暮らしに寄り添い続ける車屋「有限会社カーズ・ナカシマ」を訪ねてみた。
1961年創業、60年以上にわたり地域に根ざしてきた自動車販売・整備会社だ。 家族経営ならではの温かさと、年に一度の感謝祭を通じて、地域とのつながりを大切にしている。 今回は、髙橋 里奈(たかはし りな)様にお話をうかがった。
- 代々受け継がれてきた、地域との関係
- 家族で支える温かい店づくり
- 暮らしに寄り添う提案と、専門性という強み
- 地域の人が集う場所へ
- これからも、頼られる車屋であるために
①代々受け継がれてきた、地域との関係
カーズ・ナカシマの創業は1961年。髙橋さんのお祖父様が「中島自動車」として開業したのが始まりだ。
「もともとは、新車や中古車の販売、整備や修理などを行っていました。1986年に、有限会社カーズ・ナカシマとして法人化しています。」
創業のきっかけについて、髙橋さんはこう話す。
「詳しく聞いたことはないですが、車は好きだったんじゃないかなと思います。整備している姿を、子どもの頃からよく見ていました。揖斐川町は祖父の地元だったので、その流れで自然とこの場所で始めたんだと思います。地域に密着した形になっていったのも、必然だったのかもしれません。」
現在は、お父様が二代目として社長を務めている。父から子へ、家族で受け継がれてきた歴史がある。長く続いてきたことそのものが、地域からの信頼につながっている。お客様は、揖斐川町を中心とした地域の方がほとんどだ。
「この辺りはディーラーさんが遠いですし、高齢の方も多いので、すぐ修理してほしくても遠くまで行けない方もいます。そういう意味では、皆さんの助けになっているのかなと思います。」
販売から車検、整備、修理まで一貫して対応できることも、大きな強みだ。
「購入して終わりではなくて、その後も修理や整備、車検など、いろんな場面で関わり続けていけるのは、うちの強みだと思っています。何かあったときに、すぐ思い出してもらえる存在でいられたら嬉しいですね。」
車を売ることよりも、その後の暮らしに寄り添い続けること。そうした姿勢は、創業当時から変わらず、今も店の中に息づいている。
②家族で支える温かい店づくり
カーズ・ナカシマは、家族を中心に支えられてきた会社だ。
社長であるお父様を軸に、お母様が事務や営業を担い、髙橋さんは事務や広報を担当している。整備の現場には弟さんも立ち、さらに数名のスタッフとともに、日々の業務を支えている。
家族で仕事をすることについて、髙橋さんはこう話す。
「それぞれ役割が違うので、仕事としては割と尊重し合えていると思います。役割分担がはっきりしているので、ぶつかることはあまりないですね。」
お客様対応の中心を担っているのは、お母様だ。
「お客様は、はっきり決めて来られるというより、相談ベースで来られる方も多いです。子どもが増えたから大きい車が欲しいとか、逆に子どもが独立したから小さい車にしたいとか、そういう話を聞きながら進めています。」
お客様の声に耳を傾け、その人に合った提案をする。
「こちらの都合で売るのではなくて、その方にはどんなプランが合っているかを一緒に考えています。自動車保険も含めてお客様に寄り添い、本当に必要なものをおすすめしています。」
その姿勢が信頼につながり、紹介で来店するお客様も多い。
「女性のお客様の場合、ディーラーさんだと男性スタッフが多くて、少し身構えてしまう方もいると思います。女性が対応することで、安心してもらえる部分はあると思います。」
親しみやすさと安心感。それが、カーズ・ナカシマの温かさをつくっている。
③暮らしに寄り添う提案と、専門性という強み
2018年、カーズ・ナカシマはフランチャイズ「新車市場」に加盟し、新車リース販売を強化した。多様な購入スタイルに対応できるようになったことは、大きな転機だった。
「月々の支払いが一定なので、生活プランを立てやすいです。車検や諸費用も含まれているので、急に大きな出費が出る心配がありません。」
この地域でカーリースを扱っている店舗は多くない。暮らしに合わせて選べる選択肢があることが、お客様の安心につながっている。
また近年は、ジムニー専門のカスタムニーズの高まりを受け、DAMDブランドのパーツを用いたジムニー専用コンプリートカーの提案にも力を入れている。
「ご要望に合わせてカスタムした状態で、そのまま納車しています。パーツ選びから仕上がりまで含めて、一台ずつ相談しながら進めています。」
ジムニーは、自分らしさを大切にしたい人に選ばれる車でもあり、こだわりを持って楽しまれている方も多い。
「そういう方は、車のことをよく勉強されている方も多いです。詳しい分、こちらも学ぶことが多いですし、そのこだわりにしっかり応えられるのが強みだと思っています。」
暮らしに合わせた支払いのかたちと、こだわりを大切にした一台づくり。どちらも特別なことではなく、目の前のお客様にとって何が一番安心かを考え続けた、その積み重ねだ。
④地域の人が集う場所へ
カーズ・ナカシマの象徴的な取り組みのひとつが、年に一度開催される感謝祭だ。この取り組みは10年以上続いており、今では地域にとって恒例の行事となっている。
「毎年11月に行っています。内容は時代に合わせて少しずつ形を変えてきましたが、以前はおでんを手づくりして振る舞っていたこともありました。」
始まりは、お母様の「日頃お世話になっている方へ、何かお返しができたら」という想いからだった。
「だいたい100組くらいは来てくださっていると思います。感謝祭をきっかけに、初めて足を運んでいただける方も多くて嬉しいですね。」
感謝祭とは別に、日頃の営業の中でも、ささやかな取り組みを続けている。来店されたお客様やお子さんに向けて、チョコのすくい取りやお菓子のつかみ取りを用意することもある。
「こうした催しが、少しでも来店のハードルを下げるきっかけになれば嬉しいです。」
そうした小さな積み重ねが、初めて訪れる人の緊張を和らげ、「ここなら、また来たい」と思ってもらえる空気をつくってきた。
世代を問わず地元の人が集い、顔を合わせ、言葉を交わせる場所であること。それが何より嬉しいと、髙橋さんは話す。
車屋でありながら、人と人とが自然につながる“場”としての役割も、少しずつ育まれてきた。
⑤これからも、頼られる車屋であるために
髙橋さんがやりがいを感じる瞬間は、納車の場面だという。
「お客様に満足していただいて、喜んでいただける瞬間を見られるのは、本当に嬉しいですね。」
車を受け取るその一瞬には、これまでのやり取りや積み重ねが詰まっている。だからこそ、その笑顔を見るたびに、この仕事を続けてきてよかったと感じるのだそうだ。
今後は、20代から40代の若い世代や、子育て世代にも、より利用してもらいたいと考えている。
「これまで支えてくださったお客様に加えて、これからは若い世代の方とも、少しずつ関係を築いていけたらと思っています。お子さん連れのご家庭にとって、近くに相談できる車屋があることは、大きな安心につながるはずです。」
何かあったときにすぐ相談できる存在でありたい。そうした想いが、その言葉の端々から伝わってくる。
目指しているのは、「揖斐の車屋といえばここ」と、自然と思い出してもらえる存在だ。
今通ってくれているお客様の子どもたちが大人になったとき、またこの場所を選んでもらえるような関係を、これからも大切にしていきたいという。
社長の想いには、こうある。
「クルマを通して暮らしを支えるということは、ただ整備や販売をするだけではなく、”その方の毎日を守ること”だと感じています。」
その言葉のとおり、カーズ・ナカシマが向き合ってきたのは、車そのものではなく、その先にある一人ひとりの暮らしだった。
車を買いたい人、車検や整備で困っている人、ジムニーカスタムに興味がある人。どんな理由でも構わない。まずは気軽に、カーズ・ナカシマを訪れてみてほしい。
ここには、地域とともに歩んできた60年の時間と、これからも変わらず寄り添い続けようとする想いが、静かに息づいている。
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