ワンちゃんと一緒に楽しめる憩いのカフェ「R’s CAFÉ」を訪ねてみた。

「R’s CAFÉ」は、天井も高くてナチュラルテイスト。ゆったりした空間で、飼い主と犬が一緒にくつろげる空間だ。

「このお店の場所は、以前からもワンちゃん同伴OKのカフェだったんです。当時、私もワンちゃんを飼い始めたばかりだったので、何度か遊びに来ていました。そのお店が閉店すると聞いて、何だかご縁を感じて引き継ぐことにしたんです。」

もともと犬が大好きという訳ではなかった石原さん。それでも、ある日出会ったワンちゃんに心を奪われ、一目惚れしてお迎えることになった。

「オープン日がこの子の誕生日に近くて、運命を感じました。一緒に暮らすうちにますます愛おしくなり、2頭目のワンちゃんも大切な家族としてお迎えしました。」

以前のお店のオーナーとの出会い、自身のキャリアプラン、そしてワンちゃんとの出会いという、さまざまな縁が重なってR’s CAFÉが生まれた。

「R’s café」にはどんな想いが込められているのだろうか。

「名前は“ア”から始めたかったんですよ。響きが読みやすくて口に出してもらいやすい方が、人にも伝わりやすいと思って。あとはローマ字にしたかったので“R”を選びました。一筆で書けて気持ちいいし、“円”が入っているので“縁”の意味も込められるなって思ったんです。」

お店の中には石原さんが書いた看板がある。筆文字で達筆だ。

「看板の文字は、書道を習っていた経験を活かして自分で一筆書きしました。止まらずに書き上げた文字には、お客様が途切れることなく来てくださいますように、という願いを込めています。また、命あるワンコたちにとって、飼い主さんとの時間が永遠に続くように。そんな想いも重ねました。」

お店をやるなら、ワンちゃんがただ待たされているだけの場所ではなく、ワンちゃんも飼い主さんもリラックスできる空間にしたい。それが、このお店の根底にある想いだ。

R’s CAFÉの人気メニューは、カレーやカツ丼。週末は食事を楽しむ家族連れでにぎわう。

「料理の経験は全くなかったので、すべて独学で学びました。私が色々と食べて美味しいと感じた物をヒントにさせていただいて試行錯誤を重ねて完成させました。特にカツ丼のタレは、特別な醤油を使うことで、自分なりのこだわりを込めています。」

「来てくれた人のお腹をいっぱいにしたい」という気持ちで、基本的に大盛りは無料にしているのだそう。

平日は女性同士で来てくださったお客様が、週末にはご主人やお子さんを連れてきてくださるきっかけにもなっている。ワンちゃん連れのお父さんたちも、ガッツリ食べられるので喜んでいるという。

接客で心がけていることを伺うと、石原さんはこう話してくれた。

「私は、お客様とお話しするのが好きなんです。常連さんとは家族のように気兼ねなくお話しさせてもらったます。このお店は、お客様同士も自然と仲良くなれる場所で、情報交換や相談が気軽にしてもらえます。」

R’s CAFÉの特徴は、「気楽」な場所でありたいと石原さんは語る。お店には、ワンちゃんを迎えしたばかりの方が増えていて、石原さんは良き相談相手になっている。

「最近は、初めてワンちゃんを飼われた方が多くいらしてくれます。ワンちゃんとの接し方やトレーニング方法について相談を受けることも多いです。私はプロのトレーナーではありませんが、ワンちゃんにはちょうどいい「塩対応」で接しているので、意外とワンちゃんたちも私たちの言うことを聞いてくれるんです（笑）。」

飼い主さんからも「アイコンタクトができるようになった」「犬との関わり方が変わった」と感謝されている。その評判が口コミで広がり、新しいお客様の来店につながっている。

「私は、SNSで積極的に宣伝するよりも、お客様同士の口コミで広がっていくことを大切にしています。」

お客様が自主的に写真を撮ってSNSに投稿してくれることも多く、より自然なカタチでR’s CAFÉの魅力が広がっている。

石原さん自身、もともと愛犬の撮影が趣味だったこともあり、次第に同じように写真を楽しむお客様が集まるようになった。いまでは、情報を共有しするなど、自然と小さなコミュニティが生まれ、穏やかに楽しめる場となっている。

R’s CAFÉは今年で9年目を迎え、その歴史は単なるお店の歩みではなく、多くの人とワンちゃんたちとの絆の物語だ。オープン当時から変わらず通い続ける常連の方も多く、深い信頼関係が築かれている。

「この9年間、コロナもあって正直、大変な時期もありました。でも、お客様が『お店がなくなったら寂しい』と言ってくださることが、私たちにとって何よりの原動力だったんです。」

派手なイベントで集客するのではなく、今のスタイルを大切にして、お客様にとっての「憩いの場」であり続けたい。ただ食事を提供するだけでなく、かけがえのない時間と空間を守り続けたいというR’s CAFÉの願いが込められている。

「パピーの頃から見てきたワンちゃんが、高齢になっていたり。お客様が、うちのワンちゃんたちの成長を見守ってくれたり。お互いにとって大切な場所であり、思い出が重なる場所になっているんです。だからこそ、今後もできる限り続けていきたいと思っています。」

R’s CAFÉは人と犬の共生を考える場所だ。お客様が最も大切にしているのは、ワンちゃんと飼い主の間に築かれる「信頼関係」である。互いを尊重し、向き合うことで、かけがえのない関係を築くことができる。

R’s CAFÉは、ワンちゃんを飼う人々が、互いを理解し支え合いながら、共に成長していく場所。そして訪れる人々にとって、ワンちゃんとの向き合い方を見つめ直すきっかけとなる、温かい居場所であり続けている。