医療・福祉
関市

出産のその先に寄り添う「せきレディースクリニック」を訪ねてみた。

出産のその先に寄り添う「せきレディースクリニック」を訪ねてみた。
TOM
TOM
出産ってさ、赤ちゃんが生まれたらゴールって思っちゃうよね。
SARA
SARA
むしろそこからが本番よ。寝不足との長い戦いが始まるんだから。
TOM
TOM
じゃあ僕、夜中にサラを起こす係をがんばるよ!
SARA
SARA
・・・起こさなくていいから、あなたがそのまま対応してくれれば助かるのよ・・・
関市にある「せきレディースクリニック」をご存じだろうか。

令和元年の開院以来、「やさしさとよろこびでつつみこむ」を理念に、思春期から更年期まで、幅広い世代の女性に寄り添ってきたクリニックである。2025年10月には、産後ケア専門施設「ル・ジョア」も新たにオープン。出産のその後まで見据えたサポート体制を整えている。今回は、院長の友影九樹(ともかげ くき)さんと、副理事の友影里紗(ともかげ りさ)さんご夫妻に、クリニックに込めた想いを伺った。
今回のツムギポイント
  • 第三者承継で岐阜初の成功例に
  • 専属シェフによる本格的なご当地料理
  • 東海初の産後ケア施設「ル・ジョア」
  • 無痛分娩など患者に寄り添う医療
  • スタッフファーストの職場づくり

①第三者承継で岐阜初の成功例に

 

岐阜県関市にあるせきレディースクリニックは、女性の生涯にわたる健康を見つめ続けている医療機関だ。産科・婦人科・産後ケアを柱に、無痛分娩や不妊治療、更年期の相談など、幅広い悩みに寄り添っている。なかでも産後ケア施設「ル・ジョア」の運営や母乳育児支援に力を注ぎ、出産後も安心して過ごせる環境づくりを大切にしていることが印象的だ。

 

せきレディースクリニックの歩みは、産婦人科としては珍しい第三者承継から始まった。2019年7月、友影九樹さんが前院長からバトンを受け取り、新たな体制でのスタートを切った。

 

幼い頃から「医者の子は医者」という価値観のなかで育った九樹さん。一時は、その流れに素直になれない時期もあったという。

 

「小・中学校の頃は、決められた道のように感じて、わざと違う方向に進みたいと思うこともありました。でも、高校で医学部を目指す環境に身を置くうちに、少しずつ気持ちが定まっていきました。」

 

努力を重ね、産婦人科医としての道を歩み始めた九樹さん。しかし実家の病院が閉院となり、新たな進路を模索することになる。そんなとき、前身となるクリニックの院長から承継の話が持ちかけられた。

 

「産婦人科の第三者承継は、県内でもまだ前例が少なく、珍しい取り組みでした。」

 

周囲からは心配の声もあったという。

 

「地域に根ざしたクリニックでありたいと思い、名前にも関市の“せき”を入れました。」

 

承継後、まず向き合ったのはスタッフとの関係づくりだった。前院長より若い立場でのスタートに、戸惑いを感じるスタッフもいたそうだ。そこで掲げたのが「やさしさとよろこびでつつみこむ」という理念。その想いを丁寧に伝えながら、時間をかけて対話を重ねていった。

 

今では、同じ方向を見つめながら支え合えるチームが育っている。

 

②専属シェフによる本格的なご当地料理

 

せきレディースクリニックの大きな魅力のひとつが、専属シェフによる食事だ。入院中の時間が、「少しでも心ほどけるひとときになるように。」そう願って、副理事を務める里紗さんが最初に向き合ったのが、食事の在り方だったという。

 

「出産は大きな出来事ですから、せめてお食事の時間は楽しみにしてもらえたらと思ったんです。」

 

給食会社と何度も話し合いを重ね、若い感性を持つシェフとともに、新しい食事づくりが始まった。里紗さん自ら食器選びにも足を運び、ロゴ入りのオリジナル食器を制作。和食器や中華食器なども取り入れ、料理に合わせて器を変える工夫も重ねていった。

 

食材にも丁寧に目を向けている。できる限り新鮮な素材を使い、衛生管理にも配慮しながら、お刺身なども提供できる体制を整えた。

 

そして、コロナ禍で思うように外出や旅行ができなかった時期に始めたのが、月替わりのご当地メニューだった。

 

「旅行には行けなくても、お食事で少しでも旅気分を味わってもらえたらうれしいなと思って。ホテルに負けないくらいのクオリティを目指して取り組んでいます。」

 

北海道から沖縄まで、都道府県別の郷土料理が並ぶ食卓。産後の慌ただしい日々のなかで、食事の時間だけはふっと心がほどけるような、そんな小さな“旅”が用意されている。

 

また、盛り付けの美しさも印象的だ。ポーセラーツの資格を持つ里紗さんは、器と料理の調和にも心を配る。可愛らしい食器に丁寧に盛られた料理は、目でも楽しめる一皿となる。

 

「シェフも、器に合わせて盛り付けを考えるのが楽しいと言ってくれています。」

 

ただお腹を満たすだけではない。心まで満たす食事。その一皿一皿に、ママたちへのささやかなエールが込められている。

 

③東海初の産後ケア施設「ル・ジョア」

 

2025年10月、せきレディースクリニックに隣接する形で、産後ケア専門施設「ル・ジョア」がオープンした。産婦人科施設と渡り廊下で繋がり、同じスタッフ・同じ給食で運営される産後ケア施設は、東海地方では初の取り組みだという。

 

「産後ケアは、今の時代にとても大切な役割を担っていると感じています。『産んで終わり』ではなく、その後の子育てに寄り添う場所があってもいいのではないかと思ったんです。」(九樹さん)

 

掘りごたつや床暖房のある『NADESHIKO』、ステンドグラスが美しい『ROSE』、光と影を楽しめる『KIKYO』、そして陽だまりのような『HIMAWARI』など、個室にはそれぞれのこだわりがある。

 

「ママが心と体を少し休めて、リフレッシュした状態でご自宅へ戻っていただきたい。そんな願いを込めて、この場所をつくりました。」(里紗さん)

 

助産師や理学療法士による専門的なケアに加え、専任シェフによる食事やスイーツ、エステも受けられる。ママがほっと心をゆるめられる場所となっている。

 

④無痛分娩など患者に寄り添う医療

 

九樹さんが産婦人科医になったのは、家業を継ぐためだった。しかし、実際に働く中で、この仕事の本質に気づいていく。

 

「実は、最初は外科医を志していました。でも、日々現場に立つなかで、少しずつ産婦人科という分野の魅力に気づいていったんです。」

 

産婦人科は、婦人科として癌などの診療もあれば、産科として生命の誕生にも立ち会える。

 

「不安を抱えている方に寄り添い、赤ちゃんが生まれるその瞬間の不安を少しでも和らげること。それが、私にとって大きなやりがいになっています。」

 

せきレディースクリニックでは、無痛分娩にも力を入れている。九樹さんが引き継いだ当初、この地域で無痛分娩を行っているクリニックは少なく、不安に思う声もあったそうだ。

 

はじめは月に数件ほどだったが、徐々に希望される方が増えていき「安心して出産に臨みたい」という想いに応えるかたちで広がっていった。今では出産の約3分の2が無痛分娩を選択されているという。

 

コロナ禍では、立ち会い出産ができない代わりに、タブレットを導入してリモート立ち会いをいち早く取り入れ、家族とビデオ通話で繋ぎながら出産できるようにした。

 

「ビデオ通話でご自宅とつなぐことで、少しでも不安が和らげばと思ったんです。家で待つお兄ちゃんやお姉ちゃんの声が聞こえてくることもあって、離れていても家族のつながりを感じられる瞬間がありました。大変な時期ではありましたが、そこから新しい絆のかたちも生まれていたように思います。」(里紗さん)

 

制限や不安のある状況のなかでも、「できない理由」を探すのではなく、「できること」を丁寧に積み重ねていく。その姿勢こそが、せきレディースクリニックが大切にしている医療のかたちなのだと感じた。

 

⑤スタッフファーストの職場づくり

 

院内の雰囲気づくりを支えているのが、里紗さんの細やかな気配りだ。

 

「スタッフのみんなが働きやすい環境をつくること。それが、私の仕事だと思っています。」

 

問題が起きたときには、その日のうちに対応の方向性を伝え、いつまでに返答できるかを明確にする。スタッフが不安を抱えたままにならないよう、日々丁寧な対話を重ねているのだそうだ。

 

クリニックには保育士が在籍しており、育児休暇から早めに復帰したいスタッフも、子どもを預けながら安心して働ける環境が整えられている。夏休みや冬休みなど、保育園が休みになる時期にも柔軟に対応しているという。

 

また、日頃からスタッフ同士のコミュニケーションも大切にしている。ときには食事の場を設けるなど、仕事の枠を越えた関わりのなかで、自然と信頼関係が育まれているそうだ。

 

さらに、クリニックのマスコットキャラクター「にっかちゃん」も、そんな温かな雰囲気を象徴する存在だ。著名アーティストのロゴデザインなども手がけたデザイナーによって生み出されたキャラクターで、やさしく親しみやすい表情が印象的。訪れる人の緊張をやわらげ、クリニックの世界観をやさしく伝える存在となっている。

 

「私たちはこれからも、すべての女性たちの味方になりたい」と語る九樹さん。少子化が進む中、婦人科にも力を入れ、美容など新しい分野にも挑戦していく予定だという。

 

せきレディースクリニックは、医療の質はもちろん、食事や空間、スタッフの働きやすさまで、すべてにこだわり抜いたクリニックだ。「やさしさとよろこびでつつみこむ」という理念が、隅々まで行き届いている。妊娠、出産、そして産後ケアまで。女性の人生の大切な時期を幸せな体験にしたい、そんな想いがこの場所にはそっと息づいているように感じた。

 

心に寄り添う医療を掲げ、地域女性の健やかな毎日をサポートしているせきレディースクリニック。駐車場も完備されているため、遠方からも通いやすいのもうれしい。もし女性特有の悩みを抱えている人が周囲にいるなら、ぜひおすすめしてみてはいかがだろうか。

 

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