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大垣市

ミツバチと共に生きる『種田養蜂場』を訪ねてみた。

ミツバチと共に生きる『種田養蜂場』を訪ねてみた。
TOM
TOM
天然ハチミツの甘さは上品で本当に最高だね!
SARA
SARA
自然の恵みが詰まった贅沢な味よね
TOM
TOM
あ〜ハチミツが無限に湧いてくる泉とか欲しいな〜
SARA
SARA
はあ〜その発想がもう甘すぎるわ・・・
大垣市にある種田養蜂場(おいだようほうじょう)をご存じだろうか。
三代にわたり天然のはちみつを生産し、多様な風味のハチミツを提供している養蜂場だ。今回は、代表取締役の種田敏徳(おいだ としのり)さんに、養蜂の歴史やミツバチへの想い、自然との共生についてうかがった。
今回のツムギポイント
  • 家業の歴史と三代にわたって引き継がれた想い
  • 祖父の代に始まった養蜂のきっかけ
  • 生産から瓶詰めまで一貫した天然ハチミツのこだわり
  • ミツバチの素晴らしさと自然の大切さを伝えたい
  • 付加価値を高め次世代へ繋いでいく

① 家業の歴史と三代にわたって引き継がれた想い

 

種田養蜂場株式会社は、現在の代表取締役である敏徳さんの祖父の代から始まり、父の代で本格化し、現在は敏徳さんが引き継いでいる。

 

「養蜂を始めたのは祖父の代からです。今店舗が建っているちょうどこのあたりが、最初にミツバチが種田の家に入ってきた場所なんです。」

 

大学卒業後から父親とともに養蜂に携わり、40年以上を経た種田さんに創業の歴史と想いを伺っていく。

 

② 祖父の代に始まった養蜂のきっかけ

 

種田養蜂場株式会社の養蜂のはじまりは、種田さんの祖父の代にさかのぼる。当時祖父のもとに、春のレンゲの花が咲く頃、一人の養蜂家が訪ねてきた。

 

「庭先に、ミツバチの巣箱を置かせてもらえませんか」そう声をかけられたのが、きっかけだったという。

 

「父が小学生だった頃のことです。学校から帰ると、ミツバチの巣箱の前に座って、いつまでも眺めていたそうなんです。養蜂家の方が作業をする様子も、飽きることなく見続けていたと聞いています。そんな父の姿を見て、祖父が『それなら、うちでもやってみようか』と考えたのが、養蜂を始めたきっかけでした。」

 

地域の環境も養蜂を始める大きな後押しとなった。大垣市周辺は、昔から春になると見渡す限りのレンゲの花が咲く地域であったため、養蜂に非常に適した土地だった。

 

「当時、レンゲのハチミツは数あるハチミツの中でも特に価値が高く、『はちみつといえばレンゲ』と言われるほど、特別な存在だったそうです。そしてこの土地は、レンゲがよく育ち、養蜂を行ううえで条件に恵まれていました。そうした背景もあり、祖父は養蜂を始めることを決めたのだと思います。

 

祖父は庭師として兼業で養蜂に携わっていたが、父が本格的に養蜂業を継ぎ、事業を拡大した。創業以来、自然と共に生きる姿勢を大切にし、家族三代で受け継がれてきた。

 

とはいえ、当初から「家業を継ごう」と強く意識していたわけではなかったという。

 

中学・高校時代の夏休みには、家の手伝いとして自然と養蜂に関わるようになり、気がつけばミツバチのそばにいる時間が増えていった。父の代では、養蜂は主に問屋向けの卸売りが中心で、大量生産したはちみつを出荷するスタイルだった。一般のお客様への販売は、自宅の玄関先で細々と行う程度だったという。

 

そんな中で、種田さんの中には「自分たちのはちみつを、直接お客様に届ける場所をつくりたい」という想いが、少しずつ芽生えていった。

 

「直接買っていただいた方から『美味しい』の声を聞くとやはりとても励みになり、作業場として使っていた場所を、改装して店舗にして、そこから本格的に販売するようになりました。」

 

テレビなどでの紹介もあり、今では地元だけでなく愛知県、滋賀県、三重県など県外から訪れるお客様も多いと話してくれた。

 

③ 生産から瓶詰めまで一貫した天然ハチミツのこだわり

 

種田養蜂場最大の特徴は、採蜜から瓶詰めまでを全て自社で行う点にある。

 

「うちの場合は『生産から瓶詰めしてお客様へ』というのも全部一貫してやっていて、全ての過程に自信と責任を持っています。『品質を保ち、お客様に安心して召し上がっていただけるもの』というのは、当たり前のようにずっと続けています。」

 

海外などでは糖度が低い場合に熱を加えて濃縮することがあるが、それにより風味が損なわれることもある。加熱しないことで風味が豊かに保たれ、おいしく感じられるのが天然ハチミツの良さだ。花ごとにハチミツを分けている国は珍しく、日本人の繊細な味覚に合わせられているという。

 

「各地域の養蜂家さんたちがこだわっている『天然』のハチミツが、より風味も豊かでおいしく感じていただけるのではないかと思います。」

 

 

種田養蜂場では、さまざまな花からハチミツを採るためにミツバチを移動させる「転地養蜂」を行っている。日本各地の花々から採れる、自然そのままの豊かな味わいが自慢だ。

 

「ミツバチを移動させるのはすごく大変なんです。特に岐阜から北海道へ行くときは、距離が長いので、夏などの暑い時期の移動は熱に弱いミツバチにとってストレスになり、死んでしまうこともあるんです。」

 

そのため暑い時期の移動時にはクラッシュアイスをトラックに載せたり、冷たい空気を送ったりする工夫をしている。また、できるだけ早く目的地に着けるように、ドライバーの食事なども交代で取るなど工夫しながら走り続けるそうだ。ミツバチの状態を良いままに保ちつつ、美味しいハチミツの収穫につなげることを大切にしている。

 

 

また、スズメバチやクマの被害も課題である。スズメバチの見回りで半日を費やすこともあるという。クマ対策として電気柵を張るが、移動前には外さなければならないため、被害を受ける場合もある。

 

こうした転地養蜂の苦労と自然の脅威に向き合いながら、ミツバチを守り続けている。温暖化が進む中、従来の方法が通用しにくくなっているが、種田さんは手間暇を増やしてでも、この姿勢を崩さない。

 

「北海道で採れた蕎麦のハチミツなど、テイスティングしていただくと味の違い、香りの違いなど、ハチミツの面白さや味わいの奥深さをすごく感じていただけると思います。」

 

ハチミツの風味は採れる花によって大きく異なり、好みも分かれる。家族それぞれが違う種類を選ぶことも多い。

 

「やっぱり好みもお客様によって変わってくるんですよね。そういう意味で、多くの種類のハチミツを準備してきたやりがいや、手応えを感じられるんです。」

 

天然のままのハチミツを一貫生産することで、風味豊かで安心できる商品を提供し続けている。種田さんは、このこだわりがお客様に伝わり、ハチミツの魅力を感じていただけることを大切にしている。

 

「蕎麦のハチミツは、バケットに癖のあるチーズを合わせると、ワインのおともとしても楽しめます。また、黒蜜や黒糖に近い風味があるので、わらび餅のきなこにかけるのもおすすめです。お客様それぞれのお好みで、いろいろな組み合わせを見つけていただけたら嬉しいですね。」

 

農林水産大臣賞を2回受賞するなど、看板商品となっている「レンゲハチミツ」。安定して採取するため、毎年レンゲの種を1トン購入し、協力してくれる農家さんに配布して種まきを依頼している。

 

「ただ単純にハチミツを取るというだけではなく、協力していただける方と手を組みながら、蜜源となる植物を作っていくということもやっています。」

 

地域で生産されている「初霜」という銘柄の米は、田植えや収穫の時期が比較的ゆっくりとしている。そのため、田植えまでの間にレンゲの花が一面に咲き、養蜂にとっても十分な蜜源の確保が可能になる。

レンゲの開花時期と、はちみつの採取が、稲作のスケジュールと無理なく重なることで、農家と養蜂家の双方にとってメリットのある関係が成り立っているのだ。
自然のリズムに寄り添いながら、地域の農業と養蜂が支え合う。そんなウィンウィンの関係が、ここにはある。

 

また、岐阜県内の養蜂家たちが集まり、蜜源となる木を植樹する活動も継続している。

 

「植樹木を地域ごとにバランスよく、持ち回りのような形で岐阜県下の養蜂家さんが集まって木を植えるという活動を毎年1回やらせてもらっています。」

 

こうした取り組みが、特色あるハチミツを生み出す基盤となっている。

 

④ ミツバチの素晴らしさと自然の大切さを伝えたい

 

種田さんは、単にハチミツを販売するだけでなく、体験を通じて自然と人間が共に生きる重要性を伝えたいと考えている。

 

「親子連れのお客様も多く、子どもさんたちにミツバチの素晴らしさをお話ししたり、実際にミツバチを見てもらったりしています。すると、皆さんすごく興味を持ってもらえるんです。」

 

ミツバチは小さな昆虫ながら高度な社会性を持ち、人間社会にとっても重要な役割を果たしている。種田さんはその魅力を直接伝え、ミツバチと自然環境の関係性や、その大きな影響力を実感してほしいと考えている。

 

「さまざまな植物が受粉し、種をつくり、また次の年へと命をつないでいく。その営みが繰り返される中で、ミツバチが果たしている役割は、想像以上に大きなものだと感じています。」

 

店頭での体験では、ミツバチの生態を話したり、実際の巣箱を見せたりすることで、子どもたちに自然の大切さを伝えている。

 

「我々は当然自然ありきで、それがちょっとでも狂っただけで猛暑になったり、今までの養蜂のやり方が通用しなかったりすることもあります。そういったことを、実際にミツバチたちがシグナルを出してくれているんです。」

 

例えば、子どもたちに「クーラーを少し我慢して、夏は窓を開けてみる」という小さな行動から始めてほしいと伝えている。

 

「本当に小さなことでも積み重なれば将来的に、地球環境を守ることにつながると考えています。ですので、皆さんにお願いしています。」

 

種田養蜂場は、ミツバチの魅力を体感してもらう場として、はちみつの販売を超えた価値を提供している。

 

⑤ 付加価値を高め次世代へ繋いでいく

 

今後の展望は、ハチミツの販売だけでなく、店舗を活用して多様な体験やコラボレーションの場にしたいと考えている。

 

「これからいろいろな企業の方ともコラボしながら世界を広げていきたいです。ハチミツやミツロウの素晴らしさを発信していける場所にしていきたいと思っています。」

 

具体的な取り組みとして、ピザ店とのコラボでハチミツをかけたピザ作りや、イギリス式アフタヌーンティー、和食でのハチミツ活用講座などを企画している。

 

 

「皆さんに蜂の話をするととても驚かれるので、蜂がどんな生き物なのか、どんな役割を担っているのかなどもお話もしながら、地球に優しい生活をしていきたいなという気持ちが少しでも皆さんの中に根付けるような活動をしていきたいと思います。」

 

プロジェクターを活用してミツバチの生態や不思議を映像で紹介したり、子どもたちや地域の人々に自然との共生を伝え続けることを大切にしている。

 

「今はお客様にいろんな情報も発信しつつ、付加価値を高める努力をしています。ハチミツの売り方も、おいしいから買っていただけるという時代ではなくなってきて、情報をお伝えすることが大事だと思っています。」

 

長年手伝ってくれている種田さんの甥御さんや息子さんなど、次世代への継承も着実に進んでいる。

 

「これから先どんな養蜂のやり方になるか、彼ら自身が考えつつ、それを支えていただけるお客様の評価に耳を傾けながら、新しい養蜂の形を考えてやっていってもらえたらなと思っています。」

 

地域での認知度向上も大きな課題である。大垣市内でも遠い地域では知らない人が多く、ハチミツの販売場所も店舗、JA、道の駅クレール平田などに限られている。

 

「遠ければ遠いほど種田養蜂場のことを知らない方はまだいらっしゃるので、もう少し認知度を高めていく必要を感じています。販売の場所を広げていくのも課題です。地元のつながりを広げて、幅広く展開していきたいです。」

 

インスタグラムやホームページ、ECサイトの運営なども行っている。しかしまだ十分とは言えず、集客や認知度向上にも力を入れていきたいという。

 

種田養蜂場は、自然との共生とお客様の声を大切にしながら、これからもハチミツの魅力をより多くの人に届けるために歩みを続けていく。

 

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