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心と体を軽やかにする、女性鍼灸師の温かな空間「あおい鍼灸治療院」を訪ねてみた。

心と体を軽やかにする、女性鍼灸師の温かな空間「あおい鍼灸治療院」を訪ねてみた。
TOM
TOM
ねえサラ・・・鍼って・・・こう、ズブッて感じ・・・・?
SARA
SARA
・・・ちがうわよ、誰が槍持ってんのよ。
TOM
TOM
いや〜でももし刺さったまま放置されたらどうしようって・・・
SARA
SARA
大丈夫、あなたのことだから、刺さったことにも気づかないわよ。
この記事は約6分で読めます。
関市にある完全予約制の鍼灸治療院「あおい鍼灸治療院」をご存知だろうか。
女性鍼灸師による丁寧な施術と温かい人柄で、働く女性や子育て中のお母さんたちの心と体を支えている治療院である。今回は、院長の長瀬 葵(ながせ あおい)さんにお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 暮らしに寄り添う治療院を目指して
  • 酪農から教員、そして鍼灸師へ。選んだのは「人を支える道」
  • 鍼灸とマッサージを組み合わせた、13年の手技
  • 女性による施術だからこそ生まれる、安心と信頼
  • 地域に寄り添い、ずっと続けられる仕事として

①暮らしに寄り添う治療院を目指して

 

長瀬さんの治療院は、岐阜県関市にある。自宅の隣の土地を購入し、新しく建てた建物で営んでいる。その場所にも、家族と仕事を大切にしたいという理念が込められていた。

 

「子育てをしながら鍼灸院を開いているのですが、子どもが『ただいま』って帰ってきたときに家にいて迎えられる環境が理想だったんです。もし何かあってもすぐ戻れるし、仕事にもすぐ行ける。そういう生活が夢でした。」

 

治療院の周囲には畑もあり、そこで育てた野菜をお客様に分けることもあるという。自然に囲まれたあたたかな空間で、家族にも地域にも寄り添いながら、長瀬さんは丁寧に日々の施術と向き合っている。

 

②酪農から教員、そして鍼灸師へ。選んだのは「人を支える道」

 

長瀬さんのこれまでの道のりは、一般的な鍼灸師とは少し違っていた。岐阜県関市で生まれ育ち、大学は北海道の酪農学園大学へ。動物が好きだったという理由で、酪農や獣医学を学ぶ進路を選んだ。

 

「ずっと動物が好きだったので、動物と関わる仕事がしたいと思って進学しました。獣医師を目指していた時期もありましたが、大学一年生のときに命を扱う責任の重さや、現実的な仕事内容に直面して、“私には難しいかもしれない”と思うようになったんです。」

 

獣医師の道をいったん手放し、大学では教員免許を取得。卒業後は、地元関市の中学校で理科の常勤講師として働くことになった。しかし、学校現場の現実に直面し、新たな想いが芽生える。

 

「ある程度は覚悟していたのですが、想像以上の激務でした。教員の数が少なくて、本当に大変で…。この働き方を続けるのは、私には難しいなと感じたんです。でも、学校の先生方って、接骨院や鍼灸に通っている方が多くて、そういう話もよく耳にしていたんです。そこで、私は“働く人を支える側の仕事がしたい”って、はっきり思いました。」

 

そしてもうひとつ、長瀬さんの選択には、幼い頃から身近に見てきたお母様の存在も大きかった。

 

「母が介護の仕事をしていて、腰をよく痛めていたんです。昔から“身体をケアする仕事”には興味がありました。だから自然と、そういう方向に気持ちが向いていったのかもしれません。」

 

その後、教員を退職し、中和医療専門学校に進学。あん摩マッサージ指圧師・鍼師・灸師の国家資格を取得し、新たな人生の一歩を踏み出した。人に寄り添い、誰かを支える道を、今も丁寧に歩んでいる。

 

③鍼灸とマッサージを組み合わせた、13年の手技

 

長瀬さんが鍼灸師として歩み始めてから、すでに13年。専門学校卒業後は、複数の鍼灸院や接骨院で経験を重ねてきた。現在の施術スタイルの特長は、鍼灸とマッサージ、それぞれの技術をお客様の状態に合わせて柔軟に組み合わせることにある。

 

「鍼灸を学ぶ中で、その効果の大きさにどんどん感動するようになっていきました。マッサージから入ったので、最初は鍼灸に対して半信半疑な気持ちもあったんです。でも、痛みを訴えて来られたお客様が、帰るときには嘘のようにスッと歩いて帰られる姿を見たとき、“すごい!”と、それ以来、もっと鍼灸のことを深く知りたくなっていきました。継続して通ってくださる方ほど、どんどん変化していくのが見えて、それが本当に嬉しいんです。」

 

施術の根底には、東洋医学の「自己治癒力を高める」という考えがある。鍼やお灸は、あくまでその力を引き出す手段だという。

 

「人は本来、自分で治ろうとする力を持っているんです。鍼灸は、それを助けたり、後押ししたりするもの。ここで“治す”というよりも、“目覚めさせる”という感覚が近いですね。」

 

施術はいつも、お客様一人ひとりに合わせて調整している。たとえば、鍼が苦手な方にはマッサージとお灸だけを、マッサージが気持ちよいという方にはその時間を多めにとるなど、細やかな対応が長瀬さんのスタイルだ。

 

「“鍼が怖い”というお声もよく聞くので、無理にすすめたりはしません。少しずつ慣れていってもらったり、マッサージだけで整えることもあります。一人ひとりにとって、ちょうどいい施術であることを大切にしています。」

 

豊富な経験の中で磨かれてきたのは、単なる技術だけではない。お客様に安心して身をゆだねてもらえるような“信頼される空気”も、長瀬さんの鍼灸にはしっかりと息づいている。

 

④女性による施術だからこそ生まれる、安心と信頼

 

あおい鍼灸治療院の大きな特徴は、女性鍼灸師による完全予約制のプライベート空間であること。特に女性のお客様にとっては、安心して身体を預けられる環境として、高い支持を集めている。

 

「ネット検索で“女性がやっている鍼灸院”を探して来られる方が本当に多いです。多少遠くても、“女性に施術してもらいたい”という気持ちで来てくださる方が多いですね。」

 

実際、関市内だけでなく、市外から訪れるお客様も少なくない。それだけ、この空間と施術スタイルに安心感を覚える方が多いのだろう。

 

「関市の方ももちろんいらっしゃいますが、近隣の市や遠方から来られる方もいて。やっぱり“女性に診てもらえる”ということが大きな理由なんだと感じています。」

 

お客様の年齢層も幅広く、最年少で小学6年生、最高齢は92歳。なかでも中心となるのは、40〜60代の女性。働き盛りの世代や、子育て中の女性たちが多く通っている。

 

また、顔のむくみやシワの改善に対応した「美容鍼」も提供しており、内側からの変化に驚くお客様も多い。

 

「初めて受けた方が、“周りの人にメイク変えた?って聞かれた”とか、“肌に艶があるって言われた”って嬉しそうに報告してくださると、私もすごく嬉しくなります。」

 

一方で、安全面への配慮から、男性のお客様については条件を設けている。

 

「私一人でやっているということもあって、男性への施術は少し悩ましいところもあるんです。今は、女性のお客様のご紹介や、同伴でのご来院に限ってご対応しています。」

 

性別に関係なく、信頼できる人からのつながりを大切にしながら、安心して来てもらえる治療院を目指す。そんな長瀬さんの誠実さが、治療院の空気をやわらかく、あたたかいものにしている。

 

⑤地域に寄り添い、ずっと続けられる仕事として

 

長瀬さんが目指しているのは、ただ施術をするだけの場所ではない。「あの鍼灸院なら、何でも相談できそう」と思ってもらえるような、地域の中の“頼れる存在”であること。そのために日々、施術の技術だけでなく、関わり方や空間づくりにも心を配っている。

 

「何か不調があったときに、“まずは相談してみようかな”って思ってもらえる場所になれたら嬉しいです。そういう存在になっていきたいと思っています。」

 

その想いの一歩として、関市のふれあいセンターでは月に1回、お灸講座も開いている。自宅でも気軽に健康管理ができるよう、東洋医学の知識を分かりやすく伝えているという。

 

「自宅でもお灸を取り入れてもらえるように、お灸講座を続けています。以前教員をしていたので、伝え方にはちょっと慣れているかもしれませんね。」

 

長瀬さんの目標は、生涯にわたって鍼灸師として活動を続けていくこと。体が動く限り、この仕事を続けたいと話す。

 

「必要としてくださるお客様がいる限り、自分のペースで働きながら、ずっと続けていけたらと思っています。」

 

その魅力のひとつが、家族にもすぐに施術ができること。家でのちょっとした不調に対応できることも、この仕事ならではのやりがいだという。

 

「お客様のサポートはもちろん、夫や子ども、おじいちゃんおばあちゃんにも“ちょっと痛い”って言われたときにすぐ対応できるんです。そこがすごく魅力だなと思います。」

 

お客様一人ひとりに誠実に向き合い、責任を持って施術を行う。心も身体もやわらかくほぐれていくような治療院を、今日も静かに開いている。

 

体の不調や不安を感じたとき、女性ならではの悩みを安心して話せる場所があったら――そんな思いを抱えている方は、ぜひ「あおい鍼灸治療院」を訪れてみてほしい。長瀬さんの温かな人柄と、確かな技術に触れたとき、きっと心と体の両方が軽やかになるはずだ。

 

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