一人ひとりの魅力を引き出す「LADY」を訪ねてみた。

LADYというサロン名には、深谷さんの大切な想いが込められている。

「一人の人として、そして女性として、何歳になっても美容を通じて楽しんでほしい、自分らしく生きてほしいという意味を込めています。誰かのママとしてではなく、その人自身の女性らしさをサポートできたらと思い、この名前にしました。」

男女平等と言われる時代になっても、実際には自分の時間を持てない女性は多い。特に母親になると、どうしても子どもや家族が優先になり、自分のことは後回しになってしまう。だからこそ深谷さんは、女性たちに「自分の時間を大切にしてほしい」と考えている。

LADYでは、エステの施術そのものだけでなく、お客様の話をじっくり聞くことも大切にしているという。

「施術中は、皆さん本当にたくさんお話しされます。思っていることを一気に話して、すっきりして帰られる方が多いですね。『こんなことまで話すつもりじゃなかったのに』と言われることもあります。」

深谷さんが重視しているのは、見た目だけを整えることではない。内面のケアも含めてこそ、本当の美しさにつながると考えている。

「内面がすっきりすると、外見も自然と変わってくると思っています。気持ちと見た目はつながっているので、見た目だけをきれいにしても、その場限りになってしまうんです。」

なかでも力を入れているのが、お客様の自己肯定感を高めることだ。

「自己肯定感が低い方って意外と多いんです。なので、私は本当に良いところをたくさん伝えます。お世辞ではなく、実際に本当にきれいなので。」

母親になると、容姿を褒められる機会はどうしても少なくなる。だからこそ、大人になってから褒められることの大切さを、深谷さん自身も実感している。

「大人になると、あまり褒められることがなくなりますよね。でも、褒められるとやっぱり嬉しいと思うんです。」

その人自身の良さを引き出し、自信につなげていく。その想いこそが、LADYの根底に流れている。

深谷さんが美容の道に進むきっかけとなったのは、妊娠中の経験だった。

「妊娠中は仕事もしていなくて、家で過ごす時間が多かったんです。その中で、化粧品を買うことがちょっとしたストレス発散になっていて、それをすごく楽しみにしていました。」

次第に化粧品が増え、一人では使い切れなくなった。そこで友人におすすめしたり、実際にメイクをしてあげたりするようになったという。

「メイクの楽しさを知ったんですけど、その後にやっぱり、元の肌がきれいじゃないとメイクも映えないなと思うようになりました。土台が大事だなと感じて、スキンケアの大切さを知り、エステの勉強を始めました。」

肌の調子が悪いと、気持ちまで沈んでしまう。そうした経験から、深谷さんは美容を通じて女性の自信を支えたいと考えるようになった。

現在は、小学生の娘さんと息子さんを育てながら自宅サロンを運営している。お子様は、深谷さんの働く姿を日常的に見て育ってきた。

「二人とも、私の背中を見てくれていると思います。自分で考える力も自然と身についてきたように感じます。やりたいことをやっている姿を見せることは、私自身が大切にしていることですね。」

うまくいっている時も、思うようにいかない時も、包み隠さずに話すという。母として、経営者として、そして一人の女性として。深谷さんは自分らしく生きる姿を見せることで、お金のありがたみや努力の大切さを伝えている。

LADYの大きな特徴の一つが、マンツーマンでのレッスンとカウンセリングだ。1日2名限定という少人数制にも、明確な理由がある。

「一人一人、ペースも悩みも違うので、マンツーマンで全力で向き合っています。」

深谷さんが特に意識しているのが、お客様をしっかりと「褒める」ことだ。

「皆さん、どうしても悪いところばかりを比べてしまうんですよね。私から見ると、すごく良いところがたくさんあるのに、ほんの少し気になる部分ばかりに目がいってしまう。なので、良いところをたくさん伝えます。」

まつ毛が長い、肌がきれい。本人にとっては当たり前でも、実は大きな魅力であることも多い。それを言葉にして伝えることの大切さを、深谷さんは実感している。

「なんとなく長所かなと思っていても、ちゃんと言葉にして伝えることで、初めて自覚できることも多いと思います。」

特に日本人女性は、コンプレックスに目が向きやすく、自分に自信を持てない人が多いという。

そうしたお客様に対して、深谷さんは決して諦めない。実際に、通い始めて数ヶ月でネガティブな発言をしなくなったお客様もいるという。

「最初は『そんなことないです』と言われていましたが、ずっと良いところを伝え続けていると、少しずつ受け入れてくれるようになって、『じゃあ、もっと頑張ろう』と前向きになっていかれました。」

褒められたことを素直に受け取る。その積み重ねが、自信につながっていくのだと深谷さんは考えている。

LADYでは、エステだけでなく、メイクレッスンやスキンケアレッスンにも力を入れている。

サロンはあくまでサポートやメンテナンスの場所。本当に大切なのは、家で実践し、自分のものにすることだという。

「ここがメインではなく、あくまでサポートの場所だと思っています。ここでちゃんと身につけて、家でも続けることが大切なんです。」

スキンケアレッスンでは、普段のメイクを落とすところから始める。そこで多くの人が、正しく使えていないことに気づく。

「量が足りていない方がほとんどです。半分くらいしか使えていないので、効果を感じにくいのも当然なんですよね。」

同じ化粧品でも、使い方次第で結果は大きく変わる。高価なものに変えなくても、手の動かし方や順番を変えるだけで違いが出るという。

月に1回通うことで、「また1ヶ月頑張ろう」と思える。その積み重ねこそが、美容において最も大切なことなのだ。

また、夏休みには、キッズメイクのイベントも開催している。

「メイクは、コミュニケーションの一つのツールとして、親子で関わるきっかけになると思っています。その体験が記憶に残って、大きくなった時の何かのきっかけになってくれたら嬉しいですね。」

幼い頃からメイクに興味を持つ子は多い。その体験が、将来の自己肯定感につながることを、深谷さんは願っている。

深谷さんには、もう一つの顔がある。女性起業家支援団体「YOU&ME」の主催者だ。3年前から本格的に活動を始め、現在は、月に1回、5～6人で集まっている。

「フリーランスは自由ですが、どうしても孤独になりがちです。ここで出会った人とコラボしたり、お互いの仕事につながったりすればいいなと思っています。5人くらいで、円卓を囲んで同じ距離感で話すのがちょうどいいですね。」

今後は、サロンとYOU&MEの活動を連動させていきたいと考えており、すでに、YOU&MEで出会ったカメラマンとコラボしたメイク付きプロフィール撮影を行っている。

異業種同士のつながりが、新しい可能性を生み出している。

「この人にお願いしたいと思ってもらえるきっかけを作りたいんです。だから、顔写真をきちんと撮りませんか、という活動をしています。」

丁寧なヒアリングを重ね、カメラマンと連携しながら、その人の魅力を最大限に引き出す。

「その人らしさが伝わる写真でお仕事に繋がれば1番嬉しいです。自分らしく仕事や人生を歩むサポートをしていきたいですね。」

サロン運営の課題は認知度だという。髪にはお金をかけても、肌は後回しにされがちだ。

「顔は一番見られる上に一番年齢が出る部分なのに、後回しになってしまうことが多いですよね。」

その意識を変えていきたい。美容が特別なものではなく、当たり前のものになる社会を目指し、深谷さんは発信を続けている。

「一人一人、本当に良いところがあります。コンプレックスを隠すよりも、良いところを伸ばしてほしいです。気持ち一つで、その日から変われると思っています。」

自分に自信を持ちたい女性、美容を楽しみたい女性、自分らしく生きたい女性にとって、LADYは新しい一歩を踏み出すきっかけになるだろう。