飲食業
本巣市

関わる全ての人の幸せを願う古民家カフェ「アトリエ・フェリス」を訪ねてみた。

関わる全ての人の幸せを願う古民家カフェ「アトリエ・フェリス」を訪ねてみた。
TOM
TOM
サラ〜!このジュース、美味しい!なんか自然を飲み干してる感じがする!何これ!? 何のエキス!?
SARA
SARA
それ、“自家製のボタニカル酵素コーディアル”って言ってね、ハーブや果物を発酵させた体にいいドリンクなのよ〜美味しいよね!
TOM
TOM
そうなんだ〜なんかさっきからおなかがポカポカしてきてるんだけど…これ、恋の予感じゃないよね?
SARA
SARA
・・・それ、ただの代謝が良くなってるだけよ・・・
この記事は約6分で読めます。
本巣市にひっそりと佇む古民家カフェ「アトリエ・フェリス」をご存じだろうか。
緑の中にある築年数を重ねた建物に一歩足を踏み入れると、どこか懐かしく温かな空間が広がる。2012年のオープンから13年、一人で切り盛りする店主の柴田 典香(しばた のりか)様に、お店への想いを伺った。
今回のツムギポイント
  • 「フェリス」に込めた幸せへの想い
  • 心・体・食の3つの健康を届ける
  • 経験を活かし独立へ
  • 発酵食と薬膳の知識を活かしたメニュー
  • 人との縁を大切に、進化し続ける姿勢

①「フェリス」に込めた幸せへの想い

 

店名の「フェリス」について尋ねると、柴田さんは穏やかな表情で語り始めた。

 

「フェリスっていう単語はスペイン語で『幸わう』という意味を持っているんです。ハッピーよりもどちらかというとメリーのニュアンスなんです。」

 

フェリスという言葉は辞書にもあまり出てこない、ふんわりとした意味を持つ言葉だという。

 

「関わる人たちとのご縁をつなぐことでみんなが幸せになるという意味があります。ハッピーや自分が幸せ、という短期的な幸せではなく、つながる人たち、皆んなを想う幸せな気持ちを込めてこの名前にしました。食事に例えると大地で育った作物を誰かが美味しく調理する。それを食べることによって自分が生かされているって思うんです。大地や調理をしてくれた人にも感謝しています。その考えをみんなで分かち合いたいんです。」

 

柴田さんは、相手の神聖を敬うことの大切さを話してくれた。相手を思う気持ちがあれば、人間関係も良好になるという。

 

「みんなが幸せであることを願うことで、回り回って自分も幸せになるという感覚です。多分辞書には出てこないけど雰囲気としてはそんな感じです。」

 

柴田さんはお客様、クリエイター、スタッフ、そして自分自身が、それぞれの関わりの中で幸せを感じられ、この想いを広げる場所を目指しているのだ。

 

②心・体・食の3つの健康を届ける

 

「アトリエ・フェリス」の根幹にあるのは、「LOHAS(ロハス)」の考え方だ。

 

「人は心と体と食の3つ全てが健康であることが本当の健康だと考えています。どれか欠けても健康とは言えないと思います。健康の為に私は食を提供しているので、使う食材にこだわったり、生薬やハーブなども使って、健康に良いものを提供したいと思っています。」

 

 

柴田さんは食事だけでなく、イベントの開催や地域活動への参加など、心の健康と体の健康を含めた総合的なアプローチを大切にしている。

 

「イベント参加や地域活動に取り組んでいるのも、心・体・食の3つの健康を皆さんに知っていただいて、盛り上げるために何ができるかを私なりに考えた結果なんです。」

 

現在は店舗の2階をレンタルスペースとして提供し、ベビーマッサージ教室なども開催されている。地域の人と講師の方がつながる場所なのだ。また、子育てに悩む方の相談にも乗れるようにと考え、ランチを提供するなど、心の健康にもつながる活動を展開している。

 

「やはり、自分一人ではできることに限界があるんです。場所を提供しいろんな講師の方に使っていただく。そしてこの場所や私の考えを食を通してお伝えすることができるので、今後もいろんな方にご利用いただける場所として続けていきたいです。」

 

一人では限りがあるからこそ、場所を開き、色々な人と繋がっていく。そんな柴田さんの想いが温かい空間を生み出しているのだろう。

 

③経験を活かし独立へ

 

柴田さんは、もともと瑞穂市で飲食店の運営に関わっていた。経営全体をサポートし、現場にも入りながら店舗展開を支えてきた。結果として、5店舗まで広がる成長を間近で支えることとなった。

 

「当時はとても多忙で、子どもと過ごす時間をなかなか確保できなかったんです。子育てを優先したいという想いから、一度飲食の現場を離れることにしました。」

 

その後、しばらく飲食業から離れていたが、ある日偶然の出会いをきっかけに、現在の物件と出会うことになる。

 

「特に物件を探していたわけではないのですが、この建物のオーナーさんからお話をいただいたんです。見てみたら本当に素敵な場所で、もう一回飲食業を始めてみたくなったんです。」

 

建物のオーナーから「手が空いてるならここ使って」と声をかけてもらい、2012年に「アトリエ・フェリス」をオープンすることに。それから13年、この場所で営業を続けている。

 

「ありがたいことに、本当にいろんなタイミングが重なって、開店できました。派手なことをやりたいとか、どこよりも一番になりたいというよりは、私にしかできないことを長く続けていきたいと考えています。」

 

いろんなご縁やタイミングがうまく重なり現在に至るのだと話してくれた。柴田さんの奢ることなく周囲の方に常に感謝する姿がとても印象的だった。

 

④発酵食と薬膳の知識を活かしたメニュー

 

メニューは全て柴田さんが一人で考案し、手作りしている。特に力を入れているのが、発酵食品を使った料理だ。

 

「アトリエ・フェリスでは、コーディアルとか発酵食に力を入れています。最近は発酵食や腸活、菌活などに興味を持っている方が増えていますので、多くの方にご利用いただけています。」

 

野菜や果物を丸ごと使うことにもこだわりがある。

 

「果物や野菜を丸ごと使いたいんですけど、農薬が沢山使用されているものは提供したくありませんので、無農薬で育てている農家さんの物を使わせてもらったりと工夫しています。」

 

柴田さんはコロナ禍の時期に、薬膳の資格も取得した。

 

「『医食同源』『薬食同源』という言葉があります。薬膳というのは、中国の伝統医学である中医学に基づいて、食材の持つ薬効を利用して、健康維持や病気予防を目的とした食事の法方です。病気になってからお医者さんに行って治療するのではなく、お医者さんに行かなくていい体を作ろうという考えです。」

 

柴田さんはこの知識を活かし、季節や体調に合わせた料理を提供している。お客様に「食べる」ことの大切さを伝えながら、健康的な食事の価値を広めている。

 

⑤人との縁を大切に、進化し続ける姿勢

 

毎週土日には移動カフェも行っている。長良公園などのマルシェや、県内各地のイベントに出店し、より多くの人々に健康的な食を届けている。

 

「いろんなイベントやマルシェに参加して、美味しくて体に良いものをご提供しています。そこで出会ったお客様とお話しするのも楽しいですし、とてもよい刺激をいただけています。」

 

今後の展望について聞くと、柴田さんは謙虚に答える。

 

「今後も一人でできる範囲で考えています。長く活動を続けていきたいので、無理はせずに自分が心から良いと思えることを大切にしながら続けていきたいですね。」

 

この先60代、70代になっても楽しくこの仕事をしたい情熱がある。形は変わるかもしれないが、今持っているものを最大限活用し進化させていきたいという。

 

「今後さらに健康な食に関して需要が増えていくと思っています。時代の流れはさらに変わっていくと思いますし、今の私が見ている今の状況が全てではないと思うので、今後も学び続けて本当に良いものを提供していきたいです。」

 

最後に、柴田さんは人との関わりの大切さを改めて強調した。

 

「やはり人との関わりはすごく大事だと感じています。SNSがかなり普及してはいますが、やはり対面でお会いしてお話しすると伝わるものってあると思うので、そこは大切にしていきたいと思っています。」

 

「アトリエ・フェリス」は、単なるカフェではない。人と人とのつながりを大切にし、心・体・食の健康を通じて、関わる全ての人の幸せを願う場所だ。

 

古民家の温かな雰囲気の中で、丁寧に作られた発酵食や薬膳料理を味わいながら、ゆったりとした時間を過ごす。そんな特別なひとときを求める方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。柴田さんの想いが、きっとあなたの心と体に優しく寄り添ってくれるはずだ。

 

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