参入し、飲食業への第一歩を踏み出した。

 

その後、1993年に社名を現在の「株式会社サンポーコーポレーション」へと変更。従業員・お客様・地域社会すべてを大切にする「三方よし」の理念を社名に込め、経営の軸を明確に打ち出した。

 

以来、サンポーコーポレーションは岐阜に根ざした企業として成長を続け、お客様から「サンポーのお店は接客が温かい」という声が寄せられるまでになった。また、既存の飲食事業に加え、エステや環境衛生サービスといった多角的な事業展開にも積極的だ。

 

「会長が鈴木氏の『人を喜ばせる』という志に突き動かされたように、私もその理念を継承し、地域に貢献する事業を追求しています。」

 

店舗を接客にあたるスタッフ一人ひとりも、お客様に笑顔を届ける接客を徹底している。この原点を胸に、岐阜で地域と人を幸せにする企業へとして歩み続けている。

 

③「クレドカード」が支える地域に愛される店づくり

 

「三方よし」の理念を約700人の従業員に浸透させるために導入したのが、企業としての行動指針を記した「クレドカード」だ。

 

ダスキン創業者・鈴木清一氏の「人を喜ばせる事業」の精神を、現代の店舗運営に具体化するツールとして、従業員の人間性を育み、地域に愛される接客文化の基盤となっている。

 

この取り組みが始まったのは、中村社長が入社した約18年前のこと。当時、中村社長は前職である電気工事業において、成果を競う雰囲気に戸惑いや違和感を感じていたという。そんな中で、サンポーコーポレーションの「三方よし」—自分よし、相手よし、世間よし—の明確な理念は新鮮だった。接客業を通じて、自らの想いを直接届けられるやりがいを見出していった。

 

「前職でも、お客様に喜んでいただけた瞬間が一番のやりがいでした。今は接客業という立場で、より多くの方と想いを交わせることに、大きな意味を感じています。」

 

クレドカードはこうした価値観を従業員全体に共有するための手段として活用されている。高校生アルバイトからベテラン社員までの幅広い層に理念を共有するため、日々の業務に密着した仕組みとして機能しているのだ。

 

カードには、「挨拶」「感謝」「整理整頓」「報告・連絡・相談」など、計30項目の行動指針が記されている。これらは特別なスキルではなく、人として大切な基本姿勢に焦点をあてたものだ。

 

「感謝の言葉を伝え、身の回りの環境を大切にすることが、結果的に従業員自身の成長につながります。」

 

店舗では、出勤時に従業員がカードの項目を一つ選び、朗読するルールが設けられている。これにより、理念を単なる標語に終わらせず、日々の行動に根付かせる仕組みだ。さらに、感謝の気持ちを伝える「サンクスボイス」や、業務改善の提案活動も連動ており、組織全体の意識を高める重要な土台となっている。

 

この継続的な取り組みにより、従業員の意識や振る舞いに大きな変化が見られるようになった。特に学生アルバイトが多いミスタードーナツの店舗では、接客を通じて言葉遣いや表現力が自然と磨かれ、大人としての立ち居振る舞いを学ぶ環境が整っている。

 

「実際に働いている学生の中には、クレドカードのような仕組みが以前のバイト先にもあれば辞めなかった、と言ってくれる子もいます。」

 

このような取り組みは、他者でも部分的に取り入れられることはあっても、20年近く継続し、制度として根付いている事例は珍しい。

 

「挨拶や感謝といった基本行動は、すべての人間関係の基盤です。これらを徹底することが、私たちの接客品質を支えています。」

 

クレドカードの内容は、数年に一度見直され、従業員の声を取り入れながら進化させることで、時代に合った理念の浸透を実現している。

 

クレドカードは単なるルールブックではない。従業員一人ひとりが「三方よし」の理念を体現し、地域社会に貢献する意識を育むための大切な指針だ。

 

スタッフ全員が共通の志を持ち、店舗ごとの高い接客品質を支えている。こうして育まれた人間性を武器に、岐阜の地域社会に笑顔を広げ続ける。

 

④福箱が広げたサンポーの信頼の輪

 

お客様目線での革新を象徴する取り組みの一つが、ミスタードーナツの「福箱」だ。ドーナツ引換券やオリジナルグッズが詰まった福袋企画として毎年注目を集めている。

 

かつて、福箱の引換券は発行店舗でしか利用できない仕様が一般的だった。そうした中、サンポーは、お客様の利便性を第一に考え、運営店舗(当時約23店)で共通して使える引換券を自社で発行し、「福箱」の仕組みにした

 

このアイデアは、他社の店舗限定の引換券とは一線を画し、お客様に自由度と利便性を提供したと高く評価された。「お客様の都合に合わせて、どこでも利用できる仕組みを」との発想は、「人を喜ばせる事業」を体現する試みだった。

 

「気軽にご利用いただける福箱は、喜びを届ける工夫の一つです。お客様が満足されることで店舗の雰囲気も明るくなり、活気にもつながりました。」

 

こうした取り組みが実を結び、サンポーは長年にわたり、全国トップクラスの福箱販売実績を維持。業績向上にも貢献し、接客品質と相まって地域での信頼を確かなものにしていった。

 

やがてこの仕組みはダスキン本部にも採用され、現在では全国のミスタードーナツ店舗で共通仕様の福箱が導入されている。サンポー発の顧客目線の改革が、業界の標準となった瞬間だった。

 

お客様に喜びを、店舗に活気を、地域に信頼を届けたこの取り組みは、従業員の意識を高めるクレドカードと連動し、店舗運営の基盤を強化した。

 

⑤“日本一愛される企業”を目指して——サンポーの理念とこれから

 

サンポーコーポレーションは、岐阜県における有力なフランチャイジーとして、地域に深く根ざした事業展開を続けてきた。創業以来、「三方よし」の理念を貫き、岐阜という地で確かな信頼と実績を築いてきた。

 

1973年、ミスタードーナツのフランチャイズ事業参入以来、「お客様と社会への貢献」を根幹とした経営理念を実直に体現してきた。その歩みの中で、従業員の人間力を育む仕組みや、時代や地域のニーズに合わせた柔軟な工夫が、岐阜での高い評価を生んでいる。

 

「地域に根ざし、皆が笑顔になれる事業を追求してきました。それが、岐阜での歩みを支えてくれたのだと思います。」

 

フランチャイズであるがゆえに、商品開発やブランド設計は本部の方針に準じる必要がある。一見すると独自性を出しにくいこの体制だが、サンポーコーポレーションはその「制約」をむしろ強みに変えている。

 

「制約の中でも、地域のニーズに応える工夫を重ねます。それが私たちの強みです。」

 

その言葉どおり、店舗ごとの柔軟な運営で「お客様目線」のサービスを徹底してきた。こうした姿勢が、地域住民からの厚い信頼と高い再来店率につながっている。

 

中村社長は、現在も次の時代に向けた挑戦を模索し続けている。サービスの幅を広げながらも、あくまで地域密着であることが一貫した方針である。

 

さらに障がい者育成への寄付や地域での雇用を支える活動を通じて、岐阜の暮らしをより豊かにすることを目指している。

 

「新しいサービス業を提供して地域を活性化する。それが『日本一愛される企業』へのチャレンジです。」

 

サンポーコーポレーションの挑戦は、常に「三方よし」の理念を原点にしている。関わるすべての人にとって喜びとなる事業を追求しながら、これからも岐阜の未来に価値ある一歩を刻み続けていくだろう。

 

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