地域に寄り添う家電店「電パーク カワムラ」を訪ねてみた。
昭和51年創業、地域密着型の家電販売店だ。単なる家電の販売にとどまらず、購入後のアフターケアから住まいの困りごと全般まで、地域の人々に寄り添うサービスを提供している。代表の河村 豊裕(かわむら とよひろ)さんと、奥様のかおりさんに、お店づくりの工夫や大切にしている想いを伺った。
- 昭和51年創業、二代目としての歩み
- 料理教室で家電の魅力を体感
- 壊れるまで続く徹底したアフターケア
- 顔の見える関係が生む信頼の連鎖
①昭和51年創業、二代目としての歩み
昭和、平成、そして令和と電気を通じて地域のくらしに貢献してきた「電パークカワムラ」。お店を継いだのは次男の豊裕さんだった。
「兄も弟もそれぞれにやりたいことがあり、家を離れることになりました。そうした流れの中で、家に残った私が家業を引き継ぐことになりました。高校は工業高校へ進学し、その後は、松下幸之助創業者が設立した教育施設に通い学びました。」(豊裕さん)
松下幸之助商学院(当時は旧松下電器商学院)では、全国から集まった仲間と寝起きを共にし、家電の知識だけでなく、商売の心、技、体を学んだ。
「本当に朝起きてから寝るまで一緒なので、喧嘩することもありますし、もちろん性格が合わない方もいます。でも、そういう仲間とは絆が深くなって、今でも付き合いが続いていますね。北海道から沖縄まで、いろんな地域の仲間と知り合いになれました。」(豊裕さん)
卒業後は名古屋の店で2年間修業。その後、実家に戻って30年以上が経つ。お父様が引退したのは約20年前。以来、豊裕さんが店を切り盛りしている。
「この仕事は、自分に合っていると感じています。お客様とお話しすることが好きですし、同じ作業を黙々と続けるよりも、さまざまな業務に関わったり、いろいろな場所へ出向いたりする今の働き方の方が性に合っているんです。」(豊裕さん)
地域とのつながりも、豊裕さんにとって大きな財産だ。
「私は、消防団に30年以上、PTAや地域の行事にも積極的に参加させていただいています。8年前からはライオンズクラブにも所属しています。そうした活動を通じて生まれたご縁は、今の自分にとって大切な財産になっています。」(豊裕さん)
②料理教室で家電の魅力を体感
電パーク カワムラの大きな特徴が、料理教室やパン教室の開催だ。自宅の1階リビングを活用し、パナソニックの製品を実際に使いながら、料理を楽しむイベントを毎月開催している。
「家電量販店であれば、用事がなくてもふらっと立ち寄ることができますよね。でも、個人店となると、何か目的がない限り、なかなか足を運ぶきっかけがないと感じていました。だからこそ、「まずは来てもらう理由」をつくりたいと思い、教室を始めたんです。」(かおりさん)
自宅はパナソニックホームで建てており、リビング、お風呂、トイレを見学できるようにしている。キッチンで実際に調理家電を使いながら、その使い勝手や便利さを体感してもらえるのだ。
「教室と聞くと、少し構えてしまう方も多いと思うので、誰かの家で一緒にご飯を作って食べるような、ゆるやかな雰囲気を大切にしています。最近では、Instagramを見て「楽しそうだから行ってみたい」と、DMをいただくことも増えてきました。」(かおりさん)
参加者は多い時で7人ほど。新しいお客様との出会いの場にもなっている。
「調理家電は、せっかく購入していただいたのに「結局使わなかった」と言われてしまうと、売る側としても少し寂しい気持ちになります。だからこそ、教室で実際に触れてもらい、「こんな使い方ができるんだ」ということを知っていただいた上で選んでもらいたいと思っています。そうすれば、購入後も日常の中でしっかり活用していただけますから。」(かおりさん)
年に6回ほどの大きなイベントも開催。キッチンカーを呼んだり、実演販売をしたりと、お客様が気軽に来やすい工夫を凝らしている。
③壊れるまで続く徹底したアフターケア
電パーク カワムラの最大の強みは、何と言っても徹底したアフターケアだ。
「量販店ではなかなか難しい、個人店だからこそできるサービスだと思っています。購入後に「ここが分からない」「どう使えばいいのか」といった相談をいただいた際にも、いつでも気軽に対応できるのが強みですね。」(かおりさん)
かおりさんの言葉からは、お客様に寄り添う姿勢が伝わってくる。
「買う前から、買った商品が壊れるまで、ずっと面倒を見ていく。それが私たちのスタイルなんです。電話でお話ししても解決しない場合は、すぐに訪問して、分かるまで丁寧にご説明しています。」(かおりさん)
使い方も、お客様一人ひとりに合わせて提案する。若い方なら詳しい機能を、ご年配の方なら「ここだけ触れば大丈夫」と紙に書いて渡すこともある。
「出張料はいただいていません。ご購入いただいた商品については、きちんと理解して使っていただけるまで説明する。それが、次の信頼につながると考えています。「ここに聞けば何でも分かる」「困ったら相談すれば大丈夫」と思っていただけるようになると、自然とお客様がお客様を紹介してくださるようになるんです。」(かおりさん)
実際、こうした口コミで新規のお客様が増えているという。同店の対応範囲は家電だけにとどまらない。豊裕さんはこう語る。
「うちは家電に限らず、庭石以外であれば、住まいのことは基本的に何でもお受けしています。信頼できる協力業者さんが多くいるので、水道や外壁、屋根、ガスなどの設備関係から建築分野まで、お客様に合った業者さんをご紹介しています。簡単な修理であれば、私が直接お伺いして対応することもあります。」(豊裕さん)
家族構成やライフスタイルをしっかりヒアリングした上で、最適な商品を提案する。一人暮らしの方に高額な電子レンジを勧めることはしない。必要なものを、必要な時に、納得した上で買ってもらう。それが電パーク カワムラの販売スタイルだ。
④顔の見える関係が生む信頼の連鎖
主な顧客層は50代から80代。地域性もあり、高齢のお客様が多い。
「最近は、40代や50代の新規のお客様も増えてきました。若い世代の方はインターネットで調べて解決されることも多いですが、私たちの世代になると、そうした作業が少し負担に感じることもありますよね。だからこそ、「お願いするわ」と頼っていただけるのだと思っています。」(かおりさん)
今は説明書もQRコードを読み取ってスマホで見る時代。それが難しいと感じる方々にとって、電パーク カワムラは心強い存在なのだ。
「実際には、僕らより上の世代、60代や70代の方が中心になっています。本当は20代や30代の方にももっと知ってもらい、少しずつでも広がっていくといいなと感じています。」(豊裕さん)
そう語る豊裕さん。若い頃は量販店で買っていた人も、年齢を重ねて困ったときに、電パーク カワムラに戻ってくることも多いという。
「若い頃は自分で車を運転して買いに行けていたけれど、年を重ねるにつれて分からないことが増えてきて、「もう全部任せるよ」と言ってくださる方もいらっしゃいます。また、一度は他の電気店で購入されたものの、やはり安心感を求めて戻って来てくださる方もいます。」(豊裕さん)
豊裕さん、かおりさんは、実際に販売する家電を自分たちでも使っている。
「ドライヤーも、新しい機種が出るたびに、実際に自分で使って試しています。安いものと高いものでは、使い心地がまったく違うんですよ。その違いを自分自身が体感しているからこそ、自信を持ってお客様におすすめできます。イベントなどで実際に使っていただくと、「これはすごいですね」と驚かれて、そのまま購入される方も多いです。」(かおりさん)
大型店では店員の目が気になって触りにくいという声もある。個人店だからこそのメリットだと感じた。今後の課題は、若い世代の新規顧客獲得だ。
「ホームページは二つ制作しました。一つは町の電気屋としてのサイト、もう一つはエアコンに特化したサイトです。「大垣市 エアコン 電気屋」といったキーワードで検索してもらえるよう工夫しながら、新しい世代のお客様にも少しずつ知ってもらえたらと考えています。」(かおりさん)
地域密着の仕事が、これから先、若い世代にも馴染んでいくのか。その鍵になるのは、手法だけでなく、人の姿勢なのかもしれない。お客様一人ひとりと向き合い続ける、その積み重ねこそが、次の世代へとつながっていく力になっていくと感じた。
最後に、経営者としての想いを豊裕さんに伺った。
「この仕事を通して、さまざまなご縁が生まれました。本当にありがたいことだと感じています。決して楽な仕事ではありませんが、お客様に必要としていただけていることが、日々のやりがいにつながっています。」(豊裕さん)
電パーク カワムラは、これからも地域の人々の暮らしを支え続ける。料理教室やパン教室で、実際に製品を体験してみるのもいいかもしれない。家電のことで困ったら、まずは気軽に相談してみてはいかがだろうか。
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