こだわりの料理と美酒が楽しめる「居酒屋Ikki 一騎」を訪ねてみた。





地元の豊かな恵みを最大限に活かした創作イタリアンと、厳選された美酒を提供している。単なる居酒屋の枠を超え、レストランのような質の高い料理とアットホームな居心地の良さを両立させる同店は、地元住民はもちろん、遠方からの食通たちも足繁く通う人気店である。今回は、店主の山田 一洋(やまだ かずひろ)さんにお話をうかがった。
- 居酒屋の概念を超えた、和の彩りをまとったイタリアン
- 食材への揺るぎないこだわり
- 美酒と空間が織りなす至福のひととき
- 新たな挑戦で、美濃加茂の食文化を牽引する存在へ
①居酒屋の概念を超えた、和の彩りをまとったイタリアン
2014年5月10日にオープンした『居酒屋Ikki 一騎』は、イタリアンをベースにした多様なメニュー展開が魅力だ。居酒屋でありながら、カルパッチョ、パスタ、ブッラータといった本格的なメニューが並び、山田さん自身が厳選して仕入れる季節ごとの旬の野菜や新鮮な魚介類も、一騎の料理をより一層際立たせる。この本格的なイタリアンと和食を融合した創作メニューの誕生には、山田さんの幼少期の環境や、数々の料理店での経験が大きく影響しているという。
「母も姉も料理が得意で、僕もよく一緒に料理やお菓子を作ったりと、自然と『料理』に触れる機会が多かったように思います。幼い頃から将来は『好きなことを仕事にできたらいいな』と思っていたので、漠然とではありますが、飲食業界へ進みたいという考えはありました。」
料理好きなお母様やお姉様と共に台所に立つのが日常だったという山田さんは、大学卒業後、本格的に料理人としてのキャリアをスタートさせた。
山田さんはイタリア料理店、和食料理店で経験を積みながら、着実に腕を磨いてきた。様々なジャンルを経験した山田さんが「居酒屋」という形態を選んだのには、明確な理由がある。
「レストランのようなかっちりとしたお店ではなく、もっとカジュアルに、日常的にイタリアンを楽しんでもらいたいと思い、『居酒屋』にしました。」
山田さんが目指したのは、格式の高い高級レストランのような存在ではなく、肩肘張らず誰もが気軽に立ち寄れる「親しみのある存在」だった。記念日などの特別な日だけでなく、友人との食事や仕事帰りの一杯、家族での団らんなど、様々なシーンで気軽に立ち寄ってもらいたいという想いが込められている。既存の枠にとらわれない自由で柔軟な発想と、確かな技術に裏打ちされた料理の数々は、まさに一騎の魅力と言えるだろう。


②食材への揺るぎないこだわり
一騎の料理を語る上で欠かせないのが「鮮度」と「旬」へのこだわりだ。岐阜県内で採れる新鮮な野菜や旬のフルーツなど、選りすぐりの地元食材を積極的に使用しており、美濃加茂ならではのグルメが楽しめるお店として、地元住民はもちろん県内外の多くの人々に愛されている。
山田さんは週に2.3回、自ら市場や魚屋に足を運び、魚や野菜の状態を一つひとつ見極め、最高の食材を厳選して仕入れている。単に地元の食材を使うだけでなく、その食材が持つ本来の味や特性を深く理解し、最高の形で提供できるよう調理法にも工夫を凝らす。
「できるだけ季節ごとの旬の食材を使うようにしています。お客様に『今一番、美味しいものを食べてほしい』と思っているので、正直大変ではありますが、自分で見て選んでお出ししています。」
そして、食事の締めを彩るデザートにも山田さんの技術が光る。イタリアンレストランでデザート部門を担当した経験を持ち、提供されるデザートはどれも本格的だ。特に、コロナ禍に開発した「バスク風チーズケーキ」は、提供開始当初から今も不動の人気を誇る一品だ。外は香ばしく、中はとろけるような滑らかな食感で、濃厚なチーズの旨みと優しい甘みが絶妙なバランスを生み出している。このチーズケーキを目当てに訪れるお客様も少なくないという。
また、可児市のチーズ工房・caseificio_san_francesco(カセイフィーチョ・サンフランチェスコ)のフレッシュチーズを使用した「ブッラータ」、ナッツやドライフルーツを加えた伝統的なアイスケーキ「カッサータ」など、岐阜に居ながら本場イタリアの味を楽しめる。一騎は、岐阜の豊かな大地が育んだ恵みと本場イタリアの食文化を、まさに五感で味わうことができる場所なのだ。


③美酒と空間が織りなす至福のひととき
美味しい料理に欠かせないのが、美味しいお酒だ。自身もお酒好きだと語る山田さんは、ドリンクメニューにも強いこだわりを持っており、カクテル、日本酒、ワイン、ジンなど、定番から希少なものまで多岐にわたる種類を取り揃えている。
「僕はお酒が好きなので、良いと思ったものを置いているんですが、お酒の種類はかなり多いと思います。知り合いからは種類が多すぎて、『何が売りたいんだ』と言われたこともあります(笑)」
和食には日本酒といった固定観念にとらわれず、様々なペアリングを楽しんでほしいと山田さんは語る。また、「ワインはよくわからない」という声が多かったため、気軽に様々な種類のワインを少量ずつテイスティングできる「ワイン会」を企画。ワイン初心者も愛好家も、誰でも気軽にワインの世界を楽しめるようにしている。
「普段、ワインはボトルでしか提供ができないので、いろんな種類を試すことが難しいんです。なのでワイン会で、何種類かのワインを試してみて、そこから自分の好みの一本を見つけてもらえたら、という気持ちで企画しました。」
一騎の魅力は、その空間デザインにも表れている。モダンでありながらも温かみのある照明で演出され、落ち着いた雰囲気が漂う。カウンター席、テーブル席が設けられ、様々なシーンに対応できるよう配慮されており、ゆったりと食事を楽しむことができる。
駅からのアクセスも良好で、駐車場も完備されているため、気軽に立ち寄れるのも嬉しい点である。洗練された料理と美酒、そして居心地の良い空間が一体となって、一騎での時間はまさに至福のひとときとなるだろう。


④新たな挑戦で、美濃加茂の食文化を牽引する存在へ
創業から11年を迎えた一騎。その間には、新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機も経験した。コロナ禍を経て、会社の飲み会が激減するなど、飲食業界を取り巻く環境は大きく変化したという。そんな中、「待っているだけではだめだ」と、山田さんは新たな取り組みを始めた。
その一つが、今年から始めた「昼居酒屋」である。主に休日の昼に営業しているが、ランチではなく、昼から居酒屋として営業することで、ゴルフ帰りや休日の昼間からゆっくりと飲みたいという顧客層のニーズに応え、新たな客層の獲得を目指している。
「始めたばかりなので営業自体はまだ数回なんですが、SNSを見て来てくれる方はいらっしゃいますね。『何か珍しいことをやっているぞ』と、たくさんの方に興味を持ってもらって、市外や県外からもたくさん来てもらえたら嬉しいです。」
10周年の節目を迎えた昨年は、各務原市の人気ラーメン店とのコラボを実現。一騎ならではの魚介の旨味が凝縮された特別な一杯は大好評、終日大勢のお客様でにぎわったという。ワイン会や日本酒会といったイベントの定期的な開催に加え、昼居酒屋の実施など、今後も積極的に新たな試みを推し進めていきたいと抱負を語る。
地元の豊かな食材を最大限に活かし、和食とイタリアンを融合させた創作料理、そして厳選された美酒の数々が織りなす世界観は、訪れる人々に深い感動と記憶に残る食体験をもたらしてくれるだろう。美濃加茂を訪れる際は、ぜひ『居酒屋Ikki 一騎』で、五感を満たすひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。

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