寄り添うヨガで心と体を整える「そっとヨガ」を訪ねてみた。
季節に合わせたヨガで心と体を整えるレッスンを提供し、「そっとサポート」することを大切にしている。今回は、ホン 友紀(ゆき)様にお話をうかがった。
- 正解を押しつけないヨガの在り方
- 形から内側へと深まったヨガ
- 季節と体に寄り添うレッスン
- 有言実行の太陽礼拝108回
- 自分を大切にするという選択
①正解を押しつけないヨガの在り方
「そっとヨガ」という名前には、友紀さんのスタイルそのものが込められている。
「ヨガのこのポーズはこうあるべき、という正解を押しつけたいわけではないんです。その人が“ここが気持ちいいな”とか、“今日は前回よりここが伸びているな”とか、“思ったよりできない日もあるな”とか。そうやって自分の体や心の状態に気づいていく、その時間をそっと支えたいんです。」
主役はあくまで、レッスンを受ける人。講師が導くのではなく、その人自身が気づいていく。その時間を邪魔しないように、隣で見守る。
「ヨガに限らず、私はもともと人をサポートする側なんだと思います。“私についてきて”というタイプでは全然なくて。だから“サポート”という言葉が自然で、それがこの名前につながりました。」
強く引っ張るのではなく、背中を押しすぎることもない。ただ、必要なときに寄り添う。
友紀さんにとって「そっとヨガ」は、活動の名前であると同時に、自分の在り方そのものなのだ。
②形から内側へと深まったヨガ
友紀さんがヨガと出会ったのは20代の頃。エステティシャンとして働きながら、健康への関心からヨガを始めた。
「当時は、とにかくポーズがきれいに取れるようになりたいという気持ちが強かったです。できないポーズができるようになるのが楽しくて、どちらかというと形を追いかけていました。」
30代は忙しく、スタジオに通う時間はほとんどなかった。自宅で少し体を動かす程度だったが、健康や柔軟性への関心は途切れることはなかった。コロナ禍で“宅トレ”が広がり始めた中で出会ったのがピラティスと瞑想だった。
「もともとゆったりしたヨガは少し物足りなくて。どちらかというとハードなヨガが好きだったんです。でもピラティスはちょうどよくて、瞑想にも興味が湧いてきました。」
体を動かすことと、心を整えること。その両方に惹かれながらも、時間は限られている。そこで気づいたのが、“それらはすべてヨガの中にある”ということだった。
「いきなり心を静めるのは難しいですよね。だからまず体を整えて、呼吸を整えて、そこから心が整っていく。その流れが全部つながったんです。自分がやりたいと思っていたことが、実は全部ヨガの中にあったんだと気づきました。」
そこから、ヨガをもっと深く知りたいという想いが芽生える。
「哲学や歴史も含めて、ヨガの本質を知りたいと思いました。でもこれは独学では難しいなと思って、養成講座を受けることを決めました。」
2025年の春から夏にかけて受講した養成講座では、ポーズだけではないヨガの世界を学んだ。
「ヨガが目指していることや、その背景にある考え方を知るのがとても面白かったです。」
その学びは、体へのアプローチと呼吸、そして“自分を大切にすること”へと自然につながっていった。20代の頃に感じていたヨガと、今のヨガはまるで別物だという。
「昔は、なんで呼吸をやるんだろうとか、最後に横になっている時間も“何しているんだろう”と思っていました。でも今は、その時間が自分の内側に向き合う大切な時間だと分かります。」
年齢を重ねたからこそ見えるものがある。ヨガは、形から内側へと、友紀さんの中で静かに深まっていった。
③季節と体に寄り添うレッスン
養成講座を終え、友紀さんはすぐに講師としての活動を始めた。現在は垂井町の「コネクトベース垂井」というレンタルスペースを拠点にレッスンを行っている。
友紀さんが大切にしているのは、季節に合わせたクラスづくりだ。
「季節によって体の不調は変わります。冬は冷えや乾燥が出やすいですし、例えば目の疲れも実は背骨の特定の部分とつながっていたりします。だからそれに合わせて前屈を増やそう、といった形でクラスを組み立てています。」
学びを深めるほど、意外な発見が増えていった。
「私は夏が一番体力が落ちるとは思っていなかったんです。でも実は免疫や消化機能が一番下がるのが夏だと知って。じゃあ夏は無理をしない方がいいな、と考えるようになりました。そういうことを知ると、体との向き合い方が変わります。」
毎回クラスのテーマを設定し、最初にその日の意図を伝えるのも友紀さんのスタイルだ。
「最初にお話をする先生はあまり多くないかもしれませんが、私は“今日は何を大切にするか”を共有したいんです。」
レッスンは少人数制で行っている。一人ひとりの表情や呼吸の変化を感じ取りながら進められるのは、少人数だからこそできることだ。
「大人数に向けて“私のポーズを見てください”というよりは、その日の参加者の体調や悩みに合わせたいんです。」
一人ひとりの状態に寄り添うこと。それが友紀さんのクラスの軸だ。
④有言実行の太陽礼拝108回
友紀さんには、印象的な挑戦がある。太陽礼拝108回だ。太陽礼拝は12のポーズで1サイクル。それを108回繰り返す。
「1時間半ほど、ほとんど休まずに動き続けます。」
もともと友紀さんは、自分の挑戦を人に話すのが得意ではなかった。
「やると決めても、最後までできるか分からないことは人に言えないタイプでした。失敗を見せるのが苦手で。」
しかし今回は違った。
「今回はやる前に宣言してみようと思って、“108回チャレンジします”とインスタグラムで発信しました。」
すると、多くの声が届いた。
「“すごいね”“頑張ってね”と声をかけてもらって。できるか分からないけれど、やってみようと思えました。」
毎日少しずつ練習の様子を発信した。筋肉痛や不安も正直に伝えた。
「筋肉痛で思うように練習できなかった日もありましたし、本番の前日は筋肉痛になるのが怖くて、練習は2回だけにしました。でも、そうした不安や弱さも含めて発信できたことは、自分にとって大きな変化でした。」
そして本番。友紀さんは108回をやり遂げた。
「有言実行ができたことも嬉しかったですが、それ以上に“言ってもいいんだ”と思えたことが大きかったです。」
ヨガは体だけでなく、心の在り方も変えていく。その実感が、確かにあった。
⑤自分を大切にするという選択
ヨガを教えることは、友紀さん自身にとっても大切な学びの時間になっている。
「レッスン中にポーズができない方もいます。でも“もう少しこうして”と無理に直すのではなく、“今日ここが気持ちいいなら、それが一番いい”と思えるようになりました。」
以前の自分なら、正しい形に近づけようとしていたかもしれない。けれど今は、その人がその瞬間に感じていることを尊重したいと思える。
「それは体だけでなく、心にも通じると思っています。」
人と意見が合わないときも、どちらが正しいかを決めるのではなく、その人の“今”を受け止める。ヨガを通して、そんな在り方を学んできた。
「レッスンを受けてくれる方が、自分の体調に合わせて動きを選べるようになったり、“今日ここまででも十分頑張った”と自分のことを認められるようになったのなら、本当に嬉しいです。そんなサポートができたらと思っています。」
特に自分のことを後回しにしてしまいがちなお母さんたちには、自分の時間を持つことの大切さを伝えたいという。
「ずっと“何が好き?”と聞かれても“何でもいいよ”と答えるタイプでした。でもヨガを通して、自分を大切にしていくと、少しずつ“これが好き”が見えてきました。」
自分を後回しにしないこと。それは、自分を大切にするという、とても静かな決意なのだ。
心と体を整えたい人、自分の時間を取り戻したい人、季節に合わせたヨガに興味がある人は、ぜひ「そっとヨガ」を訪れてみてほしい。
友紀さんの“そっと”やさしい寄り添いは、きっとあなたの内側に静かに届くはずだ。
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