心と体の両方にそっと寄り添う「栄整治療院」を訪ねてみた。





腰痛や肩こり、体の歪みの改善といった一般的な整体に加えて、独自の小顔矯正の施術を行っている治療院だ。
今回は、院長の小栗 純平(おぐり じゅんぺい)さんにお話をうかがった。
- “栄養”と“整える”、ふたつの視点で寄り添う整体院
- ありがとうが教えてくれた、自分の居場所
- 「本当のオーダーメイド整体」を岐阜で届ける
- 女性に寄り添い、未来をつくる整体
- 口コミで支えられてきた治療院の、これからの挑戦
①“栄養”と“整える”、ふたつの視点で寄り添う整体院
「栄整治療院」の名前の由来を尋ねると、小栗さんは柔らかな口調で説明してくれた。
「栄整治療院というのは、栄養学の“栄”と、整体の“整える”という字を掛け合わせたものです。僕が大切にしている“食べ物”と“体を整えること”の両方を象徴する言葉として、この名を選びました。」
整体院の名前に「栄養」の文字が入っているのは、少し珍しいかもしれない。けれどその背景には、小栗さんの歩んできたキャリアがある。独立前に愛知県で不妊治療と整体の勉強をしていた時期に、栄養学の大切さを感じたのだという。
「栄養については、まだまだ学び続けている途中です。ただ、基本的なことは一通り学んできたので、お客様にとって少しでも役立つことがあればお伝えしています。たとえば“食べすぎると腰が痛くなりやすい食材”など、意外と知られていないこともお伝えしています。」
体を整えるには、食事からの栄養が欠かせない。整体だけでは補いきれない部分があると知っているからこそ、その想いを治療院の名前に込めた。栄養と整体、その両面からお客様に寄り添っていく姿勢が、栄整治療院の根っこにはある。
②ありがとうが教えてくれた、自分の居場所
小栗さんは昔を振り返り、自分に自信を持てずにいた時間が長くあったと語る。高校生の頃までは、やりたいことや得意なことが見つからず、日々模索を続けていたという。そんな中、お母様から「マッサージをしてほしい」と頼まれたことが、人生の転機になった。
お母様は美容師という仕事柄、腰痛や肩の痛みに悩まされていた。何気なくほぐしたマッサージのあとに、ふと返ってきた言葉。
「ありがとう、すごく楽になったよ」
その一言が、小栗さんの胸に深く残った。
「人から褒められることが、こんなに嬉しいんだと思いました。自分がやったことで誰かが認めてくれたと感じたのは、あのときが初めてでした。」
その体験がきっかけで、友人たちにもマッサージをするようになった。部活で疲れた体を癒しながら、返ってくる「ありがとう」の言葉に喜びを感じる日々。「人の体を良くする仕事がしたい」と思うようになり、専門学校への進学を決意。
専門学校に通いながら接骨院で修行を重ね、骨折や脱臼などのけがに対して手術や薬を使わずに治療する「柔道整復師」の国家資格を取得した。専門学校卒業後は整形外科や介護施設などで働きながら、レントゲンやリハビリなど知識の幅を広げていった。
接骨院の院長を務めながら、大学のラグビー部のメディカルトレーナーを兼務していた時期もある。全国大学選手権への出場歴もある強豪チームで、選手たちのコンディショニングやケアに携わっていた。
様々な場所で、学生から高齢の方まで幅広い世代の施術に関わった経験は、開業後の人との接し方にもつながっている。
「下積みが長かった分、開業への憧れもずっと強くありました。この仕事を続けていくなら自分の治療院をもちたいという想いがずっとあったので、思い切って踏み切りました。」
そして、2018年、地元・岐阜で念願の治療院を開業。長年積み重ねてきた経験と想いを糧に、今日もお客様に向き合っている。

③「本当のオーダーメイド整体」を岐阜で届ける
人それぞれの体の状態や痛みに合わせた施術をする「オーダーメイド整体」を掲げる整体院や整骨院は数多くあるが、その中でも、栄整治療院が目指しているのが「本当のオーダーメイド整体」だ。
「人の個性をちゃんと見抜いて施術するということを大切にしています。個体軸整体という方法を取り入れて、特殊な検査をしたうえで見極めます。そうすることで、どこに触れていいか、逆に触れてはいけないかなどがわかるようになります。」
そのアプローチは、岐阜県内でもあまり例のないものだという。身体の反応や状態を丹念に観察することで、その人にとって最適な施術方法を導き出していく。
もうひとつ、栄整治療院の特徴として挙げられるのが、独自の小顔矯正技術「個貌術(こがおじゅつ)」だ。これは商標登録もされており、痛みを抑えつつ、顔のむくみやたるみ、左右差といった悩みに対して早く変化を感じられる手法として注目されている。岐阜県内でこの技術を提供しているのは、小栗さんただ一人だ。
「個貌術は東京で学んだもので、それを岐阜に持ち帰って取り入れました。商標登録されていて、岐阜ではうちでしか受けられないというのは強みだと感じています。いろいろな施術を試していく中で、自分でも納得できる効果があって、ここ2年ほど続けています。」
目の前の一人に寄り添い、真摯に向き合う。その積み重ねが、栄整治療院の信頼を築いている。
④女性に寄り添い、未来をつくる整体
「栄整治療院」には、女性のお客様が多く訪れる。小顔矯正に取り組んでいるのも、そうした利用者の声に耳を傾けてきた結果だ。けれど、施術の根っこにあるのは、もっと深いところにある小栗さんの想いだった。
「僕は整体で体を整えることはもちろん、ここに来ることで心がパッと晴れていくことも大事にしています。足を運んでもらっているからこそ、心や体に引っかかっていること、つらさ、痛みを少しでも置いていけるような、そんな場所にしたいと思っています。」
その言葉の背景には、かつて不妊治療の現場で、女性たちの声に長い時間をかけて寄り添ってきたという経験がある。施術中の会話を大切にする姿勢は、今も変わらない。
「男性は、命を宿すことはできないですよね。だからこそ、日々の暮らしや仕事の中で、女性がどれだけ多くの役割を担っているかを見てきて、ずっと敬意を抱いています。女性が少しでも元気でいられることが、家庭全体の健康にもつながると思っています。そのサポートをしたいという気持ちが、このお店のコンセプトになっています。」
小栗さんが自然とまとっている柔らかな雰囲気は、初対面の人にも安心感を与えている。そんな空気づくりに加えて、初めて来る人でも緊張せずに過ごせるよう、さりげない気配りを日々大切にしているという。
「整体って、どうしても敷居が高いとか、入りづらいといったイメージがあるかもしれないけど、そのハードルをできるだけ下げたいと思っています。安心して来てもらえるような場所にするためにも、インスタグラムのストーリーでは時折おちゃめな一面や素のキャラクターが垣間見える投稿も混ぜるようにしています。」
SNSでより人間味が伝わるような発信をすることで、初回にどのような人が施術を担当するのかという不安を解消している。
小栗さんが整体を必要なものとして語るのは、20代後半に自身が体調を崩した経験があるからだ。仕事でパフォーマンスを発揮するためには心と体の土台が欠かせないことを痛感したという。
「整体は今の不調だけでなく、未来の自分を整え、より良くしていくものだということを伝えたいです。落ち込んでいくタイミングに整体に行くことで、良い方向へ向かうきっかけになる、ここがそんな場所になるといいなと思っています。」
整えるのは体だけでなく、その人が進んでいく毎日の土台。整体が少しでも前を向くきっかけになれば——小栗さんの手は、そんな願いとともに動いている。

⑤口コミで支えられてきた治療院の、これからの挑戦
整体を営む整骨院や接骨院の多くは、開業後も営業を続けていくのが難しいとされている。ライバルの多さや集客の難しさから、経営を断念する人も少なくない。なかには「5年後も続いているのは全体の5%未満」という厳しい数字もある。
そのような厳しい業界の中、さらにはコロナ禍に直面しながらも、栄整治療院は7年目を迎えた。施術歴も14年となり、技術も経験も積み重ねてきた小栗さんが、次に見据えているのは、治療院の規模を少しずつ広げていくことだという。
「今はプレーヤーとしても経営者としても動いているので、自分の時間はほとんどなくて、一日が終わる頃にはヘトヘトなんです。一人では抱えきれないことも増えてきたので、人を増やして二人体制にしたり、少しずつ仲間を増やして、経営者として、次のステージも経験していきたいという気持ちがあります。」
一方で、経営者としてSNSからの集客という課題も感じている。新規のお客様の多くは口コミによる紹介が中心だという。それは施術の技術が認められてきた証ともいえるが今後さらに伝えていくためには、SNSの活用が必要になると考え、東京で学びを深めている。
「開業したばかりの頃は、今のように確立されたものがなかったにもかかわらず、ずっと通い続けてくださっている方がいることに、本当に感謝しています。自分にとってこの仕事は、生きがいだと思えるものです。だからこそ、これからも『ただ人を良くしたい』という素直な想いを大切に、続けていきたいと思っています。」
接骨院や介護施設、大学ラグビー部、不妊治療など、幅広い分野に携わってきた小栗さん。その経験と引き出しがあるからこそ、その人に合わせて組み立てていくオーダーメイドの整体ができるのだろう。
なかなか体の不調が改善せずに悩んでいる方や、自分に合う施術を探している方は、一度、小栗さんの整体にふれてみてはいかがだろうか。その人に合わせた丁寧なアプローチが、前向きな一歩につながるかもしれない。

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