心と体の健康をつなぐ美容と福祉「WELLNESS GLOW株式会社」を訪ねてみた。
セルフホワイトニングサロン「Brilliant(ブリリアント)」の運営と、訪問介護事業「ここなび」を展開する企業だ。今回は、代表取締役の細見 愛(ほそみ あい)様にお話をうかがった。
- 心身ともに健康な状態を目指して
- 直感と覚悟で始まった挑戦
- 介護士という仕事の価値を見つめ直す
- 課題と向き合い続ける経営の視点
①心身ともに健康な状態を目指して
会社名の由来を尋ねると、細見さんは「ウェルネス」という言葉に込めた想いを教えてくれた。
「私が大切にしているのが、ウェルネスという考え方なんです。ウェルネスは、体の健康だけではなく、心の状態や生活そのものも含めた、心身ともに健康な状態を意味しています。」
WELLNESSGLOW株式会社は2025年1月に設立されたが、それ以前は個人事業として約9年間、美容事業を続けてきた。福祉事業を始めるにあたり、今回の法人化に至ったという。
美容と福祉という、一見すると異なる分野を手がけているが、細見さんの中ではこの二つは自然につながっている。
「美容って、見た目の美しさだけが重視されがちですが、長くやってきて、それだけではないと感じるようになりました。美しくなりたいと思う背景には、環境や心理状態など、いろいろな要素が関係しています。」
そうした経験から、美容を外見だけでなく、心にも作用するものとして捉えるようになった。
「だから私は、美容はメンタルケアの一環でもあると思っています。」
この考え方に立てば、美容と福祉は決して離れた存在ではない。
「業種だけを見ると違って見えるかもしれませんが、突き詰めていくと、どちらも人の健康に関わる仕事なんです。」
ホワイトニングサロン名の「Brilliant」には、ダイヤモンドのカットから着想を得た“輝く”という意味が込められている。
心と体の両方が整ってこそ、その人らしい輝きが生まれる。その想いは、会社名にも事業にも一貫して流れている。
②直感と覚悟で始まった挑戦
細見さんが最初に手がけたのは、セルフホワイトニング事業だった。美容業界での独立と聞くと、強いこだわりや明確なビジョンを想像しがちだが、細見さんのスタートは少し異なる。
「特別にこの業界を目指していたわけではありません。前職もまったく別の分野でした。」
2017年当時、セルフホワイトニングは全国的にもまだほとんど認知されていないサービスだった。都市部でようやく広がり始めた頃で、岐阜県内でも店舗はごくわずか。各務原にはまだ一店舗もなかった。
「独立したい気持ちはあったのですが、何をやるかまでは決めていませんでした。人づてにこの事業の話を聞いたタイミングが、子どもが小学生になる時期でもあったので、今かなと思ったんです。」
実際に事業を始めてみると、現実は決して甘くはなかった。ホワイトニング自体の認知がなく、歯科医院との違いも理解されていなかったため、予約内容が噛み合わないことも多かったという。
「セルフホワイトニングという言葉自体がまだ十分に伝わっていなかったので、最初の2年間は、とにかく知ってもらうことに集中していました。」
そこで細見さんが力を入れたのが、SNSを軸にした情報発信だった。広告は使わず、紹介とSNSだけで集客を続けてきた。
セルフホワイトニングが一般層に認知され始めたのは、開業から5年ほど経った頃だったという。その間、細見さんはホワイトニングだけでなく、美容業界全体の動向を徹底的に調べ続けてきた。
なぜ、エステなど他の美容事業に手を広げなかったのか。その理由も、感覚ではなく冷静な分析に基づいている。
「ホワイトニングは、日本ではまだニーズが十分に取れていない分野ですし、業界全体で見ても、実は価格競争に巻き込まれにくいところがあるんです。」
一つの事業に腰を据え、業界構造を俯瞰しながら可能性を見極める。その姿勢は、次第に全国からの相談や新たな展開へとつながっていく。
こうして積み重ねてきた経験は、細見さんの中で「課題があるからこそ、伸びしろがある」という考え方を形づくっていった。そしてその視点は、この先、新たに挑戦する福祉事業にも生かされていく。
③介護士という仕事の価値を見つめ直す
そんな細見さんが、新たに挑戦するのが福祉事業だ。各務原で訪問介護事業「ここなび」を立ち上げ、現在は従業員の募集も行っている。
「介護士さんの業種としての価値を、きちんと伝えていきたいと思っています。本来は、とても責任があって、リスペクトされるべき仕事ですが、その魅力が十分に知られていないように感じています。」
同じ医療福祉の枠で見ても、看護師と介護士ではイメージに大きな差がある。その現状に、細見さんは以前から疑問を抱いていた。
「なぜそういう位置づけになってしまっているのか、その底上げをしたいという気持ちが強いです。介護士さん自身の専門性を高めることも大切ですし、それと同時に、業種としての価値もきちんと高めていきたいと思っています。」
その想いを、細見さんはとても率直な言葉で表現してくれた。
「すごく単純な言い方をすると、なりたい職業に介護士を入れたいんです。本来、そうなるべき職業だと思っています。」
介護業界は慢性的な人手不足に悩まされている一方で、利用者の数は今後10年、20年と増加していくと見込まれている。
「このバランスを考えた時に、この差が広がりすぎたら、福祉や介護の業界はどうやって成り立っていくんだろうと感じました。だからこそ、働き手の問題を解消していかないといけないと思っています。」
課題が多い業界だからこそ、やれることがある。そう前向きに捉えている。
「課題が多いことに、私はすごく興味を持ちました。やれることが、まだたくさんあるんじゃないかって。」
福祉は生きていく上でいずれ誰もが関わる可能性のある分野だと細見さんは考えている。
「福祉は、これから先もなくならない業界だと思っています。AIにはできない、人でなければできないことが、まだまだたくさんある仕事です。」
福祉の経験はないものの、専門のアドバイザーの力を借りながら、事業としてきちんと成り立たせていく考えだ。
「異業種だからこそ見える視点も、絶対にあると思っています。その視点を活かして、少しでも働きたい職業になっていけば、業界に貢献できるんじゃないかなと。リスペクトされる業種として、きちんと成り立たせていきたいです。」
この福祉事業への挑戦は、細見さん自身の働き方や、経営への向き合い方を、さらに深めていくことになる。
④課題と向き合い続ける経営の視点
経営者として日々判断を重ねる中で、細見さん自身の仕事への向き合い方にも変化が生まれている。
「毎日、やりがいを感じています。自分の判断や行動が、結果としてはっきり返ってくるところが、経営の面白さだと思っています。」
努力しているつもりでも、結果につながらなければ意味がない。独立したことで、そうした視点が自然と身についたという。
「自分では頑張っていると思っていても、数字に表れていない、結果が出ていないということは、努力の仕方が間違っているということなんですよね。」
会社員時代は、「こんなに頑張っているのに」という、自分主体の視界で物事を見ていた。しかし経営者になり、視点が変わった。
「結果が出ていないなら、努力の方向を変えなきゃいけない。その分析ができるようになると、逆に楽しくなりました。ちゃんと努力できた時の結果の出方は、とても分かりやすいです。」
話を重ねる中で、細見さんならではの仕事観が、少しずつ浮かび上がってきた。
「業種そのものに強いこだわりがあるわけではないんです。きちんと課題があって、その改善の先に結果が見えてくるのであれば、そこにやりがいを感じられるタイプなんだと思っています。」
好きなことを仕事にしているわけではないからこそ、嫌いになる要素がない。原動力は、常に人だ。
「課題が見えない状態よりも、課題がある方が、まだできることが残っていると思っています。すべてを一気に解決するのは難しくても、少しずつでも手を入れていくことはできるんじゃないかなと感じています。」
現在、訪問介護事業「ここなび」では、一緒に働く仲間を募集している。これまで一人でサロンを運営してきた細見さんにとって、人材育成は初めての経験となる。
「正直、未知数な部分はあります。私にできるのかなと思うこともありますが、結局は人としての在り方が、どんな仕事でも一番大事なんじゃないかなと感じています。」
美容と福祉という二軸で挑戦を続ける細見さん。その根底にあるのは、課題から目を背けず、人のために向き合い続ける姿勢だ。これからどのような形で想いが実を結んでいくのか、その歩みから目が離せない。
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