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美濃市

ここから始まる、美濃との関わり「まちごとシェアオフィスWASITA MINO」を訪ねてみた。

ここから始まる、美濃との関わり「まちごとシェアオフィスWASITA MINO」を訪ねてみた。
TOM
TOM
街のオシャレな場所でパソコン開いてたら、仕事できるクマに見えてきたかも!
SARA
SARA
で、実際パソコンで何してたの。
TOM
TOM
画面見ながら、仕事してる顔の練習。ほら、成果どう?
SARA
SARA
・・・いつも形から入るのだけは完璧ね。ある意味、才能よ。
美濃市にある「まちごとシェアオフィスWASITA MINO」をご存知だろうか。
築約150年の長屋を改修したシェアオフィスで、「まちごとシェアオフィス」というコンセプトのもと、街全体を働く場所として提案している。今回は、コミュニティマネージャーの橋元 麻美(はしもと あさみ)様にお話をうかがった。
今回のツムギポイント
  • 古民家再生から始まったプロジェクト
  • タンブラーから始まる街との関わり
  • 保育園留学を支えるワーク拠点
  • 手探りで進んだ運営の日々とご縁が生んだ変化
  • 美濃に関わる人の居場所と出番を作りたい

①古民家再生から始まったプロジェクト

 

WASITA MINOは、2021年夏にオープンしたシェアオフィスである。この場所が生まれた背景には、美濃市で進められてきた古民家再生の取り組みがあった。

 

美濃市には、今も多くの魅力的な古民家が残っている。一方で、活用されないまま時間だけが過ぎていく建物も少なくない。そうした古民家を、地域の活性化につなげたい。そんな想いから、「WASITA MINO」は動き出した。

 

「ここは、11軒が連なった築約150年の長屋でした。この建物の持ち主の方から、『ここも何とかしてもらえないか』と相談を受けたのが、すべての始まりです。」

 

この場所をどう活かすのか。議論を重ねる中で浮かび上がってきたのが、「働く場所」という発想だった。

 

「観光で来ても、どうしても一期一会で終わってしまうことが多いんですよね。そうではなくて、もう一歩、街に深く関わってもらえるきっかけをつくりたいと思いました。その一つの形として、『働く場所をつくろう』という話になり、シェアオフィスという形に行き着いたんです。」

 

観光だけで終わらせない滞在。仕事もでき、日常を送りながら街と関われる場所。本当に「暮らすように滞在できる」拠点をつくりたいという想いが、この空間には込められている。

 

築約150年の長屋を改修した空間には、木のやさしい香りが漂い、和紙が貼られた開放的な雰囲気が広がる。この空気感は、ここ美濃だからこそ生まれたものだろう。

 

②タンブラーから始まる街との関わり

 

WASITA MINOの大きな特徴の一つが、「まちごとシェアオフィス」という考え方だ。その象徴となっているのが、「まちごとワークタンブラー」という取り組みである。

 

「タンブラー付きのプランに入っていただいた会員さんに、WASITA MINOのロゴが入った“まちごとワークタンブラー”をお渡ししています。」

 

このタンブラーを持って提携している8つの店舗を訪れると、WASITA MINOの会員証のような役割を果たし、そのままワークスペースとして利用できる。

 

「ワークスペースは、ここだけじゃないんです。街の中にも8か所あって、街を周遊しながら働いてもらえるような仕組みになっています。だからまちごとシェアオフィスと呼んでいるんです。」

 

提携店舗はすべて徒歩10分圏内。うだつの上がる街並みもすぐ近くにあり、仕事の合間に街を歩くこともできる。WASITA MINOの中だけで完結するのではなく、美濃の街そのものを楽しんでほしい。そんな想いが、この仕組みには込められている。

 

タンブラーには、11杯コーヒーが無料でもらえる特典もついている。仕事をしながら街を巡り、昼食をとり、また別の場所で作業をする。コンパクトな街だからこそ実現できる、新しい働き方だ。

 

このユニークなタンブラーの仕組みと、築約150年の長屋を改修したという背景から、オープン当初は多くのメディアに取り上げられた。

 

「たくさん取材していただきました。タンブラーの仕組みと、築約150年の長屋という組み合わせがキャッチーで、面白いと言ってもらえることが多かったですね。」

 

街と働くをゆるやかにつなぐ試みは、少しずつ注目を集めていった。

 

③保育園留学を支えるワーク拠点

 

この「まちごとシェアオフィス」の取り組みを、特に楽しんでくれている層がある。それが、保育園留学で美濃を訪れる家族たちだ。

 

都市部の子育て世代を中心に広がっている“保育園留学”という取り組みがあって、保育園児を連れたご家族が地方に滞在し、1〜2週間ほどお子さんを地域の保育園に預けながら、親御さんはリモートワークしたり、ゆっくり過ごしたりするんです。

 

北海道から始まったこの取り組みは全国に広がり、美濃は全国で4番目にスタートした地域だ。今では、美濃市民ならほとんどの人が知っているほど、定着した存在になっている。

 

WASITA MINOは、保育園留学に訪れた親御さんたちのリモートワーク拠点として、活用されている。初めて美濃を訪れる人にとって、タンブラーの存在は心強い。

 

「ほぼ全員が美濃に初めて来る人なんです。いきなり知らない街で、どのお店に入って、どこで仕事をするかって、結構ハードルが高いと思うんです。でもタンブラーがあると、あ、WASITAの会員さんなんですねって分かって、自然と会話が生まれるんです。」

 

橋元さん自身も保育園児の親であるため、病院や子ども連れで行ける飲食店など、暮らしに関わる相談にも乗っている。

 

「右も左も分からない場所で、相談できる拠点があるのが本当に助かった、という声をたくさんいただきました。」

 

保育園留学の中でも、美濃はトップクラスの人気を誇り、海外から訪れる家族もいるという。

 

初めて訪れた街でありながら、帰る頃には「こんな素敵な環境で仕事ができてよかった」と話してくれる人が多い。中には、この体験をきっかけに、何度も美濃に足を運んでくれる家族もいる。

 

「移住まではなかなか難しくても、第3の故郷みたいに通ってくれる人が増えたのは、すごく嬉しいですね。」

 

初めての土地でも、安心して過ごせる拠点がある。その存在があるからこそ、美濃での時間は、特別な体験として心に残っていく。WASITA MINOは、街と人をゆるやかにつなぐ、そんな役割を担っている。

 

④手探りで進んだ運営の日々とご縁が生んだ変化

 

橋元さんがWASITA MINOに関わるようになったのは、2021年秋のことだ。愛知県出身で、東京で会社員として働いていたが、以前から地方での暮らしに憧れを持っていた。

 

「地方で暮らしてみたい気持ちをずっと抱えていましたが、なかなかタイミングがなくて。地域と関わりながら、面白いことができそうな仕事を探していたときに、たまたまFacebookコミュニティマネージャーの募集を見つけたんです。」

 

直感的に「楽しそう」と感じ、思い切って飛び込んだ。ご主人はリモートワークで仕事を続けられたこともあり、家族での移住を決断した。

 

「来てみたら、すべてが手探りで。今までは指示されたことをこなす立場だったのに、自分で判断して、作っていかなければならなかったので、正直戸惑いました。」

 

そんな中、大きな転機となったのが、医療法人の入居だった。

 

医療法人は、美濃の街中で拠点を探していたが、多くの空き家はすぐに使える状態ではなかった。そんな中でWASITA MINOに出会い、可能性を感じてくれた。

 

「正直、全く想像していなかったです。ここは環境が整っていて、街づくりに関わる人たちが集まっている。その点に魅力を感じてくださって、入居していただきました。」

 

地域のために何かしたいという想いが重なり、プログラムの運営や講座の開催など、協力関係が生まれていった。

 

日々手探りで不安に感じることが多かったので、心強い仲間ができたという気持ちでした。」

 

ご縁が重なり、新しい可能性が少しずつ広がっている。

 

⑤美濃に関わる人の居場所と出番を作りたい

 

橋元さんが語る、これからの目標は明確だ。

 

「美濃に関わる人の居場所と出番を、もっと作っていきたいと思っています。一度関わってくれた人が、継続して関われるきっかけをつくりたいんです。」

 

現在は保育園留学が中心だが、今後はさらに広げていきたいという。

 

「一泊二日の観光では、この街の住みやすさがなかなか伝わらないと感じています。その点留学となると、1週間、2週間と滞在するので、本当に暮らしている感覚になるんです。」

 

自然も多く、歴史ある街並みが残る美濃市で、実際に暮らしてみて初めて分かる魅力を、体験として伝えていきたいと考えている。

 

課題は多い。それでも、橋元さんの原動力はとてもシンプルだ。

 

「後悔したくないんです。どうせやるなら、人生を楽しみながらやりたいなって思っています。」

 

せっかく生まれたこの場所を、もっと面白くする。同じ想いを持つ人と手を取り合いながら、関わる人それぞれに出番と居場所をつくっていく。それが、WASITA MINOの目指す未来だ。

 

美濃という街に中長期で関わってみたい人、新しい働き方を探している人、地方暮らしに興味を持っている人は、ぜひWASITA MINOを訪れてみてほしい。築約150年の長屋と街全体がワークスペースになる体験は、きっと新しい一歩につながるだろう。

 

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