飲食業
岐阜市

人生に寄り添う心温まる場所、「パンとコーヒーの店 はじまりのうた」を訪ねてみた。

人生に寄り添う心温まる場所、「パンとコーヒーの店 はじまりのうた」を訪ねてみた。
TOM
TOM
最近パン作りに興味があって。サラ、作り方を教えてくれない?
SARA
SARA
いいわよ!まずはパン生地を捏ねるところからね!これが結構力が必要なのよね〜
TOM
TOM
思いっきり力を入れるんだね!よいしょ!(バキバキバキッ)
SARA
SARA
ちょっと!テーブル壊さないでよ・・・あなた自分がクマだって事忘れてないかしら・・・
この記事は約5分で読めます。
岐阜市にある「パンとコーヒーの店 はじまりのうた」をご存じだろうか。
元美術教員である店主の情熱と、パン職人である奥様のこだわりが詰まった特別な場所だ。
今回は、お店の根幹にある「生きるって素晴らしい」というメッセージ、夫婦の専門性が織りなす唯一無二の魅力など、店主の加藤 千志(かとう せんじ)さんに幅広くお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 店名に込められた「生きる」喜び
  • 夫婦の専門性が織りなす、唯一無二の魅力
  • 音楽と美術が彩る、多角的なコミュニティ
  • 地域に根ざす「町のパン屋さん」へ

①店名に込められた「生きる」喜び

 

穏やかな住宅街の一角にひっそりと佇む『パンとコーヒーのお店 はじまりのうた』。扉を開けると、パンを焼く香ばしい匂いと、淹れたてのコーヒーの芳醇な香りが優しく迎える。その温かい雰囲気は、訪れる人々に安らぎと活力を与え、まるで人生の新しい一日が始まるかのような、穏やかな気持ちにさせてくれる。

 

29年間、美術教師として教壇に立ち続けた加藤さんが、新たな人生をスタートさせたのは202439日のこと。「いつか自分の店を持ちたい」という奥様の夢と、コーヒーの世界に魅了された加藤さんの情熱が合わさり、この店が誕生した。

 

店名のはじまりのうたには、新しい一日を迎える喜びや、日々の小さな幸せを感じられるような場所でありたいという意味が込められているそう。

 

「新たに何かを始める時、ドキドキワクワクする時、幸せを感じる時。そういった瞬間に、生きる実感があるのかなと。お店の活動を通して、生きることの喜び・素晴らしさを伝えたい想い、この名前にしました。」

 

大人から子供まで、幅広い年齢層が楽しめるパンとドリンクメニューが充実しており、誰もが気軽に立ち寄れる場所となっている。オープン当初から多くの口コミや評判を集めている点からも、日々の暮らしにそっと彩りを添え、人々に安らぎと活力を与えられる空間として愛されている様子がうかがえる。

 

②夫婦の専門性が織りなす、唯一無二の魅力

 

『はじまりのうた』の最大の強みは、ご夫婦それぞれの専門性が融合している点にある。

 

パン作りを担当するのは、長年のアルバイト経験で独自のパン作りを追求してきた奥様。看板商品の「はじまり食パン」をはじめとするもちふわパンの秘密は、添加物に頼らず、国産小麦ゆめちからや自家製米麴甘酒を使用していること。さらに、中身がたっぷり入った「あんパン」には、北海道十勝産のつぶあんを惜しみなく使用するなど、素材一つひとつにもこだわり抜き、自然な甘みと柔らかな食感を実現。

 

店頭には、食パンはもちろん、菓子パンから総菜パンまで、奥様が研究や試作を重ねて考案したバリエーション豊富なパンの数々がずらりと並ぶ。お店のイメージキャラクターでもあるカエルをモチーフにした「カエルチョコパン」や「カエルあんぱん」、大人気の「ベーコンエピ」や「焼きカレーパン」、季節に合わせた「キューブパン」など、まさに老若男女問わず、本格的な味を楽しむことができる。

 

一方、コーヒーは加藤さんが担当。岐阜の名店『カフェ・アダチ』(岐阜県関市)で本格的に学んだ技術で丁寧に淹れる一杯は、パンの美味しさを一層引き立てる。一般的にパン屋では脇役になりがちなコーヒーだが、ここでは「パンの専門家」と「コーヒーの専門家」がそれぞれ高め合う主役同士なのだ。

 

また、『おまかせパンセット』の冷凍配送サービスは、県外や遠方にお住まいの方でも本格的な味が楽しめると大人気だ。2種類のセット内容から、ご自身のお好みに合わせて選べるのも嬉しいポイントである。

 

③音楽と美術が彩る、多角的なコミュニティ

 

『はじまりのうた』は、美味しいパンとコーヒーを提供する場所にとどまらない。人と人が出会い、心が豊かになる文化的な活動の拠点にもなっており、これまでも様々なイベントが開催されてきた。

 

「コーヒーの淹れ方教室や飲み比べ会、占いイベント、お菓子作りをしている方とコラボした『夜カフェ』などを開催してきました。普段実店舗を持たずに活動している人たちにとって、ここがはじまりの場所になってほしいという思いから、活動の場を提供しています。」

 

元美術教師としての経験を活かし、2階のスペースではデッサン教室を開校。将来美術を志す若者や、地域の人々が集う交流の場となっている。さらに、マイクやアンプを使わないアンプラグドな音楽ライブも開催し、店内は小さなライブ会場へと姿を変えることも。

 

以前イラストレーターをしていた奥様が描いた愛らしいカエルのキャラクターも、お店の温かい雰囲気を象徴しており、訪れる人々の心を和ませている。

 

 

 

④地域に根ざす「町のパン屋さん」へ

 

オープンから1年余りだが、すでに地域に深く根ざしている『はじまりのうた』。

 

近隣の小中学校の買い物体験や職場体験への協力、「子ども110番の家」、「岐阜市子どもの権利推進委員会」の活動に積極的に参加するなど、元教員としての経験を活かし、子どもたちや地域の人々の力になりたいという加藤さんの想いが伝わってくる。

 

進路選択について中学校で講師を務めたり、高校生とのコラボ商品を販売したりと、学生たちの活躍を応援しているほか、時には、子育てや教育に関する悩みなど、一人ひとりに丁寧に寄り添った「相談室」のような取り組みもしているという。

 

「長年の教員生活で培った経験や知識を活かせる活動は、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っていますし、こういった活動も含めて生きるって素晴らしいというのを感じてもらえるような場所でありたいと思っています。」

 

取材の最後に、加藤さんの夢を尋ねてみると、

 

「教員は29年勤めたので、ここは30年続けたいと思っています。よくテレビでも見るじゃないですか。90歳くらいのおじいちゃんおばあちゃんがやってるお店。ああいうのに憧れますね。」

 

と、笑いながら話してくれた。また、お店の認知向上のためにInstagramだけでなく、XYouTubeにも力を入れていきたいと語る。何歳になっても学び、挑戦し続ける姿に脱帽である。

 

「生きるって素晴らしい」ーーこの強いメッセージを胸に、人生の新たな一歩を踏み出した加藤さんご夫婦。『はじまりのうた』は、さまざまな活動を通じて、訪れる人々の日常に小さな幸せと、生きる喜びを届けている。

 

さまざまなマルシェにも積極的に出店を予定しているそうで、これからもその温かい輪を広げ続け、人と人、人と地域を繋ぐ温かいコミュニティであり続けるのだろう。

 

美味しいパンとコーヒー、そして心温まる物語が詰まったこの場所で過ごすひとときが、きっとあなたの人生をより豊かにする「はじまりのうた」となるはずだ。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろうか。

 

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